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伊藤真 (弁護士 / 資格試験指導校「伊藤塾」を主宰)
青木理(あおきおさむ / ジャーナリスト)
江藤愛(TBSアナウンサー / 青山学院大学文学部英米文学科卒)
伊藤 憲法ってのは我々国民が守る義務は全くないんですよ。
青木 うん
江藤 えっ、そうなんだ
伊藤 我々国民は憲法を守る義務なんてありません。
青木 どうですか、江藤さん。ビックリですよね。
江藤 はい
伊藤 江藤さんなんかね、憲法を別に守んなくてもいい・・
江藤 え、いいの?
伊藤 別に守る義務なんか、負わされてなぁーいんです。『え、ちょっと待って、じゃあ憲法は誰が守んのよ?』って話になるじゃないですか。
江藤 はい
伊藤 憲法は、政治家とか官僚とか裁判官とか自治体の知事、えー、首長とか職員さんとか、公務員の皆さんたち。もっと言えば、国の側や自治体の側で仕事をする、そういう皆さんたちが守らなければいけない法なんですね
江藤 うん?
伊藤 まぁちょっと、代表して分かりやすく官僚、政治家でいきましょうか。官僚や政治家の皆さんたちが守らなければいけなくて、『じゃあ国民はどうすんのよ?』。国民は彼らに守らせる責任があるだけなんですよ。
江藤 へぇー
伊藤 国民がこの憲法を作って、政治家や官僚に、『この通り政治や仕事をやんなさいよ!』。
青木 うん
伊藤 我々国民が、政治家たちに押し付ける命令書っていうかな
青木 うーん
江藤 うーん
伊藤 『この通り政治やりなさいよ!』。国民が彼らに押し付ける。国民が彼らに守らせるものであって、国民が守るモノじゃ実はないんですね。
青木 うーん
江藤 それってどこかに書いてあるものなんですか?
伊藤 それはねぇー、ハッキリそう書いてあるわけじゃないんだけど、そういう趣旨だよってハッキリ分かる条文があるんです。
青木 うん
伊藤 ちょっと読み上げちゃっていいですか?
江藤 はーい
青木 どうぞどうぞ
伊藤 あのね、憲法の99条ってコレね、実は一番最後の、実質的な条文なんですね。
青木 うん
伊藤 憲法って第・・・前文があって、第1条から99条までが実際に使われる条文なんですが、第99条、ちょっと読み上げますね。
青木 はい
伊藤 『天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。』(注:摂政(せっしょう / 君主・天皇が幼少、病弱などの理由でその任務を行うことができない時に代わってそれを行う役職のこと。)
青木 うんうん
伊藤 もういっぺん言うとね、天皇、摂政、国務大臣、国会議員、裁判官、その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う。ここに国民をあえて入れていないんですよ。
青木 うん
江藤 へぇー
伊藤 国民にね、憲法を尊重して擁護しろとは一言も言っていない。
青木 うん
伊藤 それは、国民は守る側ではなく守らせる側なんだ、ということですね。
江藤 誤解・・というか、分かっていない・・
伊藤 わかっていない。だって僕だって分かってなかった。うん、大学入って憲法勉強するまで全然知らなかった。
■ さらに続けて、日本国憲法の根底に流れる立憲主義について解説していた。
青木 それの、その心っていうのはね、なかなかそのー、何故じゃあ憲法っていうものを制定してですね、そのー、まぁ、『天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員』。まぁおよそ公務員ですよね。公務員、官僚とか政治家っていう風にくくれる。まぁ裁判官なんかもそうですけど
伊藤 はい
青木 その人たちに守らせるんだと。これをいわゆる立憲主義っていうんですよね?
伊藤 そうですね。要するに公務員の方々っていうのは国の側で仕事をする人たちですよね。その人たちの仕事って色々あるんですが、重要な仕事が『権力』という力を使う。権力って『有無を言わさぬ力』みたいな。例えば逮捕されちゃったりだとか、とかいうのも1つの権力かもしれないし、それから法律を作ってこの法律に従いなさいよ!っていうのも権力かもしれません。裁判をしたりだとか行政をしたりとか法律を作ったりする、そういう国の側が行う権力の行使を憲法で縛るんですね。
青木 うん
伊藤 国を縛って、『じゃあ何の為にそんなね、権力、国を縛るの?』
青木 うん
伊藤 なんか『権力』って怖いイメージなんですけど、要するに国というのは力がないと、国を治めることが出来ないじゃないですか。みんな好き勝手なことやっちゃうと困るんで、やっぱり国には権力という力がどうしても必要なんですね。
青木 うん
伊藤 ところがその権力というのは、とても大切で必要なものなんですが、時にそれが間違って使われちゃうと大変なことになっちゃう。まぁ冤罪とかね、不当逮捕だとか、そういうことってあるじゃないですか時々。
青木 うん
伊藤 そういうことが蔓延しちゃうと困るんで、だからその国の権力の行使を憲法で縛る、というのを立憲主義っていうんですね。
伊藤 『じゃあ何のためにそんなことするのよ?』ってことですが、それは一人ひとりの、まぁ市民の人権、自由を守るためなんですね。
青木 うん
伊藤 私たちが幸せに、自由に生きることが出来るようにするために、・・やっぱ、国を縛るための道具、そのように個人の人権を守るために憲法で国家を縛る。これをね、立憲主義、憲法によって立つ政治っていうね。憲法で立つっていう立憲っていう字を書くんですけどね。立憲主義っていう言葉で表すんですね。
■ 更に、青木さんが『でも勤労・納税・教育という3大義務がありますよね?』という質問をしていた。
青木 『ハイ!先生!』って感じなんですけど(笑)。憲法の中で、とはいえ、義務、国民の義務ってのが・・・
伊藤 ありますね。
青木 今の現行憲法でいうと3つですか?えーと、納税と、それから勤労は権利であり義務なんですよね?
伊藤 そうです。
青木 それともうひとつ何だっけ?
江藤 教育?
青木 えーと、教育の義務か。
伊藤 そーです
江藤 あーよかったー!
伊藤 アハハハハ(笑)
青木 この3つってのは、義務であると。なぜ国を縛るべき、権力を縛るべき憲法にもかかわらず、この3つに関しては憲法の中に書かれているってことなんですか?
伊藤 はい。とても良い質問です。
江藤 『お!青木くん偉い!』とか言って(笑)
青木 ありがとうございます(笑)
伊藤 ハハハ(笑)。元々憲法は個人の権利や人権を守るためのものだから、憲法の中に義務って実は書く必要まったくないんですよ。
江藤 ふーん
伊藤 だから本当はその3つも無くてもよかった。
青木 うん
伊藤 無くても良かった。で今、3大義務、ね、指摘していただきましたけど、例えば、あのー、教育を受けさせる義務、これね親の子供に対する責任みたいなものですよね。
青木 あぁー
伊藤 それから勤労の義務っていうのも、『強制労働しろよ!』っていうんじゃなくって、ちゃんと働ける、働く能力も機会もあるのに働かないでプラプラしているような人には、ちょっと生活保護とかは出せませんね。っていう位の意味合いぐらいしかないんですよ。
江藤 ふーーん
伊藤 義務らしい義務はね、納税の義務。これはね、完全な義務だよね。
青木 うーん
江藤 うーん
伊藤 だって税金を払わないと脱税とかで刑罰を科されちゃう。納税は立派な義務。だけどその納税の義務ですら実は憲法の中に書いている国は少ないです。
青木 ふーん
伊藤 ロシア、中国、日本、イタリア、スペインくらいかなぁ。韓国もあったかなぁ。
江藤 へぇー
伊藤 アメリカの憲法にもイギリスの憲法にもドイツの憲法、フランスの憲法にもそんなものは書いていない。それは法律で、税法という法律で国民に義務を課せばいいだけのことでしょ?っていうことなんですね。ただまぁ、納税の義務は主権者たる国民が、この国を作っていますから、自分たちが作った国なんだから、その国を動かす費用は自分たちで払いましょう、という意味合いでまぁ納税はあっても良いのかなと思いますが、本質は人権を守るための法ですから、憲法の中には権利や自由の規定ばかりなのは当たり前なんですね。
■ 更に、自民党が作成した憲法改正草案がトンデモナイ内容だという話をしていた。
青木 まぁ自民党ですね、今政権与党ですけど、日本国憲法改正草案ってのをですね、平成24年ですから去年になるんですかね
伊藤 去年ですね
青木 去年の4月27日に、これぇ決定という事でまぁ出している訳ですね
伊藤 はい
青木 で、これを見るとですねぇ、そのまぁいくつも、僕なんかは今の話を聞いていると少し疑問に思っちゃうところがまずあるんですけれど
伊藤 はい
青木 コレどうしようかな。個別に伺った方がイイですよね?例えば、
伊藤 はい
青木 そのー、憲法尊守義務っていうか順守義務ちゅーんですか。
伊藤 はい、憲法尊重擁護義務(けんぽうそんちょうようごぎむ)。
青木 憲法尊重擁護義務ですか。でそのー、仰っていた、伊藤さんが仰っていた現行憲法でいくと99条は、国民は別に守るなんてことは明記されていないと。
伊藤 義務はないよ、と。
青木 ところが自民党の憲法草案だと、えー、これ102条になるんですけども、あの後段にね、やっぱり『公務員はこの憲法を守る義務がある』と、まぁ基本的な状況は変わっていないのかもしれないけど、その前段に『全て国民は、この憲法を尊重しなければならない。』と
伊藤 はい
青木 国民も、尊重しなさいよと。
伊藤 守る義務があるということですね、実質的には。
青木 こういうのが入るっていうのは、今のお話を聞いていると、いわゆる立憲主義からは方向が違うんじゃないの?っていう気もするんですが
伊藤 まぁその通りですね。全く逆方向。要するに立憲主義を否定するに近いんですね。
青木 うん
伊藤 しかも2項を見てみますとね、天皇、摂政、外れているんですよ。
青木 はぁはぁはぁはぁ
伊藤 天皇、摂政は憲法を守んなくていいっていう、そういう条文になっちゃっている。まぁこれは憲法と別のテーマかもしれませんが、天皇というものを縛るというのが今の憲法の実は重要なポイントなんですね。
江藤 うん
伊藤 明治憲法の時代は、まぁ天皇が主権者でした。それを、ある意味では政治利用しちゃったっていうそういう反省から天皇の権力は縛って、『天皇には政治には関わらせませんよ。』っていうのが今の憲法の第一章。
青木 うん
伊藤 それから、戦前はやっぱ軍隊が暴走しちゃいましたから、そういう軍隊は持たない。『軍隊も縛りますよ。』というのが今の憲法の第二章、戦争の放棄なんですね。
青木 うん
伊藤 すなわち明治憲法の反省から、天皇の権力を縛って、軍隊の行動を縛って、それで初めて人々の人権が保証されますねっていうんで第三章という国民の権利って置いたんですよ。
青木 うん
伊藤 ですから、立憲主義の観点から、憲法で天皇の権力を縛り、軍隊を縛ってっていうのが立憲主義。これ昔から重要なことなんです。どこの国でもそうなんですが、ところがこの自民党の改正草案102条の2項で天皇、摂政を憲法を守る義務を負わせていないんですよね。外しちゃった。どういう事なんだって・・。
江藤 外した理由はなんなんですか?
