川上 人生の目的って・・・
鈴木 ない?
川上 ないですね。だから今やっていることって、どういう事やっているかというと、まぁあの、対外的にはたぶんニコニコ動画をね、こういう風にやったりというのは、それは論理的に思って『こういうことが出来るな』って思ってやっているだけで、僕の感情からやっていることじゃないんですね。
鈴木 うん
川上 で、感情からやっていることっていったら、何かあのー、たぶん外からは宣伝だって思われていますけど、うちって例えば『にちゃんねる採用』とかね、あのー、そのー(笑)。ネットでにちゃんねるばっかりやっている人、あの、学歴は大卒未満、大学在学の人は卒業の意思がない人に限るとかって求人をやっているんですよね。フフ(笑)
麻生 ハハハハ(笑)
川上 あの、中卒高卒のみで、在学している人は卒業の意思がない人。って人を採用したりだとか、あのー、まぁなんかね、どうしようもない人間とかを結構採用しているんですよ。
鈴木 うん
川上 普通の会社だったら採らない。実力はあるんだけれど普通の会社だったら採らない人とか採用しているんですけども、実は僕にしてみたらそれは失った目的を少しでも埋め合わせようとする行為で、僕にとってはそっちの方が一番・・・やりたくてやっている事なんですよ。
鈴木 うん
川上 だから今もあのー、その求人とかでも、他の会社が採らない人を採れるような風にしたいと思っていて、
鈴木 うん
川上 例えば、もうあの、『学校行かなくていいから、そのまま内定だしたら学校やめて来い!』みたいなね、そいうい事を今は大手を振ってやってやろうと思っているんですけど。フフフ(笑)。飛び入社みたいな(笑)。
鈴木 フフフ(笑)。でも躍進してんですよねぇ、ニコニコ動画。
麻生 そうですねぇ
鈴木 な、何やりたいんですか?ニコニコ動画で。まぁ今もやっているんですけれど。
川上 あのぉー、何なんでしょうね、僕がやりたいなって・・・僕なんか、興味のあることしかやりたくないんですよ。で、『自由』が興味があるっていうか、僕がなんか・・・興味を持てるかなって思ったら、僕はやっぱり、何かあの・・・まぁゲーム好きなんで、パズルとかゲームと思って仕事やってんですね。
鈴木 うん
川上 じゃあどういうパズルを解こうか?っていうことで僕が今興味を持っているものっていうのが、あのー、なんかね、みんな同じこと言うじゃないですか。例えば『経営とかってこういう風にやるべきだ』『ITビジネスはこういう風にやるべきだ』って、色んなあのー、ノウハウというかマニュアルがありますよね。マニュアル的な言説があって、で、その通りにやる人たちって、でー、これ僕の世界観なんですけど、それって僕の中ではそれ人間じゃないんですね。なんかそういう、なんかのイデオロギー、ミーム、社会的生命体の、あの、歯車になっている。奴隷になっている人間であって
鈴木 あぁ、そういう人たちはね
川上 そうそうそうそう。まぁ実際そうじゃないですか。例えば資本主義の、あの奴隷みたいな人だと思うんですよね。なんかそういう金融とかで、そういう金融とか資本の論理でだけで動く人っていうのは何かもう、全体の価値観通りに動くマシーンみたいな存在じゃないですか。
鈴木 うん
川上 それは僕は、嫌だなって思っていて、でそれでぇー、あのー、たぶん人類の歴史を考えると、まぁ将棋がもうほぼプロが勝てなくなっていて、まぁチェスなんかもう勝てないですけど、将棋も実際にはもう勝てなくなっている可能性ありますよね、戦っていないだけで。で、囲碁もあと10年か20年くらいしかもたないんですよ。
鈴木 うーん
川上 そしたらボードゲームの世界では、人間っていうのは最強じゃなくなっているんですよね。でそれで、ミームが支配している世の中っていうのも、実は人間が気付いていないだけで、もうたぶんもう、人間じゃなくって『ロジック』っていう名前の生命体が世の中をどんどん支配しつつあって
鈴木 あぁー
麻生 証券取引だってそういう部分がありますよね。
川上 うん。もう完全に人間が制御できないもんね。人間がコントロールできないんですよ。人間がコントロールできていなくって、ロジックだとかアルゴリズムの自立進化みたいなもので今は社会は進化していて、実は人間の意思の入る余地ってドンドン狭くなってきていて、たぶん21世紀って最後の人間の世紀なんですよ。
鈴木 なるほど。これどっかで破綻するとかそういうこと無いんですか?僕わかんないんで
川上 まぁたぶんあのー、人類が滅びるということがあるんだったら、あのー、それに乗っかって、あの、一緒に破綻するっていうシナリオはあると思います。
鈴木 うーーん
川上 でも人類が破綻・・・まぁ人類が破綻しないでもね、文明が退化すれば、まだ、あの人間の歴史っていうのは生き伸びる・・
鈴木 可能性
川上 うん、あると思うんですけど、進化していく以上は社会全体を動かしているルールみたいなものっていうのは、もう自律的に進化していますよね。
鈴木 うん、自分で育っているっていうこと?
