荒川 木曜デイキャッチャーは山田五郎さん、本日はこちらです!
杉浦 『そもそも神道って宗教なの?』
荒川 お!おお!
山田 はい、これちょっとね、あの考えてみたいなと。まぁ宗教なんですけどね、宗教ということになっているんですけども、あの現在は。・・・あの、これ今月の二十日に北海道で・・の砂川市
荒川 はい
山田 で、空知太(そらちぶと)神社ってところがあるんですけども、こちらがですね、使っているそのー、会館やなんかが市有地、あの市が持っている、えー、砂川市が持っている土地だったということで、そーいう公用の土地を、いち神社に使わせている、タダで使わせているっていうのは特定宗教に便宜を図るということで政教分離の原則、憲法の政教分離の原則に反するんじゃないかと、
荒川 はい
山田 憲法20条とか89条に、えー、触れるんじゃないかということでずっと裁判をしていて、で、最高裁の判決が出たんですよね。
荒川 おうおう
山田 だから確定ですよね。でこれはやはり政教分離の原則に反するということで、えー結論が出たんです。でこれ、ただね、町の方は、町会の方は、建物自体は町会が持っていると。
荒川 ええ
山田 元々土地も、元々は神社が市に寄贈したものであると
荒川 ええ
山田 で、建物は町会会館として使っててね、老人クラブの親睦会とか全然宗教行事に使ってないと。これは普通の公民館なんじゃないかと。だから市の土地を使ってても問題ないんじゃないかという風に主張していたんですけども
荒川 うんうん
山田 まぁ最高裁としては入口に神社って書いてあるし、鳥居だとか神社を象徴するようなものがあるから、これはやっぱ宗教だろうと。
荒川 うんうん
山田 とゆーことで、違憲判決が出たんですよね。
荒川 はあはあはあ
山田 これ結構大きくって、こんなの同様の例って全国に1000件以上確実にあるって言われているんですよ
荒川 はぁー
山田 で、この事件を受けて静岡市が、えーと昨日ぐらい、おとついぐらいですか、調査した時に静岡市だけで65カ所そーいう所が、・・・公用地を神社が使っているっていうケースが
荒川 そ、そ、その市の、あのぉ所有している
山田 はい、市だとか区だとか県だとか、はい。
荒川 そーいう公の所が所有している土地を神社が使っているということ?
山田 はい
荒川 あぁーー
山田 同じようなのが何の問題もなく、今までそれで、あのー来ちゃっているという。
荒川 あー
山田 実はこれ全国探すと楽勝で1000件以上あると言われているんですね。
荒川 はぁはぁ
山田 でこれ明治以来その神道というのは、あの神仏分離令でお寺と一緒に集合していたやつが引っぺがされたりとか
荒川 うん
山田 それとそのー、戦時下で国家神道になったりとか。で戦後になったら今度はGHQの神道令ってやつでね神社庁のもとに全部統合されて宗教法人になったりとか、色んな扱いかたが変わってきたという、まぁ歴史もあるんですけど
荒川 えー
山田 この問題が起きる背景にはですね、
荒川 うん
山田 この、おー、このテーマでも言いました『そもそも神社神道って宗教なのか?』っていう、この大きな、非常に大きな問題があると思うんですよ。
荒川 あー、なるほど。
山田 というのは神社神道の場合、宗教の三要素と言われる教祖とか教義とか戒律が無いわけですよ。
荒川 あぁーーーぁ
山田 誰が教祖で、どういう教えで、どういう聖典があって、どういうあの、やっちゃいけない事があるかってないでしょ?
