2013年8月2日に放送されたTBSラジオ「荒川強啓 デイ・キャッチ!」にてニューヨーク在住のジャーナリスト、北丸雄二さんが世界に広がるソチ五輪ボイコット論争について話していました。衝撃的な話です。ロシアには若干怖いイメージがあったんですけど、ここまでヤバいとは・・・。僕の想像を超えていました。ホントにホントに恐ロシア。 | ![]() |
北丸雄二 (ニューヨーク在住ジャーナリスト)
荒川強啓 (フリーアナウンサー)
片桐千晶 (フリーアナウンサー)
補足:LGBT(エル・ジー・ビー・ティー)とは
女性同性愛者(レズビアン、Lesbian)、男性同性愛者(ゲイ、Gay)、両性愛者(バイセクシュアル、Bisexuality)、そして性転換者・異性装同性愛者など(トランスジェンダー、Transgender)の人々をまとめて呼称する頭字語である。 ― wikipediaより引用
北丸 実はこれ、『ニューヨークタイムズ』のですね、論説ページに掲載されたある寄稿が切っ掛けなんですね。
荒川 ええ
北丸 えー、書いた人がハーヴィー・ファイアスティン(Harvey Fierstein)って言うあの、映画『トーチソング・トリロジー(Torch Song Trilogy)』っていう・・何年ぐらい前かなぁ。25年とか30年前でしたっけ(注:1982年公開なので31年前)、あの、佳作の、立派な映画があるんですけど、この原作の芝居を書いた劇作家で俳優なんですね、ハーヴィー・ファイアスティンってのは。
荒川 はい
北丸 でユダヤ人なんです
荒川 ええ
北丸 でユダヤ人と言えば、まぁ麻生発言にもありましたようにナチスドイツの・・ヒトラー政権の被害者ですよね
荒川 うん
北丸 ニューヨークってですね、ユダヤ人物凄く多くて、あの、それを揶揄してですね「ジュ―ヨーク」、ジュー(Jew)ってユダヤ人のことなんで「ジュ―ヨーク」なんてあだ名があるくらいの街なんですけれども・・
荒川 うーん
片桐 へぇー
北丸 ホロコーストの問題ってのは物凄く身近なんですね。あのー、私もアレを生き延びた人たちの息子という人たちをですね、あの息子や娘という人たちと友人だったりしまして、もう何人もそういう友達がいるんですけども。ですんで、ユダヤ人の問題って実に身近に感じるんですね。
荒川 うん
北丸 で、そのファイアスティンが何を書いたかというとですね、1936年、ドイツのオリンピックありましたねぇ。
荒川 はい
北丸 あの時に国際社会はユダヤ人の迫害があると知っていたのに何もそれに抗議をしないでオリンピックに参加した。そしてその国際的な黙認がやがて起こる総勢600万人とも700万人とも、或いは1100万人とも言われるユダヤ人の大虐殺に繋がったと言うんですね。で、『それと同じことが今ロシアで起きている』と。『あなたはそれでもソチ五輪に参加するのか?』と言うんですよ。
荒川 はぁ
北丸 で何が起きているのかというと、実は今ロシアで大々的なLGBT、性的少数者ですね、ゲイとかトランスジェンダーの人たちなんですけども、その人たちの人権を無視した虐待が起きているんですね。
片桐 はぁー
北丸 で、プーチン政権がゲイの弾圧法を続々と施行しているんです。例えばね、『ゲイであっても良いんだよ』と言っただけで逮捕されるんです。
荒川 ふんーー!!
片桐 えーー。
北丸 『ゲイは少数なだけで異常じゃないよ』と教える、生徒たちに学生に教える学校の先生も、それから自分の息子や娘が例えばゲイだったりしますよね。その時に例えば『性的少数者でも大丈夫なんだよ』と慰める親でさえも法律の文面上は逮捕できるんです。そういうその「同性愛プロパガンダ禁止法」ってのが成立したんですね。
荒川 え!最近ですか?
