2014年6月23日に放送されたTBSラジオ「荒川強啓 デイ・キャッチ!」にてジャーナリストの青木理さんが通称カジノ法について話していました。公営ギャンブルやパチンコを加味すれば日本は世界屈指のギャンブル大国であること。公営ギャンブルなんてカジノより数倍ギャンブル性が高いことなどを数字を交えて解説していました。 | ![]() |
■会話をしている人
青木理 (ジャーナリスト)
荒川強啓 (フリーアナウンサー)
片桐千晶 (フリーアナウンサー)
青木 ご存知のように「国内でカジノの設置を認めようじゃないか」っていう複合型リゾート施設整備法推進法案。通称カジノ法案ってのが先週の水曜日に衆議院の内閣委員会で審議入りしたんですね。
片桐 はい
青木 で、これ安倍さんも「成長戦略の1つにしようじゃないか」とか、まぁ一部の議員の人たちは「推進しようじゃないか」って賛否が結構あって、今日なんか例えば朝日新聞なんかは社説で、「これは反対だ」と。こう言っているんですね。
荒川 うん
片桐 ええ
青木 でまぁコレちょっと、反対賛成以前に、日本に博打(バクチ)一杯あるじゃんっていう話をしたいんですけど。
片桐 ええ
青木 実は、世界で最大のカジノってはマカオなんですね。
片桐 うん
荒川 うんうん
青木 これカジノの件数が33あって、年間売り上げが2010年で2兆3千5百億円くらい。最近はもっと伸びてて、中国人がお金持ちになっているせいもあると思うんですけど、4兆円と。年間売り上げがね。
片桐 おー。
青木 ちなみにラスベガスってのは60億ドルで、6000億円ね、年間売り上げが。
片桐 あ、そうなんですねぇー。
青木 そうなんです。ところが、日本って公営ギャンブルありますよね。強啓さんもやられるかなぁって(笑)
荒川 うん?いや、なんですか?
青木 公営ギャンブル
荒川 まぁ競馬・・
青木 競馬、競輪、競艇、オートレース、宝くじ。なんてのを含めて、これの年間の総売り上げいくらあると思います?。
片桐 えぇ。もっと多いってことですか
青木 5兆円なんです、5兆円。
荒川 うーん
片桐 へぇー。
青木 つまり、マカオの倍くらい。ラスベガスの10倍くらいになっていると。で、これ以外に、パチンコ。これ事実上の、まぁギャンブルですよね。そのぉ、まぁ一応はギャンブルじゃないってことになっているんだけど(笑)。事実上のギャンブルで、これが20兆円産業って言われているからぁ
片桐 はい
青木 って考えると(笑)。日本に何カ所もカジノがあるみたいな感じと同じようになっているわけですよ。
荒川 うん
片桐 うん
青木 だから「日本はもう世界有数のギャンブル大国じゃないか!?」ってことも言えるわけで、じゃあここにカジノを入れるの賛成反対かってちょっとナンセンスなんじゃかいかって気もするし。もう1つは、これあんまり言うと凄く怒られるので控えめに言うんですけど(笑)
荒川 うん
青木 その、ギャンブルやる人って・・・やったことありますよね?強啓さん。
荒川 はいはい
青木 何のためにやるかって言えば、「お金儲けできないかな」って思う訳じゃないですか
荒川 うん、まぁそうですね。
青木 「ちょっとは儲からないかな」って。
荒川 えぇえぇ
青木 で、どんなギャンブルでもそうなんですけど、その、控除率ってあるんですよ。
荒川 はい
青木 控除率って何かって言うと、専門的に言うとね、賭け事、まぁギャンブルですよね、賭け事を運営する者、つまり胴元ですよね、
片桐 ええ
青木 胴元が掛け金を掛ける者にお金を配分しないで自分が取ってしまう金。まぁつまりテラ銭ですよね。
荒川 うん
青木 親だからテラ銭がある。これがないとギャンブルをやっている人(運営者)って儲かんないわけですよ。だからギャンブルってのは絶対に胴元が儲かるように出来ているわけですね。
片桐 ええ
荒川 うん
青木 だからその取る率のことを控除率って言うんですよ。
荒川 あぁー。物も良いようだね。テラ銭のことを控除率って(笑)
青木 この控除率が高いか低いかってのはギャンブルに参加している者、つまり賭け事をしている者にとっては非常に重要なわけですよ。親がたくさん取っちゃったら勝てる率ってどんどんどんどん減っていくわけだから。
片桐 あー。
青木 大切なんだけど、実はこれ、公営ギャンブル。競馬、競輪、競艇、オートレースって何パーセントだと思います?
片桐 うーーん
荒川 結構控除率しっかり持っていかれるんだよね
片桐 フフ。実感ともなっていますね(笑)
青木 フフ(笑)。だいたい25%って言われているんですね。
荒川 あぁー!やっぱりその位取るんだ
片桐 うーん
青木 だから、1000円賭けると250円はもう取られる。
片桐 うん
青木 だから必然的に負けるように出来ているんですよ。まぁたまに勝ってのは、何て言うかな、その負けた人のをブン獲っているだけで親は儲かっているわけです。
片桐 ええ
青木 まぁだから公営ギャンブルが大体25%。宝くじって大体どれくらいの控除率かわかります?
荒川 宝くじ結構持ってかれてんだよね
片桐 宝くじ、結構じゃないですか
青木 宝くじはね、50%。
荒川 うわぁ!(笑)
片桐 えぇー!半分!
青木 ただし、宝くじの場合は、持ってかれるんだけど、そのお金が色んな所の・・
荒川 地方のね
青木 地方の財政に回ったりしているから、まぁ、別にぼったくられ・・まぁギャンブルとしてはぼったくりなんですよ。ただ、それが色んな事に利用されているので、まぁ良いじゃないかってことなんだけど。ギャンブルとしては、まぁ勝てないギャンブルなんですよ。
片桐 ええ
青木 で、パチンコは大体10から20%位って言われている。
片桐 はい
青木 で、まぁ一部の分析だと12%位じゃないかって言われているんだけど、ただこれ店によって違うので・・。
片桐 うーん
青木 ってことは、賭けている人にとってだけで言えば、公営ギャンブルよりもパチンコの方がまだ勝てる可能性が高いという・・。
片桐 おー。
青木 で、カジノなんですが、果たしてどうかと。片桐さんどう思います?
片桐 結構取られるんじゃないんですか?
青木 と思うでしょ?でも実はカジノってね、カジノで一番、その、お金を賭けるって昔国会議員が全部お金スッちゃいましたみたいな・・・バカラってのがあるんですね。
片桐 ええ
青木 バカラって基本的には丁半博打ですよね。これが大体・・カジノによって若干違いますがルールが決まっていますから、大体ね、控除率ですよ?、1.2%から1.5%って言われているんですよ。
片桐 へぇーー!低いですねぇ!
青木 低いんですよ。ブラックジャックが、やり方によるんですけど、きちんとやれば、つまりルールをちゃんと知っていてやれば大体1%。
片桐 へぇー!
青木 で、下手でも5%位って言われているんです。
片桐 はい
青木 で、ルーレットが2%から5%くらい。つまり大体5%以内なんです。
片桐 そうなんですねぇ!
青木 つまり、賭け事としては日本の公営ギャンブルってのはボッタクリ博打。勝てるわけがない、こういう事になるんです(笑)。
片桐 ええ
青木 挙句の果てに、例えば競馬は農水省、競輪、オートレースは経産省、競艇は国土交通省、宝くじは総務省、スポーツくじは文部科学省、パチンコは警察の天下りの権益になっているわけですよ(笑)
片桐 ええ
青木 つまり国が親元になって、ちょっとこの控除率は酷いんじゃない?っていうボッタクリ博打をしているという見方もできるわけですよね。
荒川 見方もできる。
青木 見方もできるってことですよ。そう考えると、カジノの方がもしかして良心的?っていうことも言えるわけですよ(笑)
荒川 フフフフ!(笑)
片桐 えぇーー!
青木 だからぁ、まぁもちろんカジノが入ってくると治安が悪くなるとか、間違いなくある。僕、韓国に居たので毎日のようにカジノ行ってたんですよ。
片桐 あ、そうなんですね!(笑)
青木 はい、行ってた(笑)。だいぶ貯金してきましたけど、中毒性もあるし、それから色々と悪いところも沢山あるっていうのも事実なんだけど、まぁそういう議論をする前に「日本の現状を、ちょっと公営ギャンブルはもう少し賭けた人に換金してくれませんか?」ってのを(笑)。まぁ僕もギャンブルが好きな人間としては言いたいなと思うんです、はい。
と話していた。
2014年5月20日に放送されたTBSラジオ『荒川強啓 デイ・キャッチ!』にてルポライターの姜誠(カンソン)さんが韓国の体育教育とセウォル号事故との結びつきについてお話ししていました。韓国国民の8割は泳げないし、海洋警察でさえも3割はカナヅチだというのは驚きました。泳げないから逃げられないし、助けられないわけだ。 | ![]() |
■会話をしている人物
姜誠 (カンソン / ルポライター / 在日コリアン三世)
小西克哉 (国際ジャーナリスト / 国際教養大学客員教授)
荒川強啓 (フリーアナウンサー)
片桐千晶 (フリーアナウンサー)
姜 ・・・。実は韓国のスポーツ文化から今回のセウォル号の事件を、いや事故ですね、読み解くことが可能だと、いうことを今回はお話しできたらと・・
荒川 え!スポーツから見えるんですか!? そ、それはどういう事なんですか?
姜 ええとですね、韓国サッカー強いですよね。
荒川 ええ
片桐 うん
姜 当然、裾野が広くて沢山の競技者がいると思うんですけどね・・
荒川 思います
片桐 うんうん、思います
姜 実はですね、韓国は体育、学校の体育ってのがほとんど無いんですよ。
片桐 え?そうなんですか!?
姜 やっぱりね、受験戦争が厳しいんですよね。それとね、まぁ儒教の影響が強くて、身体を動かすより座って字を書く方が偉いと。
小西 そこだよね
片桐 へぇー。
姜 それで例えば野球にしてもサッカーにしても日本の場合は4千以上、えぇ、高校のチームがあるんですね。
荒川 ええ
片桐 部活でねぇ。
姜 韓国でね、僕ちょっと調べてみたんですけど、これ2010年の数字なんですけど、えー、日本の高校サッカーが4174校。選手は15万人です。
荒川 うん
姜 それに対して韓国は、137校。
片桐 はぁーー。
姜 それからですねぇ、高校野球はですね、53チーム。
荒川 うん
片桐 えーー、少ない。
姜 それから水泳。30ちょっとしかない。
荒川 えーー。
姜 例えば日本の水泳連盟に尋ねるとですね、マスターズまで登録した人も含めると日本は22万人の選手がいるそうです。韓国は4千人です。
荒川 ふーーん!