川上 はい、資本主義もそうだし、今の経済システムもそうですよね。まぁ格闘技とかスポーツとかもそうで、結局それがどんどんどんどんロジック同士の戦いになっていくと、みんな同じ戦法を使い始めたりだとか、どんどん1個の解に収束し始めるんですよ。
麻生 間違いないですね。
鈴木 うん。
川上 で、そういう風に収束し始めるっていうのは、実は、あの、プレーしているのは人間じゃない・・・ですよね、そういうのってよく見ていると人間ってただのそれの構成するパーツであって。でそういう現象って世界の各地で起こっていて、だから僕は、そのあのー、ネットとかで、なんかネットを使って独裁とかそういうようなうんぬんって言っていますけど、たぶんこの未来って独裁者ができない未来なんですよ21世紀っていうのは。
鈴木 うん
川上 人間一人が独裁するってもう不可能なんですね。まぁ実際あのぉー、ひょっとしたら10年前20年前だったら、あのあの、日本は小沢一郎さんっていうのが日本を全部をコントロールする世の中が誕生したかもしれない。だけれども今の時代って、あのー、もう、あの小沢さんが失脚したらもう出てこないと思うんですね
麻生 それはぁー、わかりました
川上 か、可能性がある人すらもう出てこないと思うんです。で、それはもう人材が居ないうんぬんじゃなくって社会的にたぶんそういう人が存在できなくなっちゃう・・・世の中になっていて、たぶんこれ世界的に起こっている現象だと思うんですよ。
鈴木 うん。なるほどぉ。
補足:川上さんの「失った目的」とは
にちゃんねる採用を「失った目的を少しでも埋め合わせようとする行為」と仰っていますが、この件について。所属していた株式会社ソフトウェアジャパンが突然倒産。ドワンゴを創業することになるのですが、ドワンゴ創業の際に次のように決意したそうです。「これからはおまけの人生だ。他人を幸せにする会社を創りたい。どういう人を幸せにするかといったら、僕みたいにネットにハマり過ぎて人生を見失って、優秀なんだけどこの子の未来は暗いなみたいな子が働ける会社を創ろうと思った。」。しかし、会社を創って直ぐに「そういう人たちをクビにした」そうです。理由は働かないから(笑)。その経験をずっと負い目に感じていて、にちゃんねる採用に繋がるわけですね。
補足:ミームとは
ミーム(meme)とは、動物行動学者のリチャード・ドーキンスが作った言葉であり、心から心へと伝達、複製される文化の情報の基本単位である。情報や文化が発生し、模倣によって伝達され、そして淘汰されてゆく、その一連の有様を遺伝子による適応進化になぞらえた概念。
例えば、『じゃぁいつやるの?今でしょ!』という流行語、ビジネスマンはスーツを着るという常識、お年寄りを敬うという道徳、クリスマスは恋人と過ごすという文化など。生物の遺伝子のように社会文化にも遺伝子のように進化や淘汰があって、そういった概念や単位のことをミーム(meme)といいます。たぶん。
補足:コンピュータ将棋ソフト vs プロ棋士
2013年4月20日に株式会社ドワンゴ主催で開催されたコンピュータ将棋ソフトとプロ棋士の団体戦「第2回 将棋電王戦」で、プロ棋士1勝、コンピュータ将棋ソフト3勝、引き分け1で、コンピュータ将棋ソフトが勝利した。
■ 更に、社内標語『Google機械帝国に対する反乱』について話していました。川上 Googleに代表される、あのー、シリコンバレー発のネットのイデオロギーって何なのかといったら、あのー、人間を部品化してみるってことだと思うんですね。人間をパーツとして、そのーあの、パーツの集合体を、たぶん熱力学機関を作っているんですよ。
鈴木 うん
川上 でそして、エンジンから得られる動力とかを、あの、広告費なんんかで集めていくっていうモデルなんですね。だからGoogleなんかで、あの、CPMとかクリックパーなんちゃらとかあるじゃないですか。なんかそういう、なんたらかんたらとか用語を作るのがすごい好きじゃないですか、あの人たちって。
麻生 ふふ
川上 あのクリック率とか、それのぉ何かね、単価とかって。そしたらどういうような世界が出来たのかっていったら、クリックする機械みたいな人間が増えたんですよ。
鈴木 うん
川上 でブログもそうで、あのブログとかでもSEO(検索エンジン最適化)とかでGoogleで検索すると、なんかその、なんかブログが出るんですけど、そのブログって機械で移送されたやつで自動生成されたブログなんですね。何か文章が日本語なのか意味があるのかわかんなくて、実はそれ自動生成されたブログで、ブログも実は半分以上が機械が作ったブログなんですよ。
鈴木 なるほど
川上 でそれで、今SEOってことで流行っていますけど、それ何なのかっていうと、Googleの検索エンジンがこのページは重要だって風に思ってくれて、(検索結果の)順位を上げるためのやつなんですね。