北丸 最近です。えー、6月です。
荒川 あぁーー。
北丸 でそれを背景にですね、『ゲイはいじめても良いんだ。やっつけても良いんだ。』って社会的雰囲気が生まれるでしょ?そうすると。
荒川 えぇえぇえぇ
北丸 とねぇ、ロシア国内に500くらいあるんですけど、大小のネオナチ集団ってのがまぁロシアも今格差が増えて、あの広がって、その・・あの、若者たちが就職できないとか何とか問題が起きているんでね、その、ネオナチ集団がやっぱり増えるんですよ。そーするとそのネオナチ集団がfacebookみたいなところでですね、恋人募集とかいうオトリの広告を出してですね、それに引っ掛かった、おびき出した少年たち、それ15とか16才ですよ。そういう子たちを吊るし上げてですね、名前を聞き出したり学校の名前を聞き出したり、そして殴る蹴るとかする動画とか写真をインターネットにアップして晒し者にしているんですよ。
荒川 ええーーー
北丸 そんな子たちがトラウマを抱えてどんどん自殺しているんです。で虐殺事件まで起きているんです。
荒川 ふぅー!
北丸 それを国内で訴えることも出来ないんです。つまり訴えたらプロパガンダ禁止法に引っ掛かるわけです、まぁ「キャッチ22」ですよね。(注:キャッチ22とはジョーゼフ・ヘラーが1961年に発表した戦争の狂気を描いた小説『Catch-22』に由来するスラング英語で「ジレンマ」や「矛盾している状態」のことを意味する。)
荒川 ふぅーん
北丸 で、外圧だけが頼りなんですよ。
荒川 うん
北丸 でね、オリンピック選手ってのは今、ゲイやレズビアンと公表している選手は沢山いるんですね。
荒川 はい
北丸 で、金メダル取っている人もいるんです。で、そーいう選手たちを支援する選手たちもいるんです。報道、ジャーナリストもそうです。LGBTのジャーナリストもいて、そーいう人たちもロシアに行くんですね。で、そーいう人たちが逮捕されるんじゃないかって心配まで出てきたんです。
荒川 あぁー!
北丸 なんせ彼らって、あのLGBT問題って現在のユダヤ人問題と同じくその、現在の人権運動だって気負っているわけですよね。
荒川 はい
北丸 そうするとシンボルカラーとされる例えば6色のレインボーカラー・・があるんですけども、それの旗を振ったりバッチを付けたり開会式で行進するかもしれないでしょ?
荒川 はい
北丸 そうするとゲイをプロパガンダ(注:プロパガンダとは政治的や思想などの宣伝行為のこと)したってことになって・・・逮捕してみろ!って挑発も起きるはずですよね。
荒川 うーーん
北丸 それでね。その国際オリンピック委員会はロシア当局と話し合って、こないだですね、「オリンピック関係の外国人はそういう法律は免除される」という約束を得たというような発表をしたんだけれども、まぁ3日くらい前にそれを否定するようにロシアのスポーツ相が「いやそうじゃない。逮捕されるんだ。」という風に言ったりしているんです。
荒川 えぇーーー!
北丸 日本じゃまだ報道されていないでしょ?
荒川 そうですねぇ
北丸 で、世界は今これを巡ってね、物凄い、あの、「ボイコットすべきだ!」とか「いや、スポンサーに圧力を掛けてそうした法律を止めさせよう!」とか「いや参加して逆に逮捕してこれを国際問題にしよう!」とか論争が起きているんですよね。
荒川 うーーーーん!
北丸 これがひとつあるんですよぉ。
と話していた。
補足:ハーヴィー・ファイアスティンの寄稿記事の全文
『ニューヨークタイムズ』に掲載されたハーヴィー・ファイアスティンの寄稿記事を北丸雄二さんが自身のウェブサイトで翻訳掲載しています。興味がある人は是非ご覧ください。
http://www.kitamaruyuji.com/dailybullshit/2013/07/post_409.html
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