姜 つまりですね、サッカーも野球も水泳も、競技でやっている人はプロ中のプロ。もう高校くらいからほぼプロとして活動するんですよ。
小西 はぁー。
片桐 へぇーー
姜 専門の体育高校に行って、そして大学に行って、そしてプロになると。
小西 普通の高校とかじゃなくって専門のスポーツ科みたいなところですか
荒川 ぶ、部活じゃなくて。もう一流の選手を育てようという。
姜 選ばれた、限られた少ない人数の人から、選手が23人が出ているんですね。(注:前段で話していたサッカーW杯メンバー23名のこと)
片桐 ふーーん
小西 それはそれでまた優れた選手が出てくるでしょうね、逆に。
荒川 だから超エリートは、超・超エリートなんだ。
姜 で、当然水泳もですね、超・超・超エリートしかやりませんから、基本的に韓国人は泳げない、カナヅチなんです。
片桐 え??み、みんなですか?
姜 だいたい8割以上は泳げないと思います。
小西 学校でそうだ・・・体育の時間にプールやらないからだ。
姜 体育があるんですけど、体育の時間自体が少ないですし、それから水泳が必修化されていないんですね。
小西 なるほどなるほど。
片桐 へぇーー!!
小西 プールがあるところも限られているの?
姜 高校が・・・えーっとですね、プールがあるのが全体の1.5%ですね。
荒川 ふーーん!
小西 あそうかそうか。だからみんな・・そりゃ飛び込むのビビっちゃうよね
片桐 セウォル号の・・
姜 セウォル号に残された人達もですね、泳げない人が大半なんですね。
荒川 あ、ライフジャケットを付けても、海に飛び込むってことは。
小西 だって怖いもんねぇ。水に入るのが怖いんだよね。
姜 そうなんです。だから大韓水泳連盟ってのがあって、そこに電話取材をしたんですけど関係者が言っていたのはですね、『ライフジャケットがあって目の前に見えるところに船が来ていても恐らく高校生たちは海に飛び込めなかっただろう』と。
小西 あー、そうかぁ、逆に。
片桐 えーーー。
荒川 海というものを体感していないから分かんないんだ。
姜 あの、泳がないんですね。海には行きますけど、甲羅干し(注:日光浴のこと)や波打ち際の・・
荒川 あ、浜辺だけで
片桐 海に入らない
姜 そうです。日本のように背の届かないところで泳ぐってことは、実はないんです。
片桐 えーーーー。
荒川 でも海洋警察は仕事だもん、泳げるでしょ?
小西 そりゃエリートだから(笑)
姜 海洋警察は、えー、まぁ韓国国民が8割泳げないとしたらですね、海洋警察はちょっと頑張ったんですね。それでも6割が泳げない。
小西 アハハハ!(笑)
荒川 えーーーー!!!
片桐 海洋警察が6割泳げないんですか!?
小西 ダメじゃん!
姜 実はコレですね、KBS(韓国公共放送)が短いニュースで伝えたんですけど、韓国からすると当たり前のことなんで、あんまり大きなニュースにならなかったんです。
小西 あー、そうかそうか。
片桐 国内では
姜 それで日本ではそれは配信されなかったんです。
片桐 へぇーー。
小西 なんか目からウロコですよねぇ
姜 生徒たちがほら、窓からガンガン叩いていたじゃないですか。助けてくれと。
荒川 ええ。
小西 うんうん。
姜 で、それを遠巻きに見ていたという海洋警察もですね、実は人員が1万1千人いるんですが、全く泳げないが3割、500メートル以下しか泳げないが3割。
荒川 えー!500メートル以下?
姜 はい。だから実際は救助が出来なかったんですね。
小西 教えてやろうかなぁ。1キロくらい泳げるから(笑)
姜 で、日本の海上保安庁だと5マイル(約8km)と9マイル(約14.5km)を必ず泳ぐんですね。
荒川 ええ
小西 いや、見ててね、大丈夫か?みたいな動きだったですよ。素人の僕らが見ててもね。
片桐 うーーーん
荒川 ということは、先ほど姜さん冒頭で仰っていた・・・実はスポーツ界から見る、その事故ってのはそういう背景があるわけですね。
姜 そうですね。政府の社会システム的にマズイ部分もあるんですけど、韓国のスポーツ文化と言いますか、そういった所からも今回の事件が、まぁ、悲惨なものになるっていうね、そういう事は十分に読み取れたっていうことですね。
荒川 そういう総括みたいなものは韓国国内で報道されているんですか?
姜 えっとですね、実はあんまり報道されていなくて、ここに来て野党がライフテクニックとして水泳を学校でやるべきだと法案を出すって言っています。
と話していた。
2014年4月24日に放送されたTBSラジオ『荒川強啓 デイ・キャッチ!』にて鳩山由紀夫元首相がゲスト出演していました。お笑い芸人のプチ鹿島さんが森喜朗首相はいちコメンテーターにしたら一番面白いと言っていましたが個人的には鳩山由紀夫さんの方が面白いと思います。話には必ずオチがあるんですよね。 |
■会話をしている人物
鳩山由紀夫 (第93代内閣総理大臣 / 東アジア共同体研究所理事長)
山田五郎 (美術評論家 / タレント / コラムニスト)
荒川強啓 (フリーアナウンサー)
片桐千晶 (フリーアナウンサー)
■トラストミー発言について
荒川 北区にお住いの54歳の男性です。「鳩山さんの時の(オバマ)大統領との食事会はどこで何を召し上がったんですか?」
鳩山 それはですねぇ。残念ながら官邸の脇の公邸で、私どもが住んでいるところの地下で食事をご馳走しました。
荒川 ほぉー。
鳩山 で、料理は当然ケータリングっていうことになっています。
荒川 出前。
片桐 うん
鳩山 出前です。
五郎 どこからですか?
鳩山 どこから取ったか忘れました(笑)。もう忘れちゃった(笑)。でも、神戸ビーフを「美味しい」と言って召し上がったんですけど、あんまりですね、大食漢ではないんですよ、あの方。
荒川 ふーーん
片桐 へぇー
鳩山 わりとね、小食で。その後隣に茶室があったものですから茶室にお連れして大統領がお好きだと言われているパンケーキを出してですね『食べろ』って言ったら「いや、もうお腹いっぱいだ」って食べてくれないんです(笑)。『ちょっとだけ食べて!』ってその時に『トラストミー』って言ったんですけど
片桐 そうなんですか!(笑)その時なんだぁ!
五郎 そーなんだぁ
鳩山 そしたら全然変な風に伝わってですねぇ
片桐 あっ、その時なんですか!『美味しいから食べてごらんよ』っていう意味で?!
五郎 その時なんですか!トラストミー!?
鳩山 それだけの意味なんですけど、だから『俺を信じてくれ』と。一般的な意味で、別に普天間の移設先を辺野古にするからトラストミーって言ったつもりは全然ないんですよ
五郎 えっ!そうなんですか!!
鳩山 そーいう風に伝わっちゃっているんですよね
荒川 えぇーーー!!いやいやいや!!でもそういう風に伝わってますから!!(笑)
五郎 信じてますよ、僕は。そういう風に聞いてましたら(笑)
鳩山 だからたぶんメディアというよりも、そこに居るのは外務省や防衛省の役人がどっかに居て、「しめた!」と思ってそう伝えたか何かですよね
五郎 ほぉーー!
荒川 これ、すごい!
五郎 その時の一回きりなんですか?トラストミーって言ったのは
鳩山 一回きりです
荒川 あ、その時の一回こっきりですか?
鳩山 そうそう。本当は二人か通訳が居たかもしれませんが、3人だけの話が伝わってっちゃったんですよね
荒川 ちょっと!コレとんでもないニュースだよ(笑)
片桐 これ日本全体が勘違いしていると思いますよ
鳩山 勘違いでしょ
五郎 うん。今なお勘違いしていると思います。
荒川 ちょっと、訂正記事入れようよ
片桐 アハハ(笑)
鳩山 どんどん批判されてった訳ですよ。
荒川 そうですよー!
片桐 独り歩きしてしまってぇ
鳩山 だから怖いねと思ったよ。
荒川 とんでもない方向に行っちゃったんですよ、アレで。
鳩山 そうですね
荒川 ええーーーーー!!!!公邸の食事の話だったんですかぁ
五郎 食事の時にパンケーキを薦めながら
鳩山 うん。私を、信じてほしいという意味で。普天間なんかについても時間をかけないできちっと結論を出したいからと。でも沖縄の人もいるからねって。
荒川 なんで今まで言わなかったんですか?
鳩山 いや、言ってんのに伝わんないんですよ全然。
荒川 あ、そうなんだぁ
片桐 へぇーー
鳩山 滅多に言っていないのかもしれません。本にはちょっと書いたんですけど。無視されてますねぇ。
片桐 いや、アハハ!(笑)
荒川 アハハ(笑)
五郎 すいません!(笑)
■鳩山首相時代のオバマ大統領との関係は?
片桐 じゃあチョット、リスナーからの質問も紹介させていただきます。横浜市の55歳の男性の方です。「昨夜オバマ大統領はシンゾウ!とフランクに呼んでいましたが鳩山さんが総理時代に大統領と会った時にお二人はどのように呼び合っていたんでしょうか?よろしければ教えてください。」
鳩山 あ、それはユキオ・バラクと言ってくれました。
片桐 あ、ユキオ・バラク
鳩山 それで記者会見の時にも、それが、「そういう言い方が慣れてきましたね」っていう風に言ったんですけど続かなかったですねぇー。
荒川 アハハ(笑)
鳩山 あの、ケミストリーっていうか、気みたいなのは合うんですよ、あの人とは。
荒川 はあ
鳩山 合ったなぁと思っていたんですよ。
荒川 ええ
鳩山 その、人間的にも私は好感を持てる人だなぁと思っていましたから。
片桐 うん
鳩山 ただしですね、私より私の女房のほうが印象強いみたいでね(笑)。会うとね、『How's your wife?』。女房がどうしているか、まず最初にそればっかり聞くんだよね(笑)。
荒川 アハハ!そうだよ(笑)
五郎 アハハ!
鳩山 そんな話ばっかりしていたんで、割とフランクにやってました。
■辺野古移設についてどのような会話をしてのか?
荒川 こういう質問も・・・ご紹介しましょう。「鳩山さんからオバマさんに沖縄の基地移転で何を約束したんでしょうか?」ぜひ・・
鳩山 私がですか?
荒川 はい
鳩山 私が約束したというのは、まずは出来るだけ早く解決したいと。
荒川 ええ
鳩山 ただ政権も変わったと。今までの道筋はわかっている。ただ政権も変わったんだから、変わったというのも理解して、沖縄の県民の皆様の気持ちというのも大事にしながら結論を出したいと。
荒川 はい
鳩山 それまで、あまり時間を掛けすぎると中々逆に難しくなるから待っていて欲しいと。いう言い方を首脳会談ではしています。
荒川 はぁー。
鳩山 で、『辺野古に戻ります』なんてことは言っていません。
荒川 ほぉー
鳩山 全然言っていないんですけど、でも何か、トラストミーからそういう風になってしまった・・・のが最初の首脳会談です。
荒川 はぁー
鳩山 ただ、最初。その前の9月の時にもお会いしていますけどね。国連で。その時は必ずしも沖縄までの話は出なかったです。
荒川 ふーん
鳩山 で、その後4月にお会いした時には、『とにかく今ギリギリの交渉をしているからもう少し時間が欲しい』と。先方の方からは「時間が無くなってきているから頼むぞ」と、言うような話でした。
荒川 グアム移転を一気にやるぞ!みたいな話までは行ってないんですか?