麻生 うんうんうん。目立ちやすいように。
鈴木 はい
川上 これって、マーケティングでいったら、Googleのロボット相手のマーケティングをしているんですよ。既に人間を見てないんですよ。
麻生 ロボットとロボットがやっているわけですね。
川上 そう、ロボットがやっているわけですよ。だから、今のそのGoogle的価値観の、あの、その、あのー、一番の欠点っていうのは、まぁGoogleっていうのは人間・・あの機械が出来ることは全部機械でやって人間にやらせないっていうような哲学があるんですけども、そのGoogle的未来には、あの、人間の住む場所が少なくなっているんですよ。もう機械が住んでいるんですよ。それが、僕はGoogle的価値観の一番の弱点だと思っているんですね。
鈴木 なるほど。
川上 でまだ、世の中を支配しているのは何だかんだ言って、最終的な財布とかを握っているのは人間の方なんで、そうすると、その、あのー、人間の、まぁ例えば機械に対する反乱みたいな感じのね、あのー、エネルギーっていうのが世の中には潜在的に存在しているはずだって思っていて、で実際にはGoogleって結構好きなんですけど・・あの、好きな人ってIT業界多いんですけども、とはいえGoogleが支配する世界に対して『あんまりバラ色の世界じゃないな』っていう感覚って、世の中に全体的にあると思うんですよ、その不安が。・・・あるっていうのは、そこら辺にあると思うんですね。ホントにGoogleの理想の世界に人間の居場所があるのかっていうのを、みんなで潜在的にかなり多くの人が持っていると思っていて、
麻生 そういう意味では僕、ニコ動ってすごくラッキーパンチだなと思うんですね。GREEとモバゲーって、そのぉ、あのー、すごく分かりやすく言うと、やっぱり凄くロジカルなんですよ。
鈴木 うん
麻生 ロジカルですよね。特にモバゲーとか物凄くロジカルだと思うんですよ。でその、携帯というプラットフォームがあって、で、タダのゲームを配信して、それに入ってもらって、その、まぁ課金をする。行動経済学の観点から見てもすごく合理だと思うんですよ。で、ニコ動は全く合理じゃないですもんね。
川上 全く合理的じゃない。
麻生 僕、変な話・・・上手く行くのかなって思ってましたもん。
川上 アハハハハ!(笑)
鈴木 アハハハハ!(笑)。いやだってね、世界はやっぱりね、世界を変えた人たちってね、上からモノを見てないんですよ。地面から見ているもん。それが歴史だもん。
川上 でやっぱり論理って、必ず穴があるんですよ。
鈴木 うん
川上 完璧な論理っていうのって、だんだん、だんだん完璧に近づいて行くのかもしれないけど、だいたい簡単な論理で行くから、相当な矛盾を抱えていて、でまだ、まだ今ネットの世界を支配しているGoogle的世界観の論理ってまだまだ全然粗いって思っていて、
鈴木 うん。論理の人って要素をいっぱい引っ張り出さなきゃいけないでしょ?だけどその要素、足りないですよね、大概。
川上 あそうですそうです。物事を単純化しようとするので・・・単純じゃないから。
鈴木 論理の人ってやっぱり単純だと思うんだよなぁー。
川上 あのえっと、論理の人って・・・まぁ2種類あると思うんですけど、論理を作る人と、そのあの、論理に従う人って・・・た、えーとね・・・何て言うかな、あのー、単純化された世界を本当の世界だと思ってしまう人がいて、作った論理から・・を世界と思って考えたがる人が多いんです。論理をやる人って。
鈴木 はいはいはいはい
川上 でこれはすごい弱いパターンで、で、そこを突いていくっていうのが、まだ人間ができる事なんですよ。人間がまだ、機械のロジックよりも強いっていうあのぉー、あの何回かは勝てると思うんですよ。
鈴木 うん
川上 何回かは勝てる。その内の1回位をやるのに、出来たら面白いなぁって思って僕はやっているんですね。まぁ目指すのは、当然ニッチを目指すんだけど、最大のニッチを目指そう。最大のニッチはどこかっていったら、それはアンチグーグルの世界観だ。でアンチグーグルを表わす標語っていうのが僕、社内だけでやっている標語っていうのを作ったんですね。で、それは『Google機械帝国』、フフフ(笑)っていう標語だったんですよ。あ、『Google機械帝国に対する反乱』
鈴木 まぁ、いや、狭い範囲で言うと、人間と機械と戦って機械に勝つっていうんですか?
川上 はい。
鈴木 うん
川上 というか、ひと花咲かせる。フフフ(笑)
鈴木 一矢報いる。
川上 一矢報いる、っていうパズルは僕面白いなと思ってやっているんですね。アハハハ(笑)
と話していた。
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