伊藤 いや分かんないです。憲法を超越する存在として天皇を置いているのかもしれませんね。天皇に憲法を守れなんて言うのは恐れ多いと、いう事なのかもしれませんけれど、それは・・・。
江藤 国民が尊重しなきゃいけないと入れたのは・・
伊藤 逆に、それは国民に『守れ!』と。すなわち、本来憲法は繰り返しますが国民が人権を守るために国を縛るための道具だったのが、それが全く逆転し、国家が国民を支配しコントロールするための道具のように、実はコレね、なっちゃったところがあるんですよ。
江藤 うーん
■ 更に、自民党の憲法草案が『国民への義務』を増やしまくっていることを指摘していた。
青木 あのー、ね、先ほどの話の中でいうと、国民の義務っていうのは基本的には書く必要はないんだと。
伊藤 そうです。
青木 まぁそれでもね、先ほど納税と、それからまぁ教育、それからぁ勤労ですか。まぁそれはまぁ書いてあるんだけど基本的には書かなくていいんだっていう事だったんですけれども、この自民党の草案を見ていくと、やっぱりいくつか義務というか、まぁ義務とまではいかないまでも、えー『国民はこうしなさい』っていうのがいくつかあってですね、例えば、えー第3条。『国旗は日章旗とし、国歌は君が代とする。』と。まぁこの是非っていうのは色んな議論があるんでしょうけど、これはとりあえず置いたとして、その後に2項で『日本国民は、国旗及び国歌を尊重しなければならない。』と。
伊藤 はい。
青木 これはまぁ一種の義務ですよねぇ。それから『国民の責務』っていう、まぁ第12条っていうのが置かれるんですけれども、『自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反しではならない』と。
伊藤 はい。
青木 こういうのもあるんです。それから、例えば緊急事態令っていうのが今度、まぁ作るんだと。これもまぁ議論が分かれるところですけど、とりあえずそこを置いといたとして、でその緊急事態令が発せられた時には、『何人も、えー、措置に関して発せられる国その他公の機関の指示に従わなければならない。』と。まぁ挙げていくとキリがないんですけれども、こういう形でいくつかいくつか新たな形で義務っていう
伊藤 そうですね
青木 えぇー、入ってくるっていうのは、これはぁー、そのー、やっぱりいわゆる立憲主義からいうと、かなりちょっと異質というか異常というか・・
伊藤 かなり異質ですね。
青木 うん
江藤 うん
伊藤 もう義務と解釈できるものは10個くらい増えちゃうんですよ。
青木 あぁ
江藤 ふん
伊藤 ホントに。色んなところで。例えば、『家族は助け合わなければならない』。
青木 うーん
伊藤 家族の互いに助け合う義務みたいなものとか。それとか、愛国の義務、国防の義務と解釈できる規定があったりだとか。
青木 はい
伊藤 領土を保全する、国民と協力して領土を保全する。だから国民にも領土を保全する義務を負わせたりだとか。まぁ解釈によっては国民の義務と取れるようなものが、実は10個くらい増えてる。
青木 10個もあるんですか?
伊藤 10個もあります。ですから、それはねぇ、やっぱ立憲主義の国ではちょっとあり得ない事ですね。
青木 うーん
伊藤 そんなに義務ばっかり書いている国はちょっと見たこと無いです。ですから、ちょっとそこは異質なものになってしまっている。ですから、西洋のアメリカ、イギリス、フランス、ドイツという、まぁ近代立憲主義の、まぁ日本が価値感を共有するというような西洋諸国とはかなり異質の憲法になっちゃっている、というところは・・・ちょっとどうかなって思いますよね。
と話していた。
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2013年1月11日に放送されたTBSラジオ「ニュース探究ラジオ Dig」は、海洋研究開発機構上席研究員の藤倉克則さんをゲストに迎えて「未だ知られざる深海生物の生態、その研究の最前線に迫る!」というトークテーマだった。藤倉さんによって深海調査や深海生物について語られていたのだが、特に驚いた話を2つ書き起こしておきます。 |
■会話をしている人物
藤倉克則(海洋研究開発機構上席研究員)
藤木TDC(ジャーナリスト)
江藤愛(TBSアナウンサー)
イカやタコは、学術的には足が上である。
藤倉「イカとかタコって順番が違うんですよ。」
江藤「そうなんですよね。」
藤倉「胴体、頭、腕なんですよ。」
江藤「そっか!」
TDC「ま、まぁエンペラ(俗に言う「いかの耳」の部分)とかね。イカの丸焼きとかゴロ焼きとかやるところが、まぁ胴体・・」
藤倉「今ラジオでお見せできないですけど、今江藤さんがイカの絵を描いているんですけど・・」
江藤「イカ描きました、絵。」
藤倉「それ学術的にはダメなんですよ。」
江藤「フフフ(笑)」
藤倉「正しくは逆なんですよ。こうやって描かなきゃいけないんですよ。上下逆さにしなきゃいけないんですよ。」
江藤「あ、足が上にこなきゃいけないんですか?」
藤倉「腕が・・・頭が上で胴体が下になると、頭が目があるところでヒレがあるところが胴体ですから、順番逆ですよね。」
江藤「逆なんですね。」
TDC「や、矢印が上に向かないで下に向かないといけない」
藤倉「そう、そうそう。」
江藤「こう向かなきゃうけないってことですね。」
藤倉「ちゃんとした図鑑って必ずそういう風に載っていますよ。」
と話していた。
更に、実に奇怪なアンコウの生殖行動について話していた。
アンコウのオスはメスの体の一部になる。
藤倉「とっても有名な例が、先ほどもちょっとあったんですけど、チョウチンアンコウの、中の例なんですけど。」
江藤「はい」
藤倉「オスとメスの出会いってすごく少ないらしいんですよ。」
TDC「あぁあぁあぁ」
江藤「えー」
藤倉「すごく有名な例なんですけど。じゃぁ・・」
TDC「有名ですね。僕らもエッチな店でそういう話をしますけど(笑)。」
藤倉「あ、そうなんですか?」
TDC「えぇ、アンコウの話はしますけど。」
江藤「なにアンコウって?」
藤倉「えーと。メスの方が大きいんですよ。」
江藤「ほう」
藤倉「オスがメスに出会います。と、オスはどうするかというと、メスの体に噛みつくんですよ。噛みついちゃって、やがてメスの体と融合しちゃうんですね。メスの体の一部になっちゃうんです。」
TDC「吸収されちゃうんですよね。」
藤倉「うん。吸収というか一部、ヒレみたいにくっついちゃうんですよ。で、オスとメスの血管までくっつけちゃって、まさに体の一部になっちゃって・・」
江藤「すごーい、素敵♪」
藤倉「で、オスは、メスが繁殖するために精子を渡すだけのためにメスにずーっとくっついている。だからモテるメスは、自分の体に一杯オスを付けてる」
江藤「え、えっ!?一杯?一杯??え、何匹も付くことあるんですか?」
藤倉「何匹も。何匹も付けてる時がある。」
江藤「すごい。プレイガールですね、それなんか。へぇーー!」
TDC「男はこう、溶けて消えていくだけというねぇ。」
藤倉「だから究極のヒモみたいなもんですよね。」
江藤「そーなんだぁ。ちょっとでも何か素敵じゃないですか?(笑)ハハハハ(笑)」
TDC「男にしたらちょっと、ね(笑)。なんか頭を抱えてしまう話で(笑)。」
と話していた。
01:28
2012年11月29日に放送されたTBSラジオ「ニュース探究ラジオDig」にてジャーナリストの青木理さんが衆院選挙と沖縄問題について語っていた。来月16日に迫った衆院選挙で、自民党や日本維新の会などが竹島や尖閣問題に関連してか非常に勇ましい公約を表明しているものの沖縄問題がほとんど選挙の争点にあがってこない現状について、翁長・那覇市長のインタビューを交えて紹介していた。 | ![]() |
■会話をしている人
青木理(あおきおさむ / ジャーナリスト)
江藤愛(TBSアナウンサー)
(自民党総裁の安倍晋三氏や日本維新の会代表の石原慎太郎氏の最近の発言を紹介した後に・・)
青木 勇ましい言葉の陰に隠れていて、放置されて、完全にそのー、何というのかな、忘れ去られているというか置き去りにされている問題?でも実は本当は守んなきゃいけない問題、日本の一部なので守んなきゃいけない問題があるわけですね。この番組で何度も取り上げてきたんですけど、沖縄の問題・・
江藤 はい
青木 ・・ですよね。沖縄は日本じゃないのか?って日本ですよねぇ。
江藤 うん