鳩山 そこまでは行っていないです。だから、ね、それこそ羨ましいと思うのはシンゾウ・バラクみたいな関係で寿司とかおでんとか食べながらですね。1対1でですね。TOPで「どうだ?」と、できれば通訳抜きで、あるいは外務省抜きでですね、決めるようなことができていたらですね、話は変わっていたかと思うんですが、そういう機会って一切なくてですね、最後になったら大体会わせてくれませんでしたね。
荒川 あ、そうなんですかぁ。
片桐 うーーん
鳩山 「会っても5分」とか言われてですね。どっちが5分にしたのか。外務省が5分にしたのか、アメリカ側が鳩山に厳しかったのか私にはわかりません。
荒川 あーーぁ
鳩山 外務省や防衛相が途中から・・というか最初からなんでしょうけど、向こう側にいたような気がするもんで、今から思うと。
五郎 さっきからお話を聞いていると、首脳会談といっても首脳本人は全然イニシアティブが取れないっていうか・・
鳩山 そう、そういう部分はありますね。だからそういう首脳会談ではなくて、ホントは何かそういう寿司とか食うとか、そういう時にもっと2人の間を縮めて「こうだ!」ってのを作っておかなくちゃいけないんでしょうね。そうだと思います。
一同 あぁー
荒川 じゃあ昨日の寿司ってのは結構効果があるって・・
鳩山 ホントはだから、そういう時に何を話したかっていうのが効果があるんだと思います。それから・・長くお付き合いする時にはああいうお付き合いを続けたらいいと思いますよ。
荒川 うーーーん
鳩山 でも、どうせだったら昭恵さんの居酒屋に連れていけば良いのにねぇ
荒川 ハハハハ!
片桐 奥様の(笑)
(注:安倍首相の奥様、昭恵さんは東京の神田にて「UZU (うず)」という居酒屋を経営している)
と話していた。
2013年9月16日に放送されたTBSラジオ「荒川強啓 デイ・キャッチ!」にてジャーナリストの青木理さんが今韓国で連日トップニュースになっているという韓国大統領選挙に絡んだ検事総長と国家情報院の権力闘争について語っていました。まるで漫画やドラマみたいな話です。 | ![]() |
青木理 (ジャーナリスト)
荒川強啓 (フリーアナウンサー)
片桐千晶 (フリーアナウンサー)
荒川 えー、まずは「韓国の検事総長が隠し子騒動で辞任。背後でうごめく巨大な権力捜査」。これなんか週刊誌の見出しみたいですね。
青木 そうそう(笑)。そうなんですけど、これ新聞をちゃんと見ている方でも気付かなかったかもしれないんですけど、
荒川 ええ
青木 えーっと、先週の13日ですね、韓国の検事総長、まぁ検察総長、検察のトップが突然辞任したんですよね。で、それだけを見ると、確かね新聞でもベタ記事でしか出ていない、小さな記事でしか出ていないんですけれど。これ実はね、背後でね、物凄い権力闘争をしているんですね、韓国で。
荒川 はあ
青木 そのぉ、この背後闘争ってすごい、まぁ面白いって言ったら失礼ですが、凄まじい権力闘争で、そのぉ、韓国には日本と違って情報機関があるんですね。国家情報院って言うんですけど。
片桐 ええ
荒川 KCIA
青木 そう、昔はKCIA って言われていた。だから軍事独裁政権の頃は「泣く子も黙る」って言われて、もう拷問から何から物凄い恐ろしい情報機関・・まぁ韓国が民主化されて以降はそれ程活発な活動はしていなかったんです表面上はね。ただ、相変わらず物凄い力を持っている。
荒川 うん
青木 人数も物凄いいて、相変わらず物凄い力を持っているんですけど、この国家情報院ってところが去年の大統領選挙で、まぁパク・クネさんって今当選している女性の大統領の。
荒川 ええ
青木 これの対抗馬の野党の議員がいたんですけど、この議員をどうやらインターネットで選挙中にね、誹謗中傷する、そのぉ、野党攻撃の工作活動をしたんじゃないかと。
荒川 おー
片桐 うんうん
青木 こういう疑惑が今年に入って物凄く韓国で盛り上がったわけですね。
荒川 ええ
青木 で、どうも韓国の国家情報院はやってたんですね。つまり、大統領選挙で現在の大統領を当選させるために野党の議員をネット上で物凄い攻撃をしたと。
荒川 あー
片桐 えぇえぇ
青木 で、物凄いその選挙後、野党や市民団体から国家情報院は強烈に批判されてたんですね。
荒川 うん
青木 で、遂に国家情報院の当時のトップ、が起訴されることになっちゃった。
荒川 うん
青木 えー、選挙法違反、公職選挙法違反とか。
片桐 はい
青木 で、更には当時の収賄とかで国家情報院の委員長が捕まっちゃったんですね。
荒川 うん
青木 で、ここから今度は国家情報院が反撃に乗り出すわけですよね。
荒川 うーん!
片桐 反撃
青木 まず最初に、今月の9日にあったのが・・・あ今月に入ってあったのが、9月に入ってやったのが野党の、まぁ議員ですねぇ。を、内乱陰謀罪で逮捕するんですね。
片桐 うん
青木 内乱陰謀罪ってのはまぁ、日本にはそんな法律、まぁ内乱罪はありますけど、韓国には北朝鮮と対峙しているって関係で北朝鮮に利するような事をしたら逮捕する、まぁ犯罪だっていう物凄い強烈な法律があるんですね。
片桐 ええ
荒川 ふーん
青木 それに基づいて、いきなり野党の議員を逮捕するんです。
荒川 つまり「北朝鮮のスパイだろ!」って言っているようなもんなの?
青木 そう。で、コレもね、どうもえーっと色々と韓国の報道で出てくるのを見ていると、その議員ていうのも確かにちょっと軽率なところがあってね、『北朝鮮の為になんとかしよう!』みたいな事をあちこちで言ってたらしいんですよ。集会とかで。
荒川 あぁ
青木 だからまったく容疑が無いわけじゃないんだけど、内乱陰謀罪を使って人を捕まえるってのは韓国で33年ぶりなんですね。で、国会議員を捕まえるのは初めてなんですよ。
荒川 うーん
青木 つまり、どうもコレは国家情報院が自分たちが物凄い批判されているものだから『てめぇら、そんな事を言っていると捕まえるぞ!』って言って反撃した可能性が高い。
片桐 え、でもそんな事をしたらマズイですよねぇ。
青木 マズイ。でも今反撃しているんですね。で、その次に出てきたのが今日のタイトルにした「検事総長の隠し子疑惑」ってのなんですけど。
荒川 はい
青木 これは、検察が国家情報院を調べてたわけですよ。つまり、選挙法違反があったんじゃないか、あるいは汚職があったんじゃないか。で、この間、検事総長がトップですよね、やってたんだけども、それに対して今度は保守系の新聞が一斉に「検事総長の隠し子問題」とか、それから「不倫問題」とかってワーッと書き始めたんですよ。
荒川 し、仕返しのまた仕返し。
青木 と思われるんですよね。
荒川 フフフ(笑)
片桐 うーーん
青木 で、遂に検事総長が辞任に追い込まれたと。まぁ日本でも検察っていうと物凄い権力機関なんですけど、韓国の場合は情報機関って物凄い権力機関。つまり、こう、何て言うかな。2大権力機関が、まぁその、机の下でバンバンバンバン足を蹴り合って遂に片方、まぁ片方の親分を捕まえちゃったけども、片方の親分もこういうことで辞めざるを得なくなった。
荒川 うーん
青木 でね、まぁ韓国ってのは昔から、軍事独裁の頃から情報機関ってのは肥大化しているんですけど・・コレね、確かに情報機関ってこういうものなんですよ。つまり、肥大化して制御がなかなか利かなくなるってのはどこにでもある。軍事独裁の頃には拷問だろうが何だろうがやって「泣く子も黙る」って言われた。で民主化されたけども、やっぱ、いざとなるとこういう事をすると。
荒川 いやぁ、やるんだねぇ。だってパク・クネさんのお父さん(パク・チョンヒ元大統領)の時代も何かこういう権力闘争をやっていましたよね。
青木 やってましたねぇ。で、パク・クネさんのお父さんの頃に正にKCIA、これが最強に力を持っていた時代だったんですよね。
荒川 そうですよねぇ
青木 で、韓国ってのは北朝鮮と今は向き合っているので情報機関ってのが必要だって議論は、まぁもちろん「必要じゃない!」なんて議論にはなっていないんですけど、こっからね、1つだけ私たち日本の人たちがね、教訓を得られるとすれば、「今、情報機関が必要だ!」とか、それかな「もっと情報力を高めよう!」とかね、まぁこのコーナーで何回か批判した「秘密保全法を作ろうじゃないか!」っていう動きがあるんだけれど、ただね、本当に気を付けないと情報機関って肥大化すると秘密の向こう側でね、制御が利かなくなって、まぁ検事総長だろうが国会議員だろうが仕返しの為にバンバンとこういう風にやっつけるのが、まぁ起こりかねないという意味では、ちょっと勉強というか日本側にもね・・
荒川 他人事じゃないですよね
青木 他人事じゃない。あのぉ、それは兎も角としてですね、韓国で今、連日これ1面トップのニュースになっているので、ちょっと興味がある人は「なんだ検事総長、隠し子で辞めたの?」ってサッと流さないで、ちょっと奥を見るとですね、コレたぶん当分続くはずなので、なかなか面白いニュースだと思います。
荒川 そーか、気を付けなきゃいけないね(笑)。
青木 気を付けなきゃいけない(笑)。
荒川 うーん。日本だって昔来た道ですからね。
青木 そうですね、日本もかつては憲兵とかね、特高警察(第二次世界大戦前に日本にあった秘密警察)とかね、そういう権力機関が力を持ち過ぎると・・・まぁ必要か必要じゃないかって議論はあるかもしれないけど、力を持ち過ぎるとおかしなことをするということですよね。
と話していた。
2013年8月1日に放送されたTBSラジオ「荒川強啓 デイ・キャッチ!」の佐藤千矢子さんの韓国との戦後賠償問題についての話です。慰安婦像問題や慰安婦賠償問題、徴用工への賠償問題など問題が大きくなってきていますが、佐藤さんのこの話が一番分かりやすいと思ったので、ちょっと古いけど保存音源を引っ張り出して書き起こします。 一番のポイントは、一口に韓国といっても韓国政府・韓国司法・韓国国民・韓国メディアなど様々なプレイヤーがいるということ。そして韓国政府は日本の唯一の味方だってことですかね。 | ![]() |
■会話をしている人物
佐藤千矢子 (毎日新聞論説委員)
山田五郎 (美術評論家 / タレント / コラムニスト / 元講談社編集者)
荒川強啓 (フリーアナウンサー)
片桐千晶 (フリーアナウンサー)
