伊集院 この仕事、出れんのは嬉しいけど行くの嫌だったみたいなのある?
大木 もう完全に電波少年です。完全に。僕は『ビビる』っていうコンビでやってたんですけど。それから一人になったんですけど。
伊集院 はいはい
大木 そのコンビ時代にテレビに出させてもらっていたんですけども・・
伊集院 ふふ、電波少年刑事でしょ?(笑)
大木 これ当時人気絶頂の電波少年にありながらですね、俺達の企画だけヒットしないっていうですね。
長岡 フフフ(笑)
大木 そこでも肩身が狭かったんですよ。
伊集院 しかも、電波少年が当たりを出し過ぎて、あの、ちょっとインフレっていうか状況になっていて、変な話、『電波少年イコール過酷ロケ』に加えて、社会問題を起こさなきゃいけないみたいな空気になってきたところの新企画だったよね、あれ
大木 そうなんです。恐ろしいんですよ。それで本当にこう、世間で事件が起きるじゃないですか。その事件を、犯人が捕まっていない事件を電波少年スタッフがピックアップしまして、『ビビる2人で行って犯人を捕まえてこい!警察より早くな!』っていうロケなんです。
伊集院 ホントこんな企画あったんだよ
長岡 それは無理じゃないですか?
伊集院 だって、放火とかが起きると直ぐ行くんだよ
長岡 えっ!現場に急行?
大木 しかも僕と相方2人で行くんです。スタッフの同行無しなんです。
伊集院 カメラだけ持って行くのよ。
長岡 えっ!自分たちでカメラを持って??
大木 自分たちでカメラとバッテリーとテープの替えを持って行くんです。だから操作をするんです。ロケじゃなくって。
伊集院 ハハハハハ(笑)しかも、何かしらの動き、犯人を捕まえないまでも何かしらの動きがあるまでオンエアされないからね
長岡 そうですよね!
伊集院 そうなのよ。だって、行って空振りが普通だもんね。
大木 そうなんです。それで一週間二週間進展がないとですね、あの、電波少年の土屋プロデューサーですね、T部長ですね今。
伊集院 あの有名な
大木 呼び出されてですね。『お前ら捜査方法はどうなっているんだ!!』って
一同 ハハハハハ!!(笑)
大木 『いやいや俺達わかんないっす。捜査方法で注意されても』っていうですね。あの人本気で言うんですよ!
伊集院 捜査方法が間違っているの怒られないよね普通(笑)
大木 『捜査方法が違う!』と。で、人が、人が被害にあって事件になって犯人が逃げてる状況になっているのに『お前たちのVには笑いがない!』って言うんです。
伊集院 ハハハ(笑)ちょっと待って。えっと、2つ関門があったね。まず犯人を警察より早く捕まえる、ね。で、もう一個、笑いをそこに。無理だよ!(笑)
大木 もう分かんないっすよとにかく。何していいか。もう大変でしたよー、ホントに。
伊集院 そこにディレクターが居て、『こういう方向で』って言うんなら分かるけど、それも無いんだもんね。
大木 無いです。
伊集院 例えば連続放火が起きました、と。そうすると要するに、都内を歩いてて、サイレン鳴ったら急行みたいなもんだよね
大木 そいうことです。本当に酷いです。
長岡 でもそれ、実際に調べていらっしゃる警察の方に怒られたりしませんか?
大木 だからあの、あまりに情報がないじゃないですか。僕らは新聞程度の記事で、その近辺を捜査しますんで、無い場合は僕らどうしても『警察署に行って情報を貰ってこい!』って言われるんです。
伊集院 うんうん
大木 そして2人で行くんです。地元の警察署に行って『僕達も力になれませんでしょうか?』って言うんですけど向こうは『こっちはこっちでやっているから。変に動かないでほしいな』みたいな。
伊集院 うん、それは本心だと思うね。
長岡 当然だと思いますね
伊集院 ましてさ、連続放火なんかの時にさ、いつもビデオ持ってさ消防署より一歩遅く駆け付ける奴がいたらさ、そいつが犯人だよ(笑)
長岡 怪しいですもんね。
伊集院 