青木 でその日本のことを意外と、その、ないがしろにしてんじゃないかと。意外とどころか完全にないがしろにしている。まぁこの番組でも何度もやってきましたけどぉ、日本の国土の0.6%しかないわけですよ。
江藤 はい
青木 そこに75%の米軍基地を押し付けていると。・・・尖閣諸島だって実は沖縄の所属なんですよね。
江藤 うーん
青木 石垣市ですよね。でその尖閣を守るんだと勇ましく言いつつ、その、沖縄には膨大な負担?膨大というか桁外れな負担なわけでしょ。0.6%のところに74%の基地を押し付けて、まぁ問題になっていない、争点になっていないですよね今度の選挙でも。
江藤 そうですねぇー
青木 ほとんど争点になっていない。普天間基地、街の真ん中にある、固定化されている。辺野古っていう新基地を作るんだなんて話もあるし、オスプレイ?の問題もあるし、それから、まぁこれは本当に悲惨ですけど米兵の暴行事件ってのも相次いでいる
江藤 うん
青木 こういう状況にあるのに・・・コレある意味ね、僕ね、あんまり好きな言葉じゃないんだけど、こういう状況って一種の国辱状態じゃないかって思うんだけども、勇ましい言葉ばかりが飛び交うんだけども何故かこの問題が取り上げられないんですね、
江藤 はい
青木 沖縄問題ってのが争点にならない。っと思った時にですね、そのー、これ今月の24日、これ朝日新聞のですね、そのー、読んでたらですね、・・・沖縄の那覇市長。えー、翁長雄志(おながたけし)さんってついこの間再選されたんですけど、インタビュー、ロングインタビューってのが載ってたんですね
江藤 はい
青木 すごく考えさせるんですけど、そのー、まぁこの記事の中で、そのー、翁長さんこう仰っているんですね。『甘えているのは沖縄ですか?それとも本土ですか?』と。こういうことを仰るんですね。
江藤 うん
青木 記者がこう聞いたそうなんですね。『沖縄の基地問題をどうするか、衆院選だというのに本土で争点になっていません』と。
江藤 うん
青木 で、これに対して翁長市長がこう仰るんですね。『意外ですか?オスプレイ反対で県民が10万人集まったって本土では一顧だにしない(いっこだにしない/配慮をしない・知らん顔・ 無視)』と。『基地は目に見えない遠いところに置けばいい。自分のところに来るのは嫌だ。アメリカには何も言わない。いつも通りです。』と。
江藤 うん
青木 『沖縄は困難な戦いを戦っているんです。』と。でーそのー、実はこの翁長さんっていうのは・・・こういう話をすると何かそのー、ちょっと革新系なんじゃないかとかね、そのー、いう感じに取られるかもしれないんですけど、実はこの人保守、保守系政治家なんですよ。ずっと自民党の沖縄県連の幹事長なんかもされている方でどっちかというと保守系なんです。
江藤 うーん
青木 その保守系である翁長さんがこんな事も仰っているんですねぇ。『僕らはもう折れてしまったんです。』と。
江藤 うん
青木 『なんだ本土の人はみんな一緒じゃないか』と。『沖縄の声と合わせるように鳩山さんが・・』、鳩山さんっていうのは鳩山由紀夫さんですね、『・・が最低でも県外と言っても一顧だにしない』と。えー、『沖縄で民主党とか自民党とか言っている場合じゃない、という区切りが鳩山内閣でもう付いちゃいました』と。
江藤 うん
青木 こういう風に仰っていて、まぁこれホントに読んでると非常に僕らは考えさせられるなと、考えなくちゃいけないんですけども、記者がまたこう聞くんですね。『利益誘導こそが沖縄保守の役割なんじゃないのですか?』と。
江藤 うん
青木 つまり沖縄の保守ってのは、そのー、自民党の、例えば政治家なんてのは、利益、沖縄に利益を誘導してくるのがそのー、保守、沖縄の保守の政治家の役割なんじゃないかっていう風に記者が質問するんですねぇ。そうするとこういう風に翁長さん仰るんですねぇ。『振興策を利益誘導だと言うのならお互い覚悟を決めましょう』と。
江藤 うん
青木 『沖縄に経済援助なんかもういらない』と。『税制の優遇措置もなくしてくれ』と。『その代わり基地を無くしてくれ』と。
江藤 うん
青木 『国土の・・』これはさっき僕も申し上げた、『国土の面積0.6%の沖縄で在日米軍基地の74%を引き受ける必要はさらさら無い』と。『いったい沖縄が日本に甘えているんですか?それとも日本が沖縄に甘えているんですか?』っていう言葉もここで出てくるんですねぇ。
江藤 はい
青木 で、更にこう続くんですね。『本土は日米安保が大切、日米同盟が大切、それで尖閣を中国から守るのに沖縄がオスプレイを配備させないんだという風に言っている』と。『沖縄にすべて押しつけておいて一人前の顔をするなと言いたい。これはもうイデオロギーではなく民族の問題だ。』と。・・・もっと強烈ですよ。『日本の47分の1として認めないと言うんだったら、もう日本という衡(くびき/自由を束縛するもの・枠組み)から外してちょうだいっていう気持ちです。』と。
江藤 うーん
青木 ちょっと長く、あのー、朝日新聞の、すごく印象深いインタビューだったのでちょっと長くなっちゃいましたけれど、どう思いますか?えー、沖縄ね、当たり前ですけども、沖縄ってのはかつて別の国だったわけですよね
江藤 はい
青木 それが今や日本の一部に、日本という国家の一部になっているんですけれど
江藤 はい
青木 こうなってくるとね、そのー、国っていったい何なのか。こないだ、あのー、福島県の阿武隈共和国ってのを作るっていう話、本のね、小説の話もしたんですけど。(注:村雲司著 『阿武隈共和国独立宣言
江藤 あーはい。『もー出てやる!』って、国からねぇ。
青木 『出てやる!』って話ですよねぇ。つまり、その、僕らが、例えば沖縄に関していえば『日米同盟が大切だ』と。あるいは『日米安保体制こそが日本の安全保障の柱だ!』って言っているんだったら。この声に耳を傾けなかったら僕らのね・・・だってそんなの日本から出ていくんだったら尖閣諸島どころの話じゃないわけですよ。
江藤 うん
青木 だって尖閣だって沖縄に属しているわけだから。だからやっぱり、安保とかね、あるいは尖閣を守れとかね、憲法改正だっていうその・・・妙に勇ましい事を言うのであれば、あるいは言うんだったらですよ、やっぱりこの沖縄の声に耳を傾けなかったら、やっぱり基本的にこれ嘘だと思いますよ。
江藤 うーん
青木 なので、今度の選挙ね、僕もそうですし江藤さんたちもそうだけど、やっぱり沖縄のこと?問題をね、・・大変だと思いますよ、それで鳩山政権は潰れたわけだから
江藤 そうですよねー
青木 ただ、大変だからといってこのまま放っておいていい問題でもないので、やっぱり、沖縄の問題をどうするのかっていうのを、まぁこの番組でもそうですけれど、やっぱり声を上げなくちゃいけないなという風に思いました。
と話していた。
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2012年11月22日にTBSラジオで放送された「ニュース探究ラジオ Dig」にオウム真理教・地下鉄サリン事件や和歌山カレー事件、光市母子殺害事件などの被告人弁護士を務め、一部で『悪魔の弁護士』などと呼ばれている安田好弘弁護士がゲスト出演していた。この日のテーマは「日本の司法制度と死刑」で、安田弁護士が過去の重大事件の話を交えて日本の司法について語っていた。 | ![]() |
この投稿はオウム真理教の一連の事件について部分の書き起こし。証拠提出前に裁判長に『2年で片付ける』と言われた話など、かなり危ない話が満載でした。
■会話をしている人
安田好弘(弁護士)
青木理(ジャーナリスト)
江藤愛(TBSアナウンサー)
まず麻原彰晃(松本智津夫)の主任弁護人を務めた経緯などについて話していた。
青木 光市母子殺害事件の少年ってのはね、例えば今うかがっていると、まぁひとつには物凄く幼いってのものあるし、そのー、何ていうのかな、『事実が違うじゃないか!という思いもあった』というんですけれど、
安田 うん
青木 この、松本智津夫死刑囚の事件については、その、どんな風に思ってらっしゃるんですかね。その、事実が違うのか、それとも、何ていうのかな、他の思いがあってそのように取り組まれたんですか
安田 あの、これは国選弁護人ですから、あの、自分が選んだわけではなくってですね、まぁ、あの、正確に言うとやる人が居なくって
青木 フフ(笑)。それもだってアレでしょ、国選弁護人って言ったってアレでしょ、日弁連というか弁護士会でやる人がいなくていなくて最後に安田さんに『お願いします!』ってきた国選弁護人でしょ?