■賠償放棄で合意したはずなのに韓国が戦後賠償を求める理屈
佐藤 一昨年の年末にですね、えー、ソウルの、ソウルの(日本)大使館の前にね、少女をかたどった慰安婦の像が設置されて、それと全く同じ像がアメリカで作られたと。
荒川 ええ
佐藤 もう既にアメリカの東海岸には2つくらい、それはたぶんモデルが違うと思うんですが。で、西海岸に初めて作られて、更に10くらい、韓国系の団体がそういう計画をしているという話なんですね。
荒川 はい
佐藤 でー、これは日本政府としてはもちろん受け入れられなくって、あのー、ちょっと背景にどんな話があるかって言うと、先々週にあのぉ、韓国人の元徴用工(徴用工とは戦時中に国家の命令で働かせられた人々)に損害賠償をするっていう裁判、判決が出たって話をして・・
荒川 はい、戦後補償
佐藤 戦後補償。似たような判決が今月実はもう1件出ているんですが。その、戦後補償問題ってのが今、火を吹いていて日韓の間で。で、コレもそうなんですね。前も話ししたと思うんですけど、今から50年近く前の1965年に日本と韓国は国交正常化をして、そん時にその、「戦時中の賠償問題どうしましょう?」とかって話が随分揉めたんですけど、結果的には韓国側は「賠償を請求するのは一切放棄します」と。
荒川 はい
佐藤 で、その代わり日本側は経済協力って形で、えー、有償無償資金協力を合わせて総額8億ドル以上、相当な額なんですが、『その経済協力をします』と。『後は好きに使ってください』と。もちろんそれを韓国政府が個人の賠償に使っても良かったわけなんですが、まぁ当時のパクチョンヒ政権はインフラ整備、まぁ色んな経済発展、国を富ませるのに使ったんですね。
荒川 うん
佐藤 で、しかしながら、えーっと90年代の初めになって日本政府があのぉ、慰安婦問題を公式に認めたっていうか、1993年の宮沢内閣の時に河野官房長官談話というのを出して、まぁ慰安婦について謝罪とお詫びの気持ちを表明したということで、改めて問題になってしまって。で、韓国側から見ると「50年近く前の国交正常化の時は日本政府は慰安婦問題を正式に認めていなかったじゃないか」と。で、「90年代になって認めたんだから、あの協定で賠償を放棄したってのは慰安婦はそこに掛かっていないんだ」と。つまり、「新しくあなた達が認めたんだから、やっぱり国家賠償をすべきじゃないですか?」と。「あの協定はあの協定で」と言いだして、
荒川 あー。
山田 そういう理屈なんだ。
佐藤 日本側からすれば『そうじゃない』と。それはもう協定ってのは国際合意ですから、でその時に賠償放棄をしたんだから、それを今さら国家賠償をしろってのはおかしいじゃないですか。
荒川 うーん
■戦後賠償問題が再燃した直接の理由は韓国最高裁の判決
佐藤 ただ、それだけじゃやっぱり通らないってのも日本政府も分かっているので、『国家賠償はできないけども何か他のことをやりましょう』ってことで、村山内閣、1995年96年くらいの時に、村山政権の時にアジア女性基金(正式名称は財団法人女性のためのアジア平和国民基金)っていうまぁ団体を作って、政府もそこにお金を入れて支援をしながら、まぁ政府の国家賠償って形じゃなくてそこの団体が、えー慰安婦の、元慰安婦の方々にお詫びと償い金を出すっていう事業をやったんですね
荒川 あー
佐藤 それは韓国軍だけじゃなくてフィリピン人の方と、あとオランダ人の方とか台湾人の方とか慰安婦の方は沢山いますから。で、そういう方々に、まぁ国によって違うけどお1人300万円くらいの償い金を払って、あと当時もう村山さんから橋本龍太郎さんに総理が代わってて橋本龍太郎さんのお詫びの手紙ってのを付けて、皆さんに渡したってことをやって、だいたいの国が受け取ったんですけど、最後韓国は、あのぉ元慰安婦の方には受け取りたいって方もいらっしゃったんだけども挺対協(ていたいきょう)っていう有名な、韓国挺身隊問題対策協議会っていう、まぁ慰安婦問題をすごく熱心にやっている支援団体があって
荒川 うん
佐藤 まぁそこがある種、受け取るなって言ったらちょっと言い過ぎかもしれないけど、そういう、まぁ受け取らせなかったっていう風に動いたっていうところがあるんですけど
荒川 ええ
佐藤 それでアジア女性基金は結局、対韓国ってことは上手く事業がいかなかったんですね。
荒川 はぁー
佐藤 それで余計に「何もやってないじゃないか!」って話になって、しかも、まぁ今日麻生さん(麻生太郎副総理)のね憲法改正に関する問題発言(憲法改正はナチスを見習うべき等の発言)がありましたけど、日本の政治家はしょっちゅう問題発言をするので、慰安婦の問題でもこの間、橋下徹さん(大阪市長。日本維新の会共同代表)の発言(当時、慰安婦制度は必要だったし日本以外も慰安婦を活用していた等の発言)もありましたし
荒川 ええ
佐藤 そうすると、「日本は国家賠償をやらない。アジア女性基金?あんなものは大したものじゃないし受け取らなかった。政治家はしょっちゅう問題発言をする。何にも反省をしていないじゃないか!」っていう世論だけが勝手に起こって・・・っていうことに今至っているんですね。しかも、えーと、一昨年の8月に韓国、韓国の最高裁が、あのー、韓国政府に対して「慰安婦問題で政府がもっと努力をしないのは違憲だ」って判決を実は出しちゃったんです。ここの所、ここ2、3年の慰安婦問題の盛り上がりって直接的にはそれが引き金になっているんですが
荒川 はぁ
佐藤 一昨年の夏に、えー、韓国の最高裁、大法院ってところが・・・つまり韓国政府ってのは今回のこともあんまり、慰安婦の設置、像の設置のことについても、あんまり動いていないし言っていないのは、一応彼らは協定、日本と50年前に協定を結んだ当事者、政府間で協定を結んでいるわけだから
荒川 ええ
佐藤 それは国家賠償を韓国って国が放棄しているってことを当然わかっているわけですね。分かっているから今の慰安婦像を設置しろって運動は国家賠償をしろって運動ですから言ってみれば。『謝罪しろ』と。『国家賠償しろ』と。そこに積極的に加担するとちょっと自己矛盾みたいなことになるので、そうはあまり動いていなかったんですが、しかし一昨年の夏に韓国の最高裁は『そういう韓国政府の態度が意見なんだ』と。『請求権を、賠償を放棄したってのもおかしいんだ』っていう判決を出した。
荒川 おー
佐藤 で韓国の司法って、こないだお話ししたかもしれませんが、すごくメディアとか世論に左右されるところなんで、もう司法はどっちかって言うとそっち側に行っちゃっているんですよ(笑)
荒川 あぁ
■日本政府はどう対応すべきか。専門家の提言。
佐藤 で、徴用工のね、この間の賃金未払いの、あれも一審二審は棄却されたんですが最高裁で差し戻しになって、『おかしい!』って言って、それで高裁判決で賠償しろってのが出て、それが2件続いているんだけど・・・そうするとね、今日本政府から見ると韓国政府だけが唯一の砦って言うか、韓国政府だけが踏ん張っているけど、これがいつまで・・慰安婦の問題もそうだし徴用工の問題でもそうだし。韓国政府がギリギリどこまで粘れるか。・・じゃあ解決策どうしたらいいかって中々難しくって
荒川 うん
佐藤 1つは、そういう日本がアジア女性基金とかそういう努力をしてきたってあまり知られていないので、まざ1つは日本の外交発信力の失敗。非常に弱い。ちゃんとやってこなかった。下手糞だし。
荒川 はい
佐藤 そういう事をもっとちゃんとやるのもそうだし、あと専門家の人たちが指摘しているのはアジア女性基金に代わる新しい事業をそのままやって、韓国の元慰安婦の方々にそういう償い事業をやるって考えた方が良いんじゃないかと。
荒川 うん
佐藤 つまり日本の立場として国家賠償はやっぱり出来ないので、それは日韓の協定でしないって決まったものは日本はそこは法律は超えられないというか(笑)。まぁもちろん韓国もそうでしょうけど。そうすると新しい事業をやって、もしかしたらまた韓国は拒否するかもしれないけど拒否したら拒否したで拒否したっていう姿を見せれば『日本はこんなに解決するためにやっているのに韓国はなんか意図的に拒否していますよ』って姿を見せるのも良いので、ちょっとヤラしい言い方だけどね。
荒川 うん
山田 そうですよね
■しかし安倍首相は従軍慰安婦の強制徴用は無かったと考えている
佐藤 そういうことをやった方が良いんじゃないか、って言う専門家の指摘もあるんですが、この政権、安倍政権は全然やる気が無いんです(笑)。この政権はそもそも河野談話がおかしいと思っている政権なので(笑)。フフ、あの、慰安婦のことで謝罪とかお詫びとかをして、あれは一種強制性も若干、あの、間接的に認めている談話なので、それがこの問題を引き起こしているっていう考え方が主としてあって、つまり90年代以降日本が認めるってことのアクションを起こさなければ65年体制の、65年の日韓基本条約のまま、国家賠償はしなくて良いってまま行けたんじゃないかって考え方もあるわけ、保守派の中には。
荒川 ほぉー
佐藤 そうすると変なパンドラの箱を、村山談話とか河野談話みたいに開けちゃったからこんなことになってて、しかも河野談話って元慰安婦の方々の聞き取り調査を元に談話を作ってて、紙で慰安婦の証拠がありましたって書類で出てきたわけじゃないから、『証言なんていくらでも作れるじゃないか!』って色んな議論があって
荒川 あぁー
山田 でもだからといって、放っておくってわけには・・
佐藤 フフフ(笑)。だからって放っておいたらドンドンドンドン慰安婦像が(アメリカに)作られていくだけなんですね。
山田 はい。ええ。
佐藤 ただ、あんまりそのぉ、『止めろ!』とか、あの『止めてください!』とか強く言うとまた逆効果になるっていう問題もあったりして。だから結局『日本はこういう努力もしていますよ』ってことをもう少し丁寧に、まぁ外交発信力強化ってなことを言われて官邸で対策会議とか最近熱心にやっていますけど。
荒川 うーん
佐藤 そういうことを、チョットまどろっこしいことをコツコツやるしかない、当面はそういう事をやるしかないかな、という・・・。
■アメリカに慰安婦像が立てられる理由と日本がやるべきことは
山田 安倍内閣としては閣議決定でね、要するに従軍慰安婦の強制徴用は無かったっていう立場なわけですよね?