荒川 うーん
山田 じゃあそもそも信仰している対象って何なんですか?って話になると、なんでもアリじゃないですか。
荒川 うん
山田 あの、富士山とか山や木だったり、物だったり、天照大神(アマテラスオオミカミ)みたいな神話上の神様だったり、あと東郷神社みたいな東郷平八郎って実在の人物だったりとか、あとキツネだったり動物だったりとか、色んなもの信じているわけですよ。
荒川 うんうん
山田 『これ同じ一つの宗教なの?』みたいな・・・ことあんですよね。現実問題これ他の、例えばキリスト・・ヨーロッパのキリスト教徒なんかに説明する時にはホント難しいですよ、コレ。
荒川 あぁー
山田 僕も散々苦労しましたけど『それ宗教じゃないだろ?』って話になるんです。
荒川 ほぉー
山田 で『ヨーロッパにも同じモノあるよ』と。『それはね、原始的な自然信仰に基づく生活習慣とかおまじないってヤツじゃねぇーの』って。ヨーロッパにも例えば木、あのー信仰するゲルマン・ケルトの御神木信仰ってあってそれがクリスマスツリーになったりしてますけども
荒川 はい
山田 そーいうのとか、精霊信仰とかと同じような。『それはもう民間習俗なんじゃねぇーの?』と。『それは宗教とは呼ばないよ?』って。あのー、という意見もあると思うんですね。
荒川 はぁー
山田 で実際問題この『神道は宗教じゃないよ』っていうこの理屈は大昔から根強くあって、で実は戦時下のさっき言った国家神道っていうものが推し進められた時にこの理屈で行ったんですよね。
荒川 はぁ
山田 で、誤解されがちな事なんですけども、昔の憲法、明治憲法、大日本帝国憲法でも信教の自由ってのは一応保証されているんですよ
荒川 はいはい
山田 で神道を国家神道にした時、『この信教の自由に違反しているんじゃないか?』という意見は当然あったんですけども、その時に『いや、宗教じゃねぇから』っていう、『これは愛国教育だから』みたいなことを言ったんですね。
荒川 ふーん
山田 で、あのー1932年に私の母校でもある上智大学学生靖国神社参拝拒否事件ってのがありまして、
荒川 ええ
山田 あの、陸軍の将校が軍事教練に来ていて、で皆で靖国神社に参拝に行くぞ!って言った時にキリスト教徒の学生が参拝を拒否して、で陸軍と揉めた事があったんですよ
荒川 ほう
山田 でその時に、東京教区(
注:教区とはキリスト教において一定地域にある教会をまとめた教会行政上の単位)の教区長の神父さんが当時の文部大臣の鳩山一郎・・
荒川 うん!
山田 今の鳩山首相のお爺さん、お爺さんに『これは宗教行為ですか?』と。『宗教行為だったら従わすわけにいきませんよ』って照会したんですよ。
荒川 うん
山田 そしたら文部省の方から『いやこれは愛国教育ですから』っていう返答が着たんです。
荒川 あぁ
山田 でそれを受けて、まぁそのぉ時節柄ってのもあってね、あのバチカン、あのローマ法王庁ですよね、法王庁は『靖国神社参拝は宗教行為ではなくって愛国行為だからしゃーねーな』と。『OKよ』って言っちゃっているんですよ。
杉浦 へぇー
荒川 はぁー。ってことはバチカンもこれは宗教行為ではないと言ったわけだ。
山田 だって、そー日本が言うからね。これを拒否すると色々面倒くさいことになる時代でもありってこともあって、
荒川 はぁはぁはぁ
山田 だからそこではバチカンは神道は宗教ではないと、そこでは判断しているんですよ。
荒川 うん!
山田 だ、これが非常に難しい問題ですよね。この理屈で言うと今の靖国参拝もOKになるんですよ。
荒川 はぁー。
山田 『宗教じゃねーっすから』って。現役閣僚が靖国行くのは政教分離の原則に反するっていうことでね問題になっているから・・・靖国参拝もOKになっちゃう
荒川 なるほど
山田 だけどさっき言ったように、よくよく考えると『神道ってのは、これを宗教にしちゃっていいの?』っていうのは、必ずしも一概に言えないところだと思うんですよね。
荒川 今回のその砂川の、えー、私有地を無償で神社に使わせるというこの判決というのは、最高裁は宗教団体だと・・
山田 えぇ要するに宗教団体というか宗教施設であると、認定した。ただ、この、えー空知太(そらちぶと)神社は、さっき言った神社庁、えー、戦後のねGHQの神道令で神社本庁に統合された中に入ってないし、えーと、宗教法人でもないんですよ。
荒川 はあー
山田 ここがまだだからさっきのその神道の問題のところで、何でも神様だから、明日っから例えば強啓さんが『強啓神社作るよ』つったら神社になっちゃうじゃないですか。
杉浦 うーん
荒川 うんうん
山田 だから基準が無いわけですね。
荒川 うーん
山田 だから宗教法人じゃないからって町会の方は『いいんじゃないの』って言っていたんだけど最高裁は『入口に神社って書いてあるし、鳥居とかそーいうもんがあるから宗教だ』って言ったんですよ。
荒川 うわぁーー、難しいねぇ。
山田 これ難しいですよ。それ言いだしたら『じゃあ結婚式場の教会はどうなんの?』とか『十字架ついてたらみなキリスト教の教会かよ』みたいな話になってくるんですよね。
荒川 はぁー。
山田 だからこのー、判決。なかなか実は難しい問題を含んでいるんじゃないかって気が・・
荒川 はぁー、そーいう見方、えー、解析のされ方って初めて耳にしたんですけど、今の五郎さんの説明だとそうですね。
山田 ええ
荒川 ひじょーーーにコレ、難しいですね。
山田 難しいです。だから神道を宗教というゆうにするってことは、中々ね近代社会においては難しい問題を抱えていると思うんですよね。
荒川 はい、これは興味深い提言でした。
と話していた。
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