安田 ええまぁ確かにそうですけどね。まぁ細かい経緯を言うと色々とあるんですけどね。
青木 うん
安田 ただ、あの事件で、やはり何でこんな事件が起こったのかというところを解明したかったですね。
江藤 うん
青木 うん
安田 で一般で考えると、あの夏の東京のど真ん中でね、サリンを地下鉄に撒くという動機も理解できないし
江藤 はい
安田 『そもそもそんな事がどうして可能になるのか?』と。この日本の社会の中でね。
青木 うん
安田 それも、やっぱ理解できなかったんです。
江藤 うん
安田 それを、そういうことを宗教団体がやると、いうことも当然理解できないわけでしてそういう事実を丁寧に解きほぐしていく必要があったのかなぁと思ったんです。
青木 うん
安田 それでやっぱりそれをやりたかったんですけども、結局できないままで
青木 まぁそうですね、捕まっちゃってね。
安田 私が100回公判を終ったあとで、逮捕されてしまいましたから。(注:松本智津夫被告の第100回公判の後に主任弁護人である安田好弘弁護士は警視庁に強制執行妨害容疑で逮捕される。青木理さんもこれを冤罪であったという見解を述べている。)
江藤 うん
次に、『オウムの事件は本当に麻原の指示だったのか?』という話をしていた。
青木 あのー、一般的にはね、江藤さんどう思っているか聞きたいんですけど、その、全て麻原彰晃教祖が指示をして、地下鉄サリン事件も松本サリン事件も、あるいは坂本弁護士事件も、えー、全部麻原彰晃教祖指示のもと信者たちがやったんだと、いう事になっているわけですよね。でまぁそれで一応確定もしているわけですね
安田 ええ
青木 日本の刑事司法上は。でもこれは安田さんはずっと違うと仰っていますね
安田 そう、ですね。あの、事件は確か16あったんですけども、その16個あった事件すべて彼が直接手を出していないんです。ぜんぶ共同・共謀正犯といいましてね、
青木 うん
安田 指示命令したと。ですから現場に行って実際に手を出したっていう事件はないもんですから、結局共犯者とされる人たちが『これは教祖に指示されたんですよ』と、そういう供述だけで成り立っている事件なんですね。
江藤 うん
安田 しかもその共犯者の人たちが何故やったかという理由の中では、これはもう、『教祖にマインドコントロールされていたんだ』と。『だから教祖に言われるままにやりましたよ』と。いう話になってしまっている訳です。でこれ客観的事実でも何でもないんですね。・・・結局、人の言葉ですから。
青木 うん
安田 検証しようがないわけです。そうすると当然、指示したとされる彼からも聞かなきゃならないし、指示されたというその実際の実行行為者、まぁ実行行為をした人ですね、その人からも話を聞かなきゃならないんですけど、あるいは法廷は全部バラバラに分断されていましてね、同じ事件をやったのに被告人ごとにこう事件が、あの、法廷が違うわけです。それで、例えば彼の法廷に共犯者といわれる人が、つまり実際に地下鉄にサリンを撒いた人が呼ばれて来るんですけども、ほとんど話してくれないんですね。
江藤 うん
安田 と同時に、仮に話してもらったとしてもいわゆる自己防衛的といいますかね
青木 うん
安田 まぁこれはやむを得ないことだと思うんですけども。まぁ『マインドコントロールの中にいて分からなかった』という話になってくるわけですから、ほとんど事実が明らかになっていないんです。
青木 マインドコントロール。僕ね、ずっとね、この事件ね取材していて思ったんですけれど、マインドコントロールって一体何なのかと。
江藤 うん
青木 もちろん頭ではわかっているんですよ?何となくわかった気にはなっているんだけど、よくわからない。で、マインドコントロールされたから、そのー、まぁ一流の大学を出たからいいって訳じゃないんだけど、まぁ一応みんなインテリな人たちですよねぇ。大学、それも一流大学の医学部とかね、出た人たちが、そのー、『マインドコントロールをされてやっちゃったんだ』と。わかりやすいようで全然わからないんですよね(笑)。
江藤 うーん
安田 自分の体験、あるいは自分の生活感から事件って見ていく必要がありましてね。
青木 うん
安田 マインドコントロールという言葉の中で事件をみる、ってのは見誤ってしまうだろうと思いますねぇ。
青木 うん
安田 私どもが日常生活の中で、いかに、その人間関係が濃くってもですよ、そんなマインドコントロールなんかされてサリンなんか撒いてしまうんだろうか?、と。
江藤 うーん
安田 それはやっぱり、私たちの中で有り得ない話でしてね、やっぱりどっか、それはそれなりの意味があって、それなりの道筋がありね、それなりの、おー、出来事が起こってそういうことになってきたんだろうと思うんですけど
青木 うん
安田 それがマインドコントロールという言葉でぜんぶ捨象されてしまったと。
青木 あのー、一番まぁ大きな事件っていうのは地下鉄サリン事件ですね。1995年3月ですね。僕もその時取材していたんですけども、あれはー、そのー、どうなんですか?この事件に絞って聞いてみたいんですけど。そのー、麻原教祖がね、その指示をしたっていうのは、ひとつ、まぁ主にひとつしかない訳ですね、その証拠っていうのは、その、井上嘉浩死刑囚が、えー、車の中でね、えー、麻原彰晃教祖に、まぁ指示をされたんだと。これしかない。
安田 そうですね。
青木 どうなんですか?なぜあの事件をね、麻原教祖が指示をしたからやったんですか?それとも、何か別の、何て言うのかな、動機というかね、その暴走に至る背景というのがあったという風にお考えですか?