佐藤 そうですね。あのー、こ、広義の強制性、狭義の強制性っていう話があるけど、広い意味では強制性はあったと認めているんです確か。ごめんなさい、そこは閣議決定と違うかな、答弁かな。
山田 うん
佐藤 でもいわゆる厳密な意味での強制性は無かった。
山田 っていうね。もしそう思うならそれを言っていくべきだし、65年の賠償放棄ってのもあったってこともアメリカの大方の人は知らないですよね。
佐藤 知らないんですよね。今回の(慰安婦像を)設置したグレンデールっていうね、あのー、ロスの近郊の市ですけども、そこの市議の方たちはほとんどこういう事情を知らなくて
山田 で、アジア女性基金っていう基金も韓国が受け取らなかったって知らないですよね。これ言ってった方が良いですよね。
佐藤 もっと言わないとダメ。だから、日本は謝っていないし賠償もしていないしってことしか伝わっていないんですよ。
山田 うん
荒川 しかもアメリカの市民の方々にその事実だけが、あの、流布されていくと。これは後から訂正するのは大変ですよ。
山田 うん、覆すのは大変ですよ、ホントに。
佐藤 大変です。
荒川 ねぇ。これ(アメリカの)全国各地にこれで慰安婦像を作っていこうとしているわけでしょ。
片桐 うん
荒川 これ一緒にこっちの方も弁明していくなり手を打って行かないとねぇ。
山田 だと思いますね、ホントに。
荒川 アメリカに話が伝わって行っちゃうのは得策ではないですからねぇ。韓国とのやり取りでは済まなくなりますからねぇ。
佐藤 これ深刻ですね。日本政府打つ手なしって感じでお手上げ状態。
荒川 あ、今のところお手上げ状態ですか?
佐藤 うん、止める手立てがない。まぁだから設置許可を持っている市とか、アメリカのね。そういうところに働きかけていくしかないんですけど。
荒川 でもそれも、その自治体で良いよって言っちゃっているわけですから。ねぇ。
佐藤 結局今、アメリカに住んでいるのは日系より韓国系の方がすごく数が多いので、で特に自分の所の選挙区に、まぁそれは日本の議員さんも同じだけど、韓国系の人が沢山住んでいたらその人たちの言うことを聞かないと票が貰えないわけです。そうすると(笑) (注:韓国系アメリカ人は1,706,822人。日系アメリカ人は1,220,922人。)
荒川 あぁ
佐藤 まぁ、細かいことを知らないってこともあるし、やっぱ選挙対策として言うことを聞いちゃうってのも
荒川 いやぁ、その背景。今佐藤さんのお話しでよく伝わってきましたね。
山田 ええ。だからといって手をこまねいている訳にはいかないってことですね。
佐藤 そうなんです。
と話していた。
■補足:韓国の国民情緒法とパククネ大統領
2013年9月9日に放送された『荻上チキ・Session-22』にて山口県立大学准教授の浅羽祐樹さんが以下のように解説されていました。
韓国人自身がよく言うのだけど韓国には「国民情緒法」というのが存在する。明文法よりも国民の情緒が上位にあり、国民世論によって法律が覆る慣習のこと。パク・クネ大統領は国民情緒法を問題視していて「これでは先進国になれない」「国民情緒法は困る」と言っている。
2013年8月2日に放送されたTBSラジオ「荒川強啓 デイ・キャッチ!」にてニューヨーク在住のジャーナリスト、北丸雄二さんが世界に広がるソチ五輪ボイコット論争について話していました。衝撃的な話です。ロシアには若干怖いイメージがあったんですけど、ここまでヤバいとは・・・。僕の想像を超えていました。ホントにホントに恐ロシア。 | ![]() |
北丸雄二 (ニューヨーク在住ジャーナリスト)
荒川強啓 (フリーアナウンサー)
片桐千晶 (フリーアナウンサー)
補足:LGBT(エル・ジー・ビー・ティー)とは
女性同性愛者(レズビアン、Lesbian)、男性同性愛者(ゲイ、Gay)、両性愛者(バイセクシュアル、Bisexuality)、そして性転換者・異性装同性愛者など(トランスジェンダー、Transgender)の人々をまとめて呼称する頭字語である。 ― wikipediaより引用
北丸 実はこれ、『ニューヨークタイムズ』のですね、論説ページに掲載されたある寄稿が切っ掛けなんですね。
荒川 ええ
北丸 えー、書いた人がハーヴィー・ファイアスティン(Harvey Fierstein)って言うあの、映画『トーチソング・トリロジー(Torch Song Trilogy)』っていう・・何年ぐらい前かなぁ。25年とか30年前でしたっけ(注:1982年公開なので31年前)、あの、佳作の、立派な映画があるんですけど、この原作の芝居を書いた劇作家で俳優なんですね、ハーヴィー・ファイアスティンってのは。
荒川 はい
北丸 でユダヤ人なんです
荒川 ええ
北丸 でユダヤ人と言えば、まぁ麻生発言にもありましたようにナチスドイツの・・ヒトラー政権の被害者ですよね
荒川 うん
北丸 ニューヨークってですね、ユダヤ人物凄く多くて、あの、それを揶揄してですね「ジュ―ヨーク」、ジュー(Jew)ってユダヤ人のことなんで「ジュ―ヨーク」なんてあだ名があるくらいの街なんですけれども・・
荒川 うーん
片桐 へぇー
北丸 ホロコーストの問題ってのは物凄く身近なんですね。あのー、私もアレを生き延びた人たちの息子という人たちをですね、あの息子や娘という人たちと友人だったりしまして、もう何人もそういう友達がいるんですけども。ですんで、ユダヤ人の問題って実に身近に感じるんですね。
荒川 うん
北丸 で、そのファイアスティンが何を書いたかというとですね、1936年、ドイツのオリンピックありましたねぇ。
荒川 はい
北丸 あの時に国際社会はユダヤ人の迫害があると知っていたのに何もそれに抗議をしないでオリンピックに参加した。そしてその国際的な黙認がやがて起こる総勢600万人とも700万人とも、或いは1100万人とも言われるユダヤ人の大虐殺に繋がったと言うんですね。で、『それと同じことが今ロシアで起きている』と。『あなたはそれでもソチ五輪に参加するのか?』と言うんですよ。
荒川 はぁ
北丸 で何が起きているのかというと、実は今ロシアで大々的なLGBT、性的少数者ですね、ゲイとかトランスジェンダーの人たちなんですけども、その人たちの人権を無視した虐待が起きているんですね。
片桐 はぁー
北丸 で、プーチン政権がゲイの弾圧法を続々と施行しているんです。例えばね、『ゲイであっても良いんだよ』と言っただけで逮捕されるんです。
荒川 ふんーー!!
片桐 えーー。
北丸 『ゲイは少数なだけで異常じゃないよ』と教える、生徒たちに学生に教える学校の先生も、それから自分の息子や娘が例えばゲイだったりしますよね。その時に例えば『性的少数者でも大丈夫なんだよ』と慰める親でさえも法律の文面上は逮捕できるんです。そういうその「同性愛プロパガンダ禁止法」ってのが成立したんですね。
荒川 え!最近ですか?
北丸 最近です。えー、6月です。
荒川 あぁーー。
北丸 でそれを背景にですね、『ゲイはいじめても良いんだ。やっつけても良いんだ。』って社会的雰囲気が生まれるでしょ?そうすると。
荒川 えぇえぇえぇ
北丸 とねぇ、ロシア国内に500くらいあるんですけど、大小のネオナチ集団ってのがまぁロシアも今格差が増えて、あの広がって、その・・あの、若者たちが就職できないとか何とか問題が起きているんでね、その、ネオナチ集団がやっぱり増えるんですよ。そーするとそのネオナチ集団がfacebookみたいなところでですね、恋人募集とかいうオトリの広告を出してですね、それに引っ掛かった、おびき出した少年たち、それ15とか16才ですよ。そういう子たちを吊るし上げてですね、名前を聞き出したり学校の名前を聞き出したり、そして殴る蹴るとかする動画とか写真をインターネットにアップして晒し者にしているんですよ。
荒川 ええーーー
北丸 そんな子たちがトラウマを抱えてどんどん自殺しているんです。で虐殺事件まで起きているんです。
荒川 ふぅー!
北丸 それを国内で訴えることも出来ないんです。つまり訴えたらプロパガンダ禁止法に引っ掛かるわけです、まぁ「キャッチ22」ですよね。(注:キャッチ22とはジョーゼフ・ヘラーが1961年に発表した戦争の狂気を描いた小説『Catch-22』に由来するスラング英語で「ジレンマ」や「矛盾している状態」のことを意味する。)
荒川 ふぅーん
北丸 で、外圧だけが頼りなんですよ。
荒川 うん
北丸 でね、オリンピック選手ってのは今、ゲイやレズビアンと公表している選手は沢山いるんですね。
荒川 はい
北丸 で、金メダル取っている人もいるんです。で、そーいう選手たちを支援する選手たちもいるんです。報道、ジャーナリストもそうです。LGBTのジャーナリストもいて、そーいう人たちもロシアに行くんですね。で、そーいう人たちが逮捕されるんじゃないかって心配まで出てきたんです。
荒川 あぁー!
北丸 なんせ彼らって、あのLGBT問題って現在のユダヤ人問題と同じくその、現在の人権運動だって気負っているわけですよね。
荒川 はい
北丸 そうするとシンボルカラーとされる例えば6色のレインボーカラー・・があるんですけども、それの旗を振ったりバッチを付けたり開会式で行進するかもしれないでしょ?
荒川 はい
北丸 そうするとゲイをプロパガンダ(注:プロパガンダとは政治的や思想などの宣伝行為のこと)したってことになって・・・逮捕してみろ!って挑発も起きるはずですよね。
荒川 うーーん
北丸 それでね。その国際オリンピック委員会はロシア当局と話し合って、こないだですね、「オリンピック関係の外国人はそういう法律は免除される」という約束を得たというような発表をしたんだけれども、まぁ3日くらい前にそれを否定するようにロシアのスポーツ相が「いやそうじゃない。逮捕されるんだ。」という風に言ったりしているんです。
荒川 えぇーーー!
北丸 日本じゃまだ報道されていないでしょ?
荒川 そうですねぇ
北丸 で、世界は今これを巡ってね、物凄い、あの、「ボイコットすべきだ!」とか「いや、スポンサーに圧力を掛けてそうした法律を止めさせよう!」とか「いや参加して逆に逮捕してこれを国際問題にしよう!」とか論争が起きているんですよね。
荒川 うーーーーん!
北丸 これがひとつあるんですよぉ。
と話していた。
補足:ハーヴィー・ファイアスティンの寄稿記事の全文
『ニューヨークタイムズ』に掲載されたハーヴィー・ファイアスティンの寄稿記事を北丸雄二さんが自身のウェブサイトで翻訳掲載しています。興味がある人は是非ご覧ください。
http://www.kitamaruyuji.com/dailybullshit/2013/07/post_409.html
2013年6月6日に放送されたTBSラジオ「荒川強啓デイキャッチ!」にて、山田五郎さんが先週に引き続き児童ポルノ禁止法改定案について話していました。前回、「電磁的記録」についてあまり取り上げていなかったので編集後記として書かせて頂きましたが、今回その辺を詳しく説明してくれています。イギリスの児童ポルノ一掃作戦の事例など勉強になります。 | ![]() |
山田五郎 (美術評論家 / タレント / コラムニスト / 元講談社編集者)
荒川強啓 (フリーアナウンサー)
片桐千晶 (フリーアナウンサー)
■補足:先週、2013年5月30日の放送も合わせてご確認ください。
・山田五郎が語る【児童ポルノ禁止法改定案。効果なく副作用大の理由。】
山田 効果が少ない割には副作用が大きすぎて危険なのではないか?というようなことを先週お話ししたんですけども
荒川 はい
山田 あのぉー、実はね、今回の改正で深刻な副作用を社会にもたらすんじゃないかなってポイントはもう1つあるんですよね
荒川 ほう
山田 それはぁ、まぁこの6条の2ってところと、まぁ7条の単純所持を禁止して罰則を与えて児童ポルノに電磁的な記録、つまりデジカメで撮った画像とかインターネット上の画像が含まれている点。
荒川 うん
山田 そして、第14条の2っていうところで、インターネット事業者に捜査機関への協力の努力を義務付けているっていう。この2点なんですね。
荒川 うん
山田 で、これ条文だけ読むと「これは必要だよ!」って僕も思うわけですよ。
片桐 はい
山田 まったく正しいことだと思うんですよ。
荒川 はあ
山田 で、犯罪的児童ポルノの圧倒的多数はインターネットを通じて流通しているんですよね。だからそこを取り締まる必要があるのは全くその通りなんですけども、
荒川 うん
山田 問題は、果たしてそれが正しく取り締まれるのかどうか?ってところ・・・かなと思うんですよ。
荒川 うーーん
山田 っていうのは、例えば去年から今年にかけて日本で起こったパソコン遠隔事件
荒川 えぇえぇ
山田 ありましたよね。あれは結局1人の冤罪被害者と3人の誤認逮捕被害者を出したわけですね。
荒川 ええ
山田 で、今なお取り調べ中で未解決なんですよ。で、こっからも分かるように、まぁこれ児童ポルノに限らず、ネット犯罪の取り締まりってのが現状すごく難しい問題を抱えているってのがあるんですね。そんな状況下でこの児童ポルノの単純所持の禁止っていう基準が曖昧な犯罪を正しく取り締まることが出来るんだろうか?っていう疑問があるんです。
荒川 あぁー
山田 で、実際、ここから生まれた悲劇の実例がありまして、今から10年ほど前にね、イギリスで起きた「オペレーション・オー事件(Operation Ore)」っていうのがあるんですよ。
荒川 はあ
片桐 うん
山田 で、これは元々は1999年にアメリカのテキサス州で児童ポルノを配信していた巨大エロサイトの運営者が摘発されたんですよ。
荒川 へえ
山田 で、そのサイトに登録されてた世界60か国25万人の会員名簿が押収されたんですよね。
荒川 うん!!
山田 で、そういった捜査資料をFBI(アメリカ連邦捜査局)が各国に知らせた。それを踏まえてドイツとかアイルランドとか、カナダとか色んなところで取り締まりが起きたんですけど、
荒川 ええ
山田 中でも最も徹底的に行ったのがイギリス警察で、オペレーション・オーっていう、まぁ「オー作戦」って名付けて児童ポルノ一掃作戦を展開したんですよね。
荒川 うん!
山田 で、その結果、7,520人の容疑者を特定して、4,283件の家宅捜索を行って、3,744名を逮捕して、1,848名を起訴して1,451名が有罪となった
荒川 うーーん!
片桐 大規模
山田 はい。あの、2003年にね、ロックバンドのThe Who(ザ・フー)のギタリストのピート・タウンゼントが児童ポルノ所持で逮捕されたってニュースになったんですけど、それはこのオペレーション・オーで引っかかったんですよ
荒川 あらぁー
片桐 ふーーん
山田 で、そのピート・タウンゼントが、あの結局 戒告処分になったんですけど、実際は児童ポルノと無関係なサイトにアクセスしてたってのが判明したようにですね、実はこの作戦で逮捕された人の中に非常に多くの誤認逮捕があり、また有罪とされた人の中にも非常に多くの冤罪を主張している人たちがいて、今なお無罪を主張して争っている人もいる
荒川 うわぁー!
山田 さらに、現在までに少なくとも35人以上の人がですね、この誤認逮捕や冤罪を理由に自殺しているんですよ。
荒川 えっ!!そうなの
片桐 えぇ!
山田 はい。で何でここまで多くの誤認逮捕や冤罪を生んじゃったかについては今もイギリスのジャーナリストが何人かが追及中なんですよね。
荒川 はあ
山田 で今までに分かったこととしては、その問題の最初に摘発されたポルノサイトってのが児童ポルノだけじゃなくって色んなあの、種類の、要するに言ってみれば大人ポルノもあるサイトだったんですよ
荒川 うん
山田 だから大人ポルノにぃ(笑)。大人ポルノって言い方も変ですけど、そこにアクセスする際に、例えばその児童ポルノのサイトに引っかかっちゃって通過しちゃったりとか、そういうアクセス記録が残っちゃったヤツも、全部摘発しちゃったってのが1点。
荒川 うーん
片桐 はぁ
山田 それから、まぁこういうサイトの性格上ね、盗んだカード、クレジットカードで登録している例とか、他人名義のカードで登録している例が凄く多かったんですよ
荒川 あぁー。うんうん
山田 ちなみに、この盗難クレジットカードによる登録が54,348件あったそうなんですよね。
荒川 そんなあったんだぁ
片桐 えぇー
山田 それを一律、カード名義人を容疑者としてしまったんですよ。そのことで、まぁ他にも理由はあるんですが、そんなことで多くの冤罪や誤認逮捕を出してしまったんですね
荒川 えぇ
山田 これ日本でも同じことが起きかねないし、そのネット犯罪の手口ってのは日進月歩で進歩してて、10年前とは比べ物にならないほど巧妙化しているんですよね。
荒川 うん
山田 例えばパソコン遠隔操作事件みたいなものでね、気に喰わない上司がいましたと。そしたらその上司のパソコンを遠隔操作して児童ポルノ画像を大量にダウンロードさせてしまうと。
片桐 はぁー
山田 それで通報しますと。「私知りませんよ!」って言っても『みなさんそう仰るんですよ。』って警察に捜査されちゃう。
荒川 そっかぁー。ハメられちゃうんだぁー。
片桐 ねぇ
山田 これは前も言いましたけど、女の人も同じなんですよ。例えば、学校の女性の先生で気に喰わないのが居たからって、その人のパソコンに子供の男の子のポルノ画像を一杯ダウンロードさせて、「実はあの先生ヤバいよ」という噂を流すとか、そういうことだって出来るわけですよね。
荒川 うーーん
山田 で、これ、仮に取り調べ裁判で無罪が証明されても、これ痴漢冤罪と同じように取り調べを受けたり逮捕されたっていう時点で社会的ダメージが計り知れないんですよ
荒川 そう!そういうことになると・・・
片桐 レッテルなんかね
山田 だからこのぉ、日本の犯罪捜査って世界的にみても必ずしも進んでいるとは言えない状態で、体制作りがようやく始まったばかりじゃないですか。その段階でこの児童ポルノ単純所持の罰則化っていうね、冤罪を生みやすい要素を増やすってのは危険なんじゃないかなって気が、僕はします。
荒川 うーーん!
山田 で、誤解しないで欲しいのがね、僕は『ネット上の児童ポルノを取り締まるな!』とか『取り締まるのは不可能』って言っているわけじゃ決してないんですよ。
荒川 ええ
山田 むしろ今以上に厳しく取り締まるべきだと思っているんですけど、それは今ある児童ポルノ法で児童ポルノを作った人や売った人、あるいは配信した人、を取り締まる法律があるわけですよ。
荒川 はあはあはあ
山田 作った人は3年以下の懲役か300万円以下の罰金。でそれを配った人は5年以下の懲役か500万円以下の罰金って今現在あるわけで、まずここを取り締まるべきだと、僕思うんですよね。
荒川 そうだね。
山田 そのぉ、単純所持って言ってみれば一番遠いところから遡って攻めていくっていう取り締まり方で、非常に効率が悪い上にですね、その過程で冤罪や誤認逮捕って生みやすい。だから単純所持の禁止ってね、本当に子供を性被害から守る上で効果があるのかと。単に多くの国で実施しているからって真似るだけじゃなくってね、じゃあその禁止した国でどんな効果が上がっているのか、逆にどんな問題が起きているか良く精査してもう一回検討していただきたいと。
荒川 そうだね
山田 今国会を急ぐことはないんじゃないかと思いますね。
荒川 ホントですねぇ
片桐 うん
と話していた。
【あわせて読みたい】山田五郎が語る【児童ポルノ禁止法改定案。効果なく副作用大の理由。】
2013年の6月4日に放送されたTBSラジオ「荒川強啓デイキャッチ!」にて、国際ジャーナリストの小西克哉さんがアメリカ軍内部で女性兵士に対してのレイプやセクシャルハラスメントの調査結果について話していました。アメリカの女性兵士の3分の1がレイプ被害、ハラスメントにハードル下げたら3分の2が被害に遭っているという衝撃的な調査結果です。耳を疑いました。 | ![]() |
■会話をしている人物
小西克哉 (国際ジャーナリスト / 国際教養大学客員教授)
荒川強啓 (フリーアナウンサー)
片桐千晶 (フリーアナウンサー)
小西 (アメリカ軍には)女性の兵士、どのくらい居ると思います?140万の内。
片桐 えぇ!
荒川 1割くらい
片桐 うん、私も1割くらい・・
小西 良いところですね、だいたい14%。でももう1割以上ですねぇ。
荒川 そうなんだねぇ
小西 あの、もちろんその、戦闘部隊に入っているのは、あぁ、の人は少ないです。戦闘部隊に入って良いっていう解禁は非常に最近だったですからね。だから基本的にはやっぱりもうちょっと後方とか、それからぁ、やっぱりアレですよね・・
荒川 つ、通信とか
小西 通信とかね。どちらかと言いうと、まぁ言っちゃアレだけど頭使わないといけないところが多いですよね。
荒川 はい
小西 女性、非常に優秀な方、多いと言われているんですよね。
片桐 うーん
小西 で、その女性に対しての様々な性暴力が、あの、特にこれ、去年から今年くらいに掛けて急にこういったものの報告が増えています。
荒川 うん
小西 で、どのくらい有るかというと、これやっぱり全体像がなかなか分からない。つまりほら、申告しないと出てこないでしょ?