安田 それは背景には、あの、あと2、3日中にね、上九(注:上九一色村)といって当時オウムの本部があったところに警察が捜索に入ると
青木 うん
江藤 うん
安田 それを阻止しなきゃならない、という背景があったのは確かだろうと思いますねぇ。ですから都心にサリンを撒けば、そういう混乱の中で警察が入ってこないと、いう風な状況があったのは確かですね。
青木 うん
安田 しかしそんな事で阻止できるはずがありませんからね。
青木 うん
安田 ですからそんな、計画的に本当にやったんだろうか?と、いう風に思うんです。
青木 うん
安田 それからもう1つは、あのー、当然集団的な行動ですから、集団心理が働くかもしれませんけど、あの中にキーパーソンがいるんですね。
青木 うん
安田 つまり村井さん(注:村井秀夫/オウム真理教幹部だったが南青山にあった教団東京総本部前で暴力団員の男に殺害された)という人が、この人がキーパーソンで、この人が亡くなっているものですから全く話が聞けないんですね。
青木 うん
安田 しかしオウムのこう、十何件の事件をみてくると、確かに結果は大きくて、そして被害者の数も大変多いですしね、それからその、やろうとしたことも大きな事なんですけど、しかしやっぱり場当たり的というかね
青木 うん
安田 あの、組織で何かをやるというようなものではなかったのではないかと僕は思いますねぇ。
青木 うーん
続いて『警察が地下鉄サリン事件を阻止できなかったのは不可解』という話をしていた。
安田 でちょっと今話が出なかったんですけど、僕はもうひとつあの事件で興味があったのはですね、どうして警察はアレを阻止できなかったのかと。
青木 うん
江藤 おお
安田 そんなに緻密な計画でもないんですね。
江藤 へぇー
安田 というのは、あの、実行した人たちっていうのは実行の前日ですけども、2回も往復している訳です。高速道路も使っているわけでして。しかもサリンを持ち出した場所っていうのは道路のマン前なんですよ。
江藤 うーん
安田 つまり建物の中から出てきたんじゃなくって、道路に接している建物、そこから出てきている訳ですから、もう傍から見ればすぐ分るわけですね。で、そういうものがどうして阻止できなかったのかと。
青木 うーん
安田 そこら辺りもやっぱし、あの事件では解明されなければならない、もうひとつのテーマだっただろうなと思うんですけどね。
青木 不思議なんですよだからアレは。あの年は、95年はね。
江藤 はい
青木 まぁ、前の年の年末くらいから、そのー、オウムがね、どうも、山梨県のさっき安田さんが仰っていた上九一色村っていうところに、サリンの残留物質があったと警察が知ってですね、それを元日の読売新聞が特ダネでスクープするんですね。で、その後阪神大震災が起きるんですね、なので大混乱になっちゃうんだけども・・
江藤 うん
青木 その頃から警察はオウムを徹底的に追跡していたはずなんですよね
安田 完全にマークしていましたね。証拠関係を見ましてもね、あの、あの教団が買った薬品とかですね、あるいは色んな装置っていうのを徹底して調べているんですね。
江藤 へぇー
安田 ですから、何がどこに行ったかというのは、あるいは、どういう形でどこに貯蔵されているかって全部知っていたはずなんですね。証拠上出てくるんです。で、更にサリンってのは地上に存在しない物質ですから、存在しない物質が例の第七サティアンの側溝から見つかるんですよ。そこで作っている以外ない訳なんですね。それが割合早い時期に、その、発見されているんです。
青木 うん
安田 だから今のDNAみたいな形でですね、お墨付きは強く認定できるんです。でもそれはずっと置いていたわけですね。
江藤 うん
安田 で、先ほど出ましたね、読売新聞が一月一日の元旦の朝刊でしたね
青木 朝刊でしたね
安田 一面トップで出るわけです。
江藤 へぇ
安田 オウムの人たちはどうしたかというと、それで、そういうものは全部廃棄するんです。
江藤 はい
安田 材料から始まってですね、作ろうとしたプラントなんかも作れないようにしてしまうんです。ですからあそこには原料は無かったはずなんです。
青木 うん
江藤 うん
安田 ところが3月の、サリンが作れちゃったわけですからね。
青木 うん
安田 それもまた変な話なんですね。
次に、『裁判所は植物状態の麻原に治療を認めなかった』という話をしていた。
青木 あのー、警察の問題もあるし、それからー、これ江藤さんね、麻原彰晃といったらね、まぁだからオウム真理教といったらね、戦後最大級の事件ですよね
江藤 はいはい
青木 まぁ結果としてですよ?
安田 はい
青木 もっと早く捜査できていたんじゃないかという疑問もね、安田さんが仰る通りあるし、僕も思い続けている事なんですけど、裁判の話、オウム裁判に目を移すと、これ、一審しか事実上やっていないんですよね。その松本智津夫被告ってのは一審で死刑判決が出たんですね
江藤 はい
青木 で、二審、だから高裁ってのはほとんど審議を開いていないんですよね
安田 全くやっていないですね
江藤 うーん
安田 彼はあの、一審の途中で精神的におかしくなりましてね、まぁ一種の植物人間的な反応しか出来ないような状態になったんですね。
青木 うーん
安田 で、まぁそれがどんどんどんどん重くなっていく。で、一審の死刑判決が終わった頃にはもう自分がどういう存在なのかもわからないと。そうするとそういうような状況で裁判は開けないんじゃないかと。
青木 うん
安田 で、精神科医の先生に診ていただくとですね、あの、5人の先生に診ていただいたんです。で5人ともですね、治療できると。
青木 うん
安田 心因性拘禁反応って言いまして、中にこう拘禁されまして、こう、精神的な刺激を受けて今のような状態になっていると。で、『そういうものは簡単に治療できるんだ』と仰ってらっしゃったわけです。
江藤 うん
安田 しかし今の状態は物事を理解することも出来ないし、あるいは自分が一体どういう所に居るかさえも理解できない状態だから、これは裁判続行など出来やしないと。いう事だんたんです。
江藤 うん
安田 ですから二審の弁護人の人たちは『今裁判を始めるんではなくって、彼を治療してから裁判を始めましょうよ』と。とやった訳ですけども、それが認められなかったんですね。
江藤 うーん
安田 それで、二審の場合ですと、控訴趣意書ってのを出さなければならないんです。これは一審の判決がどういうところがおかしいというのを書く書面なんですね。
青木 うん
安田 その書面を出す日が決まってましてね、それを過ぎてしまった場合、控訴自体が無効になってしまうんです。
青木 うん
安田 まぁそういう規定の中にあってですね、で、本人から一度も話を聞けない。一度も会えないような状態の中で控訴趣意書さえ書けない。で裁判所の方は『待ってあげましょう』と言っていたんですけど、途中から言葉を翻してですね『待つことはできない』と、いうことで控訴無効と。
青木 うん
安田 控訴棄却っていうんですけどね。棄却されてしまって確定してしまったと。
青木 あのー、麻原教祖が全て指示したのか、指示していないのか、わからない。それからもっと言えば戦後最大級の事件なわけですよねぇ。死刑の是非とかね、松本智津夫囚を死刑にするべきかするべきじゃないのかっていう議論も含めてなんですけど、でも本当はどうだったのか?っていう作業を事実上放棄しちゃって、で・・
江藤 な、なんで治療って認められなかったんですかね。
青木 うん
安田 あの、拘置所の方も裁判所も『彼はおかしくなっていない』と。いう風な事実を作り上げてしまったんですね。
青木 うん
江藤 うーん
安田 ですからそれを撤回するわけにはいかないものですから、結局それを強行してしまった。
江藤 うーん
安田 それからもう一つは、やはり当時はですね、『早く裁判をしろ』と。『早く決着をつけろ』と。あるいはもっとヒドイ声っていうかな、強い声っていった方がいいでしょうね、ヒドイじゃなくて。『もう早く潰してしまえ』と。
江藤 えぇ
安田 いう声が多かったものですから、裁判所もゆっくりしておれなかったと。いうのがありますね。
江藤 えぇ
更に『結果ありきの政治裁判』という話をしていた。
青木 つまり、さっきの話じゃないですけど、『事実はハッキリ言えばどうでもいいんだ』と。こんな極悪人だし、教祖であるのは間違いないのだし、ましてやイッパイ悪いことしている訳だから、そんな余計なことをしている前にとにかく・・
江藤 早く結論を!みたいなことですか?
青木 っていうことなんでしょうねぇ
安田 そうですね。まぁそれは裁判が始まる時からそういう傾向はありましてね、で、僕が一審の弁護人になってですね、裁判所と打ち合わせをした時も『これは2年以内に片付けますよ』と。んなことをですね(笑)、その裁判長が言うわけですよ。
江藤 えー
安田 そんなこと有り得ないことでしてね、それは時間がかかることも有りますし、早く済んでしまうことも有るわけですけども、しかし記録さえも来ていない訳ですよ。
江藤 ええ
安田 まぁ日本の裁判は起訴状一本主義って言いましてねぇ。あの裁判所には、起訴された段階、つまりスタートの時点では起訴状にこの人は何をやったかというのが書いてあるだけでですね、証拠は一切書いていないんです。
青木 うん
安田 そーいう状況の中で『2年で片付けましょうよ』っていう話が出てくるもんですから
青木 裁判長が言ったんです?
安田 うん。・・・逆に言えば、国家をあげて早く決着を付けちゃおうと、いう思いがあったんでしょうね。
江藤 うーん
青木 まぁ松本智津夫囚をどういう風に見るかっていうのは別としても、まぁ一種の政治裁判だったということですか
安田 うん。あの、やっぱり司法がずっと今まで戦後続けてきた『事実が大切だ』と。『被告人の権利を守らんといかん』と。そして『裁判は公正に行わられなければならない』ということを一生懸命積み重ねてきたわけですね。
青木 うん
安田 それがこの裁判では一気に吹っ飛んでしまったという感じですね。
と話していた。
【あわせて読みたい】安田好弘弁護士が語る「光市母子殺害事件、検察が作ったストーリーの矛盾」
2012年11月22日にTBSラジオで放送された「ニュース探究ラジオ Dig」にて、「日本の司法制度と死刑」というテーマで語られていた。ゲストには一部で『悪魔の弁護士』とも呼ばれている安田好弘弁護士が登場。安田弁護士が担当したオウム真理教・地下鉄サリン事件や和歌山カレー事件、光市母子殺害事件などについて語っていた。 | ![]() |
■会話をしている人
安田好弘(弁護士)
青木理(ジャーナリスト)
江藤愛(TBSアナウンサー)
まず語っていたのは安田弁護士が考える元少年Aに対する認識について。
青木 やっぱり安田さんが一番非難されたのはですね、光市の母子殺害事件だと思うんですね。メールでも着てました。
江藤 うん
青木 で、そのことをちょっと聞きたいんですけど、例えば江藤さんなんかご記憶かなぁと思うんですけど、そのー、まず主張が荒唐無稽であると。
江藤 はい。そうですね、なんかドラえもんがってのは『それは本当なのかなぁ』って思うし、それをなんか、弁護する気持ちってどんな気持ちなんだろうってのは凄く気になりましたね。
青木 いかがですか?