片桐 あぁー
小西 でぇ、申告されているだけで、全体のですね、女性のなんと3人に1人がレイプされている経験があるという・・
片桐 そんなに多いんですか!!
小西 お、驚く・・・33パーセントか4パーセントなんです。
荒川 あらぁ
片桐 えぇーーー
小西 これ国防総省が認めている数字なんですよ? 3人に1人ですよ?
荒川 すごいねぇ
片桐 本当はもっと多いかもしれない
小西 そう、申告されているだけでね。
片桐 えぇーーー
小西 3人に2人は、いわゆるその、ハラスメントを含めたことを受けたことがある。
片桐 うん
小西 だからそれぇ・・・この数字ってのは尋常じゃないですよ。
荒川 大統領をはじめとして軍幹部はどうしてんの?
小西 いやもちろんですからオバマさんは、もうこれは先月からですけど、これはもう・・『National disgrace』。こく・・もう国の恥だって、いうこと言いましたけど
荒川 うん
小西 それを橋本大阪市長が引用したんで、なんか信憑性がちょっとね(笑)。あの人が言うと人の国のことをなんか・・『自分ことを棚に上げて』、みたいな事になっちゃうんだけど、これホントに深刻な問題であって、あのぉ実は橋本さんがどうこう言う前にもっとホントは、日本のメディアは指摘しなきゃいけないことだったと思うんですけどね、そのくらい多い数をじゃあアメリカ軍はどうしようと思っているのか。
荒川 うん
片桐 はい
小西 もちろんコレ、何十年にも渡って、女性がずーっと参画してからね、そういった問題って色々と言われていたんだけども、これあのぉ特に、あのぉ最近になってアメリカ軍の中でそういったその、いわゆるその、問題とか相談とかを積極的に取り上げるという制度が色々充実してきたんですね。つまり今までは、『直属の上司に、何かあったら言いなさい。』という制度だったんですよね
片桐 うん
小西 これじゃあ言えないですよ
荒川 うん
片桐 あぁー
小西 そりゃ例えば内部告発の問題でもそうじゃないですか。
片桐 はい
小西 だいたい色んな例えばNGOとかも有るんですけど、その女性の兵士、現役とか退役の人をサポートするような。みんなそれ何か言ったら一発で、例えば嫌がらせを受けたりだとか、あのぉ、『そういった物凄い恐怖があって言えなかった』って、ということを言っているんですね。
荒川 うん
小西 で、この権限、つまり申し出る制度を変えて、別の部局に、それをその・・対応を設けたということが結構ドッと数が増えてきた原因になっているわけですね。
片桐 うーん
小西 でぇ、その、いわゆる何ていうのかな、様々あって、ハラスメントって例えばこういったことを、『セクシャルハラスメントとかを無くしましょう』という講習会みたいなものを例えばやったら、やった後で例えば男の兵士が、その上で例えば裸踊りをするとかね。
片桐 うん
小西 それは嫌がらせじゃないですか。
片桐 はい
小西 そういったことを講習会の所で平気で、あの何ていうか、あの、えぇあのぉ、ほとんど『関係ねぇよ』みたいなことでやるわけでしょ。そういうことをやるとか、それからもちろんその、レイプというのは様々なケースがあるので、これ一概に、一般的には言えないんですけれども、あのぉー、まぁとにかくそういった事をどう処分するかというのは基本的には軍法会議なわけじゃないですか
荒川 うん
小西 基本的にはマーシャルローで対応すると。これは統一軍事裁判法ってのが中にあるわけですけど、
片桐 はい
小西 つまり一般の我々の刑法、ということではないというのが一般論なんですね。で、ここが一番不透明だと、いうことで今アメリカの、これは上院の中の、あの軍事委員会の中でも女性の議員が、あの、二人ぐらい居るんですね。
片桐 ええ
小西 え、その人が中心となって、上院で、この、今月に入って様々な公聴会が開かれて、『で、どうするか?』。で、軍の関係者をガンガン呼び出して来ているんだけど、軍の関係者に非常に危機意識が少ない。
片桐 うーーん
小西 『危機だ!危機だ!』とは口では言うんだけど、実際に実行しない。
と話していた。
■補足:アメリカ軍の性処理の内製化
先日、橋本大阪市長の米軍に風俗活用の件で、社会学者の宮台真司さんがTBSラジオ「荒川強啓デイキャッチ」の中で『アメリカ軍は近年女性兵士を入れて性処理の内製化を図っていて、その結果、女性兵士への性的被害が増えている』という趣旨の話をしていていました。その時は「へぇー」とか思っていたんですけど、数字については言及されていなかったのでスルーしていました。3分の1がレイプ被害って尋常じゃないですね。
■補足:自衛隊の女性隊員の18.7%が性的関係の強要を受けている
三宅勝久著『自衛隊という密室―いじめと暴力、腐敗の現場から』という本の中で『女性隊員のうち18.7%が性的関係の強要を受け、強姦・暴行および未遂は7.4%にものぼり、自衛隊全体で700人以上が強姦・暴行および未遂の被害を受けている』というアンケート調査の結果が掲載されています。日本の自衛隊の女性隊員も約5人に1人の割合でセクハラを受けて、約13人に1人の割合でレイプ目的で襲われるということですね。
2013年5月30日に放送されたTBSラジオ「荒川強啓デイキャッチ!」にて、山田五郎さんが放送前日の5月29日に自民党、公明党、日本維新の会の3党によって衆議院に共同提出された児童ポルノ禁止法改定案について話していました。『児童への性犯罪抑止の効果はほとんど期待できないのに副作用は大きすぎる』と語る山田五郎さん。果たしてその主張とは? 個人的に思ったのは、憲法学者の木村草太さんが憲法96条改正の件で語っていた『将来、頭がよくて邪悪な人間が登場したときの危険性』と通じるところがあるなぁと。規定が曖昧すぎて悪用フリーダムだし、善良市民の正義感を利用して国民を縛る法律を作ろうとしているそのしたたかさに邪悪な賢さが垣間見えて恐怖を覚えます。 | ![]() |
■会話をしている人物
山田五郎 (美術評論家 / タレント / コラムニスト / 元講談社編集者)
荒川強啓 (フリーアナウンサー)
片桐千晶 (フリーアナウンサー)
山田 昨日29日ですよね、自民公明維新の3党が児童ポルノ禁止法の改正案を衆議院に共同提出したんですよ。
荒川 はい
山田 で、今国会での成立を目指しているってことなんですけども、まぁコレに対しては日本雑誌協会をはじめ、出版界をはじめ各方面から反対の声が上がってて、まぁ私自身も反対なんです。で、これあのぉ、2010年のね、東京都の青少年健全育成条例の時も問題になりましたけど、この児童ポルノ法関連に反対って言うと、あのぉ、『なんでだ!』って意見が出るわけですよ。
荒川 ええ
山田 『子供を性被害から守る為にね、児童ポルノを取り締まるのは良いことじゃないか!』と。ほとんどの国民が思っているんですよ。
荒川 はい
片桐 うん
山田 それはその通りなんですよ。だ、だからね、改正に反対するのはね、児童ポルノを守ろうとしているように聞こえるんですけど、『そうじゃない!』ってことをまず始めに言っときたいんですよね。
荒川 ほお!
山田 誰だって子供を性被害から守りたいわけですよ。
荒川 ええ
山田 ね。じゃあなぜ反対するのかって言うと、まぁ今回の・・・前の都条例の時もそうだったんですけど、今回の改正が子供の性被害から守るっていう上でほとんど効果が期待できないと。
荒川 うん?
山田 その一方で、この法律を盾に誰でも逮捕できてしまうような危険性を秘めてる。
片桐 うん
荒川 えぇ!
山田 効果が期待できない上に副作用が大きすぎるから反対しているんだってことをまず最初にわかって頂きたいんですよ。
荒川 それは早く知りたいなぁーー。
片桐 ふふ
山田 あのぉー、これね、漫画とかアニメファンだけの問題でしょ?みたいな風に思っているかもしれないですけども、今回は違いますよ。あの東京都の青少年健全育成条例改正の時と同じ状況ですけども今回はまず国家レベルですよ。
荒川 はい
山田 それで、刑事罰の追加を含む改正なんですよ。
荒川 ほぉ!
山田 だから東京都民じゃなくっても、漫画アニメファンじゃなくっても全国民が思わぬところで逮捕される可能性がある内容なんですよ。
荒川 うん!
山田 『私に関係ない』とか言えないんですよ。男女も関係ないんですよ。片桐さんも『私女だから関係ない』とか言えないんですよ。
片桐 うん
荒川 そうなの?
山田 そういう問題なんですね、はい。で今回のこの自公維による改正のポイントは6つあるんですよ。
荒川 うんうん
荒川 で、良い改正もあるんですよ。んで、明らかな改悪と思えるのも2点あるんですけども、まぁ漫画アニメの規制に踏み込んだっていうところがあって、これに反対している人も多いんですけども、今回時間も限られているので僕が最大の問題点であると思う『単純所持の禁止』と『罰則規定』って、ここだけに絞ってお話ししますね。
片桐 うん
荒川 はあはあはあ
山田 で、今回の改正案では、現行の児童ポルノ禁止法・・・これも勘違いしている人が多いんですけど今現在あるわけですからね、児童ポルノ禁止法っていうのがあるわけ。で、それに対して改正で新しい条項を加えようと言っているわけですよ。
荒川 はい。
山田 で、次の2項目を新たに加えようとしています。
荒川 ほう
山田 まずは第6条の2っていう所で、『何人も、みだりに児童ポルノを所持してはならない』(注:正確には『何人も、みだりに、児童ポルノを所持し、またはこれに係る電磁的記録を保管してはならない。』)
山田 所持してはならない。
片桐 所持してはならない。
荒川 うん
山田 で第7条。『自己の性的好奇心を満たす目的で児童ポルノを所持したものは1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処する。』これ刑事罰が付いたわけです。
片桐 うん
荒川 うん
山田 ね。これいわゆる『単純所持の禁止』っていうことなんですよ。持っているだけでアカンよっていう。
荒川 ちょ、ちょっといいですか?『自己の性的好奇心を満たす目的』ってなんですか?
山田 そうです、それ後で。
荒川 あとで、はい。
山田 フフ、まぁ単純に持っているだけでダメなんだってことじゃないですか。単純所持の禁止ね。
荒川 ああ
山田 で、この規制が必要だっていう根拠は大きく言って3つあるんですね。
荒川 うん
山田 1つは、『児童ポルノを見ることで児童への性犯罪が誘発される』っていう、メディア効果論的な意見。
片桐 うん
山田 それから2つ目は、『買う人を取り締まることで作る人や売る人を減らせるんじゃないか』っていう、そういう意見。
片桐 うん
荒川 うん
山田 で、3つ目は、『海外で禁止している国が多い』っていう、意見ですね。
荒川 はあ
山田 で、まずですね。1番目のぉ、このメディア効果論的なことですけど、これはあのぉ、都条例の際にも皆さん、金曜日のコメンテーターの宮台さん(社会学者の宮台真司)なんかも主張していたように、このメディア効果論の、専門的には協力効果説って言うんですけども、
荒川 ええ
山田 まぁ例えばその、エロ本を読んだらエロくなるみたいな、犯罪小説を読んだら犯罪したくなるみたいな、ことって一見ありそうに見えるけど実は全く根拠のないことだよと。
荒川 はい
山田 で、メディアの効果って表現それ自体じゃなくって、どんな環境で接したかによって引き金になったりするっていう・・そういうことを言っていますよね。だから取り締まるべきは表現そのものじゃなくって、その表現に接する環境に対して制限を加えるべきじゃないかっていう風に言われていますよ。
荒川 はい
山田 それから2番目に、そのまぁ『持つ人をなくせば作る人がなくなる理論』ですよね。これはまぁ一定の説得力があるような気がするんですけども、ただ、今現在単純所持を禁止している国ってのは結構あるわけですよ。そういう国での児童ポルノの数、あるいは児童への性犯罪の数ってのは減ってないんですよね。
荒川 うん
片桐 ふーん
山田 で、日本より多いんですよ。そういう所を見ると、果たしてどれだけ効果があるかっていう問題があります。で、同じ理由で、海外でやっているからといって日本で必ずしもやる必要もないんじゃないかっていうことが言えると思うんですね。だから、これ単純所持の禁止ってのはよくよく考えると児童を性被害から守る上では、あまりと言うかほとんど効果が期待できないと言えると思うんですよ。
荒川 うーん
片桐 うん
山田 でも、『ちょっとでも効果があるんだったらやるべきじゃないの?』っていう意見もあると思うんですよ。
荒川 うんうんうん
山田 だけど、そこで僕が言いたいのは、さっきも言いましたけど、そこにくっついてくる問題点、いわゆる副作用みたいなのが大きすぎるんじゃないかなって思うんですよ。
荒川 ほうほう
山田 まず、今回の改正案では過去に取得したものでも持っていれば犯罪になるわけです。
荒川 以前の持っててもダメなの
山田 はい。あの、よく『宮沢りえのサンタフェどうなるんですか?』みたいな話、昔よく国会で議論でましたね。(注:1991年に発売された女優・宮沢りえのヘアヌード写真集「Santa Fe」。撮影当時は17歳だったとされている。155万部のベストセラー。高校や公立の図書館でも貸し出されている。)
片桐 ほぉー
山田 なった、あるわけですね。で、僕、都条例の時にも言ったんですけど、例えば19世紀のイギリスでね、ルイス・キャロルが撮った少女ヌードどうなんだ? (Lewis Carroll:イギリスの数学者、論理学者、写真家、作家、詩人。『不思議の国のアリス』の原作者として有名。少女ヌードを多数撮影している。)
荒川 うん
山田 この場合、撮られた少女も撮ったルイス・キャロルももういないですよ。
荒川 ええ
山田 現時点で被害者も加害者もいないじゃないですか。児童を守ることにこれ全く繋がらないじゃないですかっていう問題があるし。
荒川 ええ
山田 それ以上に憲法の第39条に規定された『法の不遡及』ってのがありますよね。『何人も、実行の時に適法であった行為については刑事上の罪に問われない。』っていう
荒川 うん
山田 要するに法律が決まる前に、あの、状態で合法だったものは新しい法律が出来たからって取り締まれないよっていう
荒川 過去には遡らないと
山田 はい。憲法にそういう『法の不遡及』ってのがあるわけですよ。それにも触れてくるんじゃないかっていう問題がある。
荒川 はあ
山田 でね、より大きな副作用としては、そもそも何が児童ポルノかの定義が曖昧なわけなんですよ。
荒川 うん
片桐 うーん
山田 で前に国会で児童ポルノが論議された時に『ドラえもんのしずかちゃんの入浴シーンはどうなんだ?』とかね。
片桐 はぁー、えぇー!
山田 あと、これ男女関係ないですから児童は。『じゃあジャニーズのね15歳くらいの子がね、上半身裸でセクシーなポーズをしているのはどうなんだ?』だとか
片桐 うわぁーー。
山田 そんな話が大真面目に議論されたくらいに曖昧なわけじゃないですか。
片桐 うん
山田 で、『そこは良識の範囲で』って言うかもしれませんけど、『なにが良識なのか?』ってまた堂々巡りになるでしょこれ。
片桐 人によって違いますしねぇ。
山田 人によって違うんですよ。だから人によって違う、解釈が分かれたりして基準が曖昧な問題に刑事罰を科するべきじゃないと僕は思うんですよ。
荒川 うん
山田 これ別の言葉で言えば、逮捕しようと思えばできる状況なわけですよ。だから、わかんないですけど例えば強啓さんがね、けしからんことを、警察を批判するようなことを言ったと。『ちょっとアイツ締めてやらんといかん』と強啓さんのところ探ったら、あの、小っちゃい頃子供とお風呂に入った写真が出てきたと。『どうだ!』みたいな。
片桐 児童ポルノ法に反する!みたいな(笑)
荒川 なんで親が子供とお風呂一緒に入っちゃいけないの?
山田 ね?だからそうなるわけですよ。
片桐 うん
荒川 ならないよ、そんなの。
山田 いやいや、そこが解釈でどうにもなっちゃうからが怖いとこですよ。
片桐 うーーん
山田 強啓さんがいくら違うって言っても。まして・・・これさっきの処罰規定のね7条のところ。強啓さん問題にしましたけど、自己の性的好奇心を満たす目的で、所持していた場合に、1年以下の懲役か100万以下の罰金に処するわけですよ。
荒川 うん
山田 なにが児童ポルノか曖昧な上に、自己の性的好奇心を満たす目的かどうかっていうのを誰がどうやって決めるか。
片桐 うーん
荒川 そうだよぉ
山田 強啓さんもしかして知らないで15歳の、なんかエロティックな水着写真を持ってたと、まぁ仮にしましょうや。
荒川 ない(笑)
山田 わかんないですよ、どっかに入っているかもしれないし、新聞に入っちゃうかもしれないし。
片桐 頑なに否定しますね(笑)
山田 『これ何ですか!?これあなた自己の性的欲求を満たす目的で持っているんじゃないですか?』。・・・これどうやって違うって証明します?
片桐 いやぁーーー。
荒川 何と思われようと、そっちの思い次第だからねぇ。
山田 でしょ?
荒川 『そっちの勝手だろ』で終わっちゃうよ
山田 『そっちの勝手だろ』で終わっちゃうんですよ。だけど『そっちの勝手だろ』に、刑事罰が付いてくるのは、これ、よろしくないんじゃないですか?
荒川 はぁ。持ってるだけでもダメってそういうことかぁ。
山田 しかもその、自己の性的欲求を満たすためか否かみたいなことをじゃあ裁判でやりますよね。それってやっぱり個人の趣味嗜好に司法が介入するっていう問題にもなってきますよね
荒川 うん
山田 だからね、今回の改正案ってのは、子供を性的被害から守るって本来の目的からすると甚だ効果が期待できない上に、これを口実に不当な逮捕や取り締まりとか、あるいはそこまで行かなくても、これ業界の自主規制ですよね。が、蔓延させるっていう、そういう大きな副作用があるんですよ。
荒川 これ地下に潜っちゃうよ。
山田 その問題もありますよね。逆に地下に潜るっていう。
荒川 うん。潜っちゃう。
山田 曖昧なままで処罰の規定をやると、その網の目をぬってドンドンドンドン地下に潜って歪んだ形になっていくっていう問題がありますよね。
荒川 うん
山田 これはね、今国会で慌てて成立させる問題じゃなくって、もう一回ちょっと考え直した方がいい法律だと思いますけどね。
と話していた。
■編集後記:日記ブログで逮捕される日
先日、自宅の物置を整理していたらアルバムを発見しました。そしたら素っ裸の児童の写真があってビックリ。何の写真かというと、僕が通っていた公立保育園で毎年夏の終わりに実施されていた「くろんぼ大賞」ってイベントの写真です。
「くろんぼ大賞」とは、要するにひと夏で日焼けを競うイベントです。日焼跡を確認するために児童たちは全裸になって整列。水着で日に焼けていない部分と比較をして日焼け度を競います。
凄くないですか?(笑)。これ今の感覚だと完全にアウト。まず「くろんぼ大賞」って差別的なタイトル。そして日焼けを奨励しているわけで、これも今だと有り得ない。何より考えさせられたのは、その写真、5歳児くらいの児童が20人くらい全裸で並んでいるわけですよ。もちろん男の子も女の子も全裸で写っています。
児童ポルノ保護法で問題提起するなら、時代によって倫理観や文化は変わるものなので、それを法律で規定してしまうと歪みが出てきますよと。
例えば「くろんぼ大賞」。今ならアウトだけど20年前なら何の問題もなかったんでしょう。同じように、今は問題じゃないことが20年後は完全にアウトになっちゃったりするわけですよね。これが怖い。
山田五郎さんは取り上げませんでしたが、児童ポルノ禁止法の改正案の第6条の2はこう書かれています。『何人も、みだりに、児童ポルノを所持し、またはこれに係る電磁的記録を保管してはならない。』 あえて「電磁的記録を保管」について規定しているわけです。電磁的記録とはデジタルデータのことですよね。写真を現像していなくても、デジカメやパソコンにデータとして保存されているだけでアウトですよってこと。
で、思ったんです。20年前に今のようにデジタル器機が普及していたら「くろんぼ大賞」の画像は公に拡散していただろうし、児童ポルノ法に抵触しちゃうんだろうなって。だってデジカメが登場してから写真の枚数制限が実質的に無くなったので気軽に何枚でも撮影するようになりましたよね。で、きっと自分の子供以外の写真も沢山撮るでしょう。図らずとも撮っちゃうでしょう。ブログに掲載する親もいるはずです。じゃなかったとしても、パソコンに画像データを保存しますよね。それ、たぶんアウトです。逮捕できます。事実イギリスでは孫が全裸で水浴びしている写真をPCに保存していたため逮捕された事例があります。
繰り返しますが、倫理観や文化ってのは時代とともに変化するわけで、今は問題ないことも20年後とかは完全にアウトになったするわけです。それなのに過去OKだったものでも今ダメなら逮捕されるんですよ。デジタル器機が普及してソーシャルメディアが浸透したこのご時世、その危険度は20年前の比じゃありません。書いたのを忘れていたような10年前の日記ブログが原因で逮捕とか十分にあり得ます。怖い世の中ですよね。児童ポルノ禁止法は表現者だけの問題じゃないんです。
■追記:次の放送で「電磁的記録」についても取り上げてくれました!
その書き起こしはこちら↓
山田五郎が語る児童ポルノ禁止法パート2【イギリスの児童ポルノ一掃作戦の悲劇】
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