安田 あの、僕なんかは事実は事実としてしっかりと出していくべきだろうと、うんな風に考えているんですね。事実が、これを喋れば有利になるとか不利になるとか、そういうもの・・・つまりバイアスを掛けてはいけないという風に思っているわけです。で、あの事件で、やはりあの、今仰ったようにドラえもんの話が出てきました
青木 うん
安田 彼の口から出てきたわけですね。で、当然僕の中ににもそういうものを出せば、あぁー、荒唐無稽な話をしているという風に非難されるかもしれないということも当然僕の中で考えました
江藤 うん
安田 しかし彼は、あの事件をやった時にどうだったか、問われているわけでしてね
青木 うん
安田 10年経った時にどうだったかじゃないんです。あの事件の時に彼は何を考え、何が頭の中に去来したかという問題なんですね。で、当然時間をかけて彼からどうだったかということを話してもらうと。でもちろん話してもらった中身を僕たちの中で検証していくわけですね
青木 うん
安田 で、あの事件で重要だったのは、やっぱし大変彼が幼かったと
江藤 うん
安田 年齢的には事件を犯したときには18歳と1カ月だったんですが。あの、私の、私の目から見ても大変幼い、中学生のような感じだったですね。中学生でも中学校1年生・・・な感じでしたね。それで、そういうその、まぁ家庭の中で虐待を受けて、そしてお母さんが亡くなられて、そういうショックの中で成長が止まってしまった
青木 うん
江藤 うん
安田 で、あのぅ、精神科医の人、先生とか、あるいは心理学者の先生などにもやはり、あの、彼と接触して頂いて色んな意見を頂いたりしたわけですけど、やはり皆さん、『彼は成長が止まっている』と。
江藤 うん
安田 『幼いままの状態である』と。しかも、現実と非現実、まぁ現実とファンタジーの世界、そういう中で生きてきた。
青木 うん
安田 という話なんです。
江藤 うん
安田 で、そういうところで彼のドラえもんの話が出てくるわけですね。恐らく彼はその時そう思ったんだと思うんです。
江藤 うん
安田 つまり自分がやってしまったことを、どうすることもできない。しかしドラえもんはやっぱしあの・・・僕はあんまり漫画は、ドラえもんの漫画は見ていないんですけども、夢をかなえてくれる。出来ないことをやってくれる。つまり自分がやってしまったことを元に戻してくれると。いう思いで、だったんだろうと思うんですね。
青木 うん
安田 彼が、ドラえもんということは。大変象徴的な、言葉だし、彼もホントすがるような気持ちだったんじゃないかなと思うんです。それはそれで彼が語る、実際に彼がその時にそう思った、としたら大変大切な事実ですから
青木 うん
安田 それはやっぱり法廷に出すべきだし、その元に彼がやったことを理解すべきだろうと、いう風に思ったんですね。
青木 あのー、その、とにかく被告人である、あのー、少年ですね。が、そういう風に言ったと。まぁドラえもんっていうことを言ったと。まぁ安田さんたち弁護団が、あのー、調べてみる限りでは、そのー、幼かったということも含めて何か子供の頃にお母さんが目の前で自殺しているんですよね?
安田 まぁ目の前というか・・
青木 遺体を見付けちゃったんでしたっけ?
安田 もう少し正確に言いますとね、お母さんが自殺されそうだったものですから、まぁ、お父さんに『危ないからしっかり見といてね』って、言って、あの、寝てしまうんですね。で朝6時にお父さんに起こされた。お母さんがガレージの中で自殺してられたと。で、起こされて下に降りてきた時には台所の、そのフローリング、木だったかなぁ、木の床の上に、横に、横たえられていたと。・・・いうところを彼は記憶しているんですね。
青木 うん
江藤 うん
安田 まぁそういう状況を体験していて、で・・・まぁそれは大変、その、中学校1年生ですから、厳しい体験だったんでしょうね。それからまぁ、その前にかなり激しい虐待も受けていたわけですねぇ。
続いて語っていたのは、元少年Aによるドラえもん発言の真相について。
青木 あのー、わかるんですけどね
安田 はい
青木 あのー、光市母子殺害について言うと、その一審は無期懲役ですね。最初の一審ですね。でその次二審は無期懲役と
安田 はい
青木 でその後最高裁が『これはおかしい』と差し戻すと。
安田 はい
青木 そこから安田さんたち弁護団が担当したわけですよね。
安田 そうですね、あの、差し戻しする直前・・ですね。
青木 直前ですね
安田 あのー、弁論の日にちが入って、そしていよいよ判決という、直前に引き受けたってことになるんですけどね。
青木 うん。でね、その段階で、その、先ほど言っていたドラえもんとかね、まぁドラえもんというのはあまりに象徴的なので『ドラえもん、ドラえもん』と言うのはあまり良くない気もするんだけど、まぁドラえもんとか、そういうのが出てくると
安田 うん
青木 で、ご遺族の立場、被害者遺族の立場からするとね、『そんなことお前、一言も言っていなかったじゃないか!』と。
江藤 そうですよね、急に・・
青木 『何を今更言い出すんだ』と。『それもこんな荒唐無稽なことを』っていう気持ちも、まぁ十分わかるなっていうかね、まぁ分からなくもないなって思うんですけど、その辺はどういうことなんですかね
安田 まぁ私が一審の弁護人をやったわけじゃないんですけど、彼、の話を聞いてたりするとですね、事実について聞かれていないんですね
青木 うーん
安田 それから、彼自身が自分がやったことはどういう事なのか、まともに理解できていなかった部分もあるでしょうね。それから高裁になってからもやはり事実について聞かれていないんです。
青木 うーん
安田 まぁ裁判所で被告人質問ってありましてね、で、彼が法廷に立って、『何をやったの?』って形で弁護人とか裁判官、検察官から聞かれるわけですけど、ほとんどまともに事実を聞かれていないんです。
江藤 うーん
安田 で自分がやったことって自分から話すことではありませんから、人に聞かれない限り話せないわけですし、自分がやったことを振り返るなんて大変怖いことですから、なかなか自分から話すってのは難しいんですね。
青木 うん
安田 でしかし、やはり、その、しっかりコミュニケーションを取っていくと、いう中で初めて彼は自分がやったことを語れるようになると。
青木 うーん
江藤 うーん
安田 まぁ彼にとってもやっぱり痛恨の思いのことですし、思いだすだけでも怖いことですし、そして、ましてやその、精神的には凄く幼いですから自分を表現するってのは得意じゃない。
青木 うん
安田 ましてや弁護人なんてのは大人ですからね。シンパシーなんて感じるわけありませんでして。ですから、こちらから一生懸命こう聞いていかないと、彼は語れないと、いう事なんでしょうね。だからそういう話がずーっとずーっと後になって出てきた。逆に言えば、10年も経って、そして20歳を超えて、でようやく話すことが出来るようになったと
青木 うん
安田 ・・いうのが後になって出てきたことの真相だろうと思っているんですけどもね。
次に、捜査段階の供述の矛盾について語っていた。
江藤 杉並区49歳の方のメールです。『死刑反対はわかります。でも赤ちゃんを泣き止ますため、赤ん坊を泣き止まそうと首に蝶々結びをした所、きつく締まり過ぎてしまい赤ん坊は死んでしまった。これも傷害致死に当たる。泣き止ますために蝶々結び?こんな詭弁を弄してまで現状の仕事を継続される意図を聞きたいです。被害者への冒涜と考えられたことはないんでしょうか?』
青木 いかがですか?
安田 これは事実の問題ですからね。あの、ストーリーとしてどういう物語を作り上げるかじゃないんです。客観的事実がどうだったかということです。ね、そうだとすると、あの、紐は本当にキツく結ばれていたんだろうか
青木 うん
安田 もしキツく結ばれていたのだとすれば、あの、紐がですね、食い込んでいって、皮下出血といいましてね、あの、いわゆる紐の、接している皮膚の下には出血が起こったりするんですね。そういうものが起こってならなきゃならないんですけども、この事件の場合はそれが無かったんですね。つまり紐の跡はあるけども紐で厳しく縛った跡が無いんです。ですから、そういう事実から逆に追いかけていくわけですね。・・・で、彼の供述、捜査段階の供述はですね、もう、手の指が白くなるぐらい力一杯ですね、あの、縛ったというんですね。
青木 うん
安田 しかしそうだとすると、例えば、そのー、中の筋肉が断裂していたりですね、あるいは表皮が剥がれていたりしなきゃならないんですが、そういうモノが全く残っていない、わけですね。
江藤 うーん
安田 そーっと結んであるわけですよ。でそういうところから、やっぱり事実を見ていくと、いう風になるんですね。
青木 うーん
次に語っていたのは、元少年Aが獄中から友人に送った手紙の内容について。
江藤 はい、あのユーさんからのツイッタ―なんですけども『安田さんはあの手紙についてはどうお考えなんだろう?光市の加害者が獄中から友達に送ったあのトンデモ無い手紙。強がりなのかそれとも。』
青木 うん、この手紙もね、すごく批判を浴びてましたねぇ、その・・
江藤 そうですよね、被害者遺族に対して、なんか言ってましたよね
青木 まぁあの、なんだったっけ、同じ、その、獄中仲間っていうかに発信した手紙で、まぁ非常に被害者、まぁなんか、『俺は謝っているふりをしているだけなんだぜ』的な手紙だったんですけれども、あの手紙っていうのはどんな風に安田さんご覧になっているんですか?
安田 そうですね、あの、彼は全然もう反省という・・・何を反省していいか分からない
江藤 うん
安田 なぜ自分がここで裁判、で何を問われているかも、分からないと。そういう状況の中で書いた手紙だと思うんですね。で、まず彼が書いたのではなくって、彼の、こう同じような所に入れられているですね、その人から来た手紙に答えているわけです。
江藤 うん
安田 ですから、彼の手紙を理解するためには、彼にどういう手紙が来て、その手紙にどう答えたかという、その、いわゆる来た手紙と出した手紙と両方対で見ないとなかなか理解できないんですが来た手紙が、大変挑発的なんですね。
青木 うん
江藤 うん
安田 で、彼を称えるわけですよ
江藤 うん
安田 こんな、その、若い奴が、こんなドでかい事件をやったと。君は凄い!って感じのですね。『将来作家でもなったらどうだ』と。そういう感じの手紙とか、あるいはもっと性的な手紙とかがですね、来ましてね、まぁ彼はそれに乗っちゃうわけですね。
江藤 乗る。うーん。
安田 で、乗っていいのか、乗ることがどれほど酷いことなのかと、いう事さえも理解できなかったと。
青木 うーん
安田 というのが実情ですよね。
江藤 うーん
続いて、一審二審の弁護と安田弁護士の弁護士としての信条について語っていた。
青木 あのー、安田さんのお話を伺って思ったのは、その、この事件ね、これ凄く嫌な言葉なんですけど量刑相場っていう言葉があってね、その、だいたい何人殺したら死刑とかがあるんですね。
江藤 あ、はい。
青木 その時の弁護士さんってのはたぶん・・どっちの弁護士さんが良いとかは別としてね、その、『この事件はとにかく死刑は回避するんだ!』と。ハッキリ言えば、事実なんかはどーでもいいと。とにかく『申し訳ない、申し訳ない』と、『子供だったから本当に申し訳ない』という風に言って、・・のが弁護なのか、あるいは、その『事実を見ようよ』と。で、『事実を見ると違うところが一杯あるじゃない』と。『それを土台にした上で物事を見ようよ』という弁護士さんとがいらっしゃって、安田さんはやっぱり、どちらかというと後者にこだわると。
江藤 うん
青木 つまり、『事実が無かったら何もならないじゃないか!』っていうことなんですね
安田 そうですね、まぁそうでないとこの仕事をやっている意味はありませんからね。その量刑相場がどうかっていうので、手を抜いたりするわけにいきませんからね。
江藤 うん
安田 で、この事件、今でこそ死刑ってことになっているんですが、過去において、およそ死刑にならなかった事件の中身なんですね。ですから一審も、二審の弁護士の人も争わなくって『静かに、早く終われ』と。
青木 け、『警察の仰っている通りです』と。
安田 という事なんでしょうね。本人も幼いものですから、何も喋らないと。法廷で喋らせないというような思いもあったと思うんです。で、ああいう形で弁護人が期待した通りの、あるいは予定した通りの無期懲役の判決が出たと。
江藤 うん
安田 ・・・いうことですね。しかしそれは検察が、作ったストーリーと言っていいんでしょうね。例えば『子供さんを殺してやろうと思って頭上から床板に叩きつけた』とね、いうようなストーリーがそのまま残るわけですね。今仰ったように『力一杯、紐で二重に締めた』と。いうような話も出てくる。で、そのままが真実だということになるわけですね。
江藤 はい
安田 そうすると『トンデモない!』という非難が巻き起こってくるんですね。
更に、番組の後半でリスナーから寄せられた意見について答えていた。
江藤 ツイッタ―でAKM001さんなんですが、『安田弁護士さん、いい人だとは思うんだけど被告を疑うっていう観点がスッポリ抜け落ちている気がする。コイツの言うことは本当なのか?言い逃れじゃないのか?そこを見極めないといけないし光市のはそれが余りにも分かりやすかったのに全部主張したからおかしいと思う訳で。』と。
青木 うん
江藤 そしてミミカキさん、『安田弁護士の気持ちや仕事に対する姿勢を理解しようと聞いていますが、今のところ私には理解できません。被害者への気持ちはどう思いますか?もし弁護した少年Aが出所して再犯したらどう思いますか?』
青木 これ、せっかくなんで、この2つにだけ答えてください、安田さん。まず、被告が疑うね、アレが足りないんじゃないかと。こういう意見ですけども。
安田 なるほどね。うん。それはちょっと違いましてね、弁護士ぐらい疑う人はいない
青木 うーん
安田 職業、立場の人はいないと思いますね。やっぱし、私どもは段段(きだ/物を細かく切り刻むさま)で付き合っているわけですから、で彼を理解しようとするし、同時に彼をこう、ホントに分析してみようと。結構辛辣な立場にいるわけでしてね、やっぱしそういう立場ですから、丸々、被告の言うこと、依頼者の言うことを信じるってことはまず無いですね。
青木 うーん。例えば、こう言って欲しいと、言って、それがウソだったと、いう場合ですね。
安田 うん
青木 安田さんなんかは、ウソは言わないっていうことですか?
安田 うん、そうですね。やっぱし1つひとつ彼の話を色んなもので裏付けていくと
青木 うん
安田 あるいは専門家の意見を聞いてみる・・・いうことですね。例えば光の場合ですと、光市の場合ですと法医学者、2人の先生に、まぁ最高裁ですともうひと方増えて3人の先生に、専門家に意見を聞きましたしね、心理学者は5人の先生に話を聞きましたし、精神科医はお1人の方に聞きましたけども。やっぱりそういう専門家の知識も、あの、私たちの・・借りてですね、事実を検証していくわけです。
青木 もうひとつね
江藤 はい。『もし弁護した少年が出所して再犯したらどう思いますか?』。
安田 彼はやらないでしょうね。
青木 うん
安田 というのは、あの事件そのものが独特のこう、シュチュエーションの中で起こったケースでして。
青木 うーん
安田 あのー、殺害しようと思って殺害したわけじゃなくてですね。あるいは、あの、強 姦しようとして、あの襲ったわけじゃありませんでして
青木 うん
安田 結局、被害者の中に自分のお母さんを見てしまったんですよね。だから抱きついて行ったんですよ。でところが、もちろん被害者の方はビックリ仰天ですから、で、ビックリされると。でそれを抑えようとすると。そういうところで事件が起こった、ケースなんですね。ですから同じようなシュチュエーションは無いでしょうし、彼は自分がやったことに関してトンデモナイことをやったと思っていますから、で、あの時期より彼は成長してきていますから、やっぱり2度とあんなことは起こさないと、私は思いますね。
と話していた。
【あわせて読みたい】安田好弘弁護士が語る「麻原彰晃(松本智津夫)裁判のデタラメぶり」
03:08
2011年12月27日に放送されたTBSラジオ「ニュース探求ラジオDig」では「THE MANZAIに見る 漫才師の今とこれから!」というテーマで議論されていた。そこでお笑い芸人のマキタスポーツさんが、競技化していったM-1について語っていた。 | ![]() |
大根仁(クリエイティブデレクター・映画監督)
江藤愛(TBSアナウンサー)
大谷ノブ彦(お笑いコンビ・ダイノジ)
大地洋輔(お笑いコンビ・ダイノジ)
マキタスポーツ(お笑い芸人)
岡宗秀吾(テレビディレクター)
大根 10年以内じゃなくて、参加者の権利をフリーにフラットにしたっていうのは、これはやっぱりTHE MANZAIにするにおいての発明のひとつだなぁって俺は思いますねぇ。
一同 うーーん
マキタスポーツ(以下マキタ) M-1の10年の歴史ってそういう風にイノベーションとか、あのー、『新しきことが良いことだ』みたいな価値観が相当こういったんですけど・・
大根 うん
マキタ そのー、僕らよく言ってたんですけど手数(てかず)って言って、4分内の中のタイムトライアルで、いかに笑いを多くそこに放り込むかっていうことで、進化してきたところが・・だってそこがツッコミだったりするんですよね
大根 うん
マキタ でぇー、ツッコミでぇ、その中で生まれたのが、笑い飯やナイツだったりすると思うんですけどね。だけどその先にあったのは、あのー結局、手数の時代で、僕ね計算したんですよ、4分内でどんだけボケがあってどんだけ回収できたのかというのを何分の何とかね計算したことあるんですよ。
大谷 競技、競技だ(笑)
マキタ うん、そしたら如実にわかるんですけど、ドンドンドンドン笑いが軽くなっていったのものあるんですよ。それが、あーとーー、何でしたっけあいつら、、あのー、凄い一杯ボケてた・・ナイツより多かったんだ結局
大谷 ノンスタイル
マキタ ノンスタイル!ノンスタイルが多かったんですけど。ノンスタイルの印象度があんまり無くなってしまったという結果になったんですよね。
大根 あー
江藤 あー
マキタ これは、ひとつの競技というものがだんだん成熟してきてルールとかそういうものが明文化されるっていうか分かりやすくなってきた時に傾向と対策がハッキリと掴みやすくなった
大根 うん
マキタ 何のジャンルでも起こりやすい事なんですけど。格闘技とかも見てるとぉ、格闘技の最初のゴロッとしてた頃って、やっぱり喧嘩が強い奴っていうかステゴロ(注:素手の喧嘩)が強い奴が強いんすよ。
大根 うん
マキタ でもルールがちゃんと整頓されてくると、今度はルールを利用して勝つ奴がでてくるんですよ
大根 うん
マキタ っていう事かなって思った先に、10年かけて10年目くらいにしてようやくスリムクラブってのが『脱手数』ということで、ぜんぜん間がスカスカのものが出てきたとこで、とりあえずこう終焉し終わっているんですね、今はね。
大根 うん
マキタ で、今までの競技化っていうことで言うと、極端に10年かけて一気にそういうことをやって見せた場だったから凄かったんですけど、そういうものがあったからこそ、そういう蓄財というか貯金だったと思うんですよ。それを、バラエティの、やっぱフジテレビとかがカウンターとして、『M-1がやらなかったことをまずやりましょう』ってこととかはまずあったと思うんですよね。
大根 うん
マキタ うん。だから、そういう裏は取りやすかった。
大根 うーん
マキタ ・・と僕は仮説で思ってます。だから2年目以降、来年以降、そのTHE MANZAIってのがどう風にレギュレーションを、あのー、やっていくのかなっていうのが気になっているんです。
と語っていた。
- Thread
- ジャンル : テレビ・ラジオ
- テーマ : お笑い/バラエティ 全般
2011年12月27日に放送されたTBSラジオ「ニュース探求ラジオDig」では「THE MANZAIに見る 漫才師の今とこれから!」というテーマで議論されていた。そこでダイノジの大谷ノブ彦さんが、2004年のM-1予選でダイノジが最もウケたのに予選落選した理由について語っていた。 |
大根仁(クリエイティブデレクター・映画監督)
江藤愛(TBSアナウンサー)
大谷ノブ彦(お笑いコンビ・ダイノジ)
大地洋輔(お笑いコンビ・ダイノジ)
マキタスポーツ(お笑い芸人)
岡宗秀吾(テレビディレクター)
大谷「2004年が俺ら最後の年だったんすよ。」
大根「うん」
大谷「2004年の時ね、どう客観的に見ても・・次の日読売新聞にも書かれたんだけど、俺たちが一番ウケてたんすよ。」
大根「おー」
大谷「それは、自分でも・・自他共に認めるというか、100%決勝に行ったなみたいな・・。俺たちと磁石だったんすよ。でも2組とも落ちてたのね。」
大根「うん」
大谷「で、『うわっ!』って思った時に決勝のメンバーを見たときに、当時東京ダイナマイト、トータルテンボス、ポイズンガールバンドって。」
大谷「もう、新参の新しい人たちが、タカアンドトシとか。・・見たときに、M-1は新しい漫才の価値観を提示するってことになったと思ったんすよ。」
大根「うーん」
大谷「そん時に俺たちは納得したんですよ。だから10年以内なんだって。」
大根「うん」
大谷「10年超えても参加できるってことは、だからそーいうことなんじゃないかなって。」
大根「うーん」
大谷「それはもうフラットなんすよね。10年以内だったら漫才の価値観を壊した奴しか出ちゃいけないと思うんですよ。」
大根「うんうん」
大谷「それで最高傑作ってたぶんブラックマヨネーズだと思うんすよ。」
大根「うん」
江藤アナ「うーん」
大谷「壊した上でオリジナリティがあって、しかもメチャクチャ面白かったっていう・・。その次の年のいわゆる・・えっと、あのー、カッコイイ徳井くんのところの・・」
マキタスポーツ「チュートリアル!」
大谷「チュートリアルとかぁ、までだと思うんすよね。で、たぶんそこで行き詰ったと思うんすよね、みんな。」
大根「うん」
大谷「って時に、敗者復活しかなかったんだと思うんすよ。」
大根「うんうんうん」
大谷「ストーリーで用意されているものって敗者復活しかなくてサンドウィッチマンだったと思うんすよ。」
大根「うん」
大谷「あとは競技になったと思うの。それ以降の3組は、まぁ笑い飯は別として、たぶん競技みたいになって、最後スリムクラブみたいな、かなりイビツな、かなり特殊な漫才しか残んなかったのかなぁーっていう風に・・」
大地「面白い(笑)」
江藤アナ「うふふふふ(笑)」
一同「ハハハハハ(笑)」
岡宗「聞いちゃうなぁー」
マキタスポーツ「うん聞いちゃう」
大根「さっきから面白いこといっこも言ってないけど大丈夫ですか(笑)」
一同「ハハハハ(笑)」
と語っていた。
2011年12月27日に放送されたTBSラジオ「ニュース探求ラジオDig」にてダイノジの大谷ノブ彦さんがTHE MANZAI(ザマンザイ)での活躍で脚光を浴びているお笑いコンビ「Hi-Hi(ハイハイ)」について語っていた。 |
大根仁(クリエイティブデレクター・映画監督)
江藤愛(TBSアナウンサー)
大地洋輔(お笑いコンビ・ダイノジ)
大谷ノブ彦(お笑いコンビ・ダイノジ)
岡宗秀吾(テレビディレクター)
大谷ノブ彦「元々は僕らの先輩なんすよ。」
岡宗秀吾「そうなんですか。」
大谷ノブ彦「ロンドンブーツ1号2号さんと同期で、DonDokoDonさんとか・・。」
江藤アナ「1998年デビューですか?」
大谷ノブ彦「1998年って書いてるんですけど、これは事務所を移籍してからなんですよ。僕らの1994年のもっと前ですね。」
江藤アナ「ふーん。」
大谷ノブ彦「吉本って芸人いすぎるから当時リストライベントってあって。」
江藤アナ「うっ!?」
大谷ノブ彦「でまぁ、クビにするんすよ、その場で。新聞社も来てて、クビの人にインタビューしたりするんですけど2組クビになったうちの1組がHi-Hiさん。当時ダブルモッシュという名前だったんですけど。」
大根仁「吉本の企画で?・・・吉本の誰かが?」
大地洋輔「劇場の企画です。」
大根仁「うわっ!」
江藤アナ「きびしーぃー。」
大谷ノブ彦「いやぁ、もう耐えれなかったあの空気。エンディングで。」
大根仁「でてたの?」
大谷ノブ彦「はい。」
大地洋輔「僕らでていました。」
大根仁「じゃ、クビにされるかもしれなかったんだ。当時は前説でネタやるの断るくらい尖がってたからねー。」
大地洋輔「やめてくださいよ(笑)でも正直俺らが落ちるわけねぇと思ってましたよ(笑)」
大谷ノブ彦「正直ね(笑)」
一同「ハハハ(笑)」
さらに、以下のように語っていた。
大谷ノブ彦「それでクビになられて、それからしばらくやってなかったですけど他事務所に移られて。で、名前を変えてやられてて・・。だからずっとそういう付き合いでしたね。
で、僕が素晴らしいなと思ったのは、東京勢と大阪勢みたいな別れ方がちょっとあるんすよ。と言うよりも、吉本と東京漫才ってのがあるんすね、今。明確に。東京漫才って、例えば『流れ星』とかそうなんすけど良いところまでいって落ちてんすけど、わりと落ちた奴らが今回結構へこんでて。」
大根仁「流れ星おもしろいもんね。」
大谷ノブ彦「はい、だからそういう奴らの悩みとか相談とかを全部受け止めていたのがHi-Hiさん。」
一同「おー。」
大谷ノブ彦「なぜ続けられたのか、みたいなことを言っていた人がこの一回で昇華した時に東京勢の嬉しがりようハンパなかったっすね!」
一同「へー!」
大谷ノブ彦「で、最後の打ち上げの席で、うちの吉本のクビを言い渡した社員がこのTHE MANZAIの企画者の一人なんですよ。」
江藤アナ「そうなんだ!」
大谷ノブ彦「で、『あれってもしかしてダブルモッシュさんですか?』ってなって。それでHi-Hiさんが『そうです』みたいになって『その節はどうもすいませんでした。』って(笑)」
一同「ハハハ(笑)」
江藤アナ「えー!」
大谷ノブ彦「『「いやいやいや』みたいな事を言いながら笑い合っている時に、何ていう終着点なんだろうみたいな。・・こんなとこまで面白い物語が出来ているんだって思った時に、この先もずっとあるんだろうなって。」
と話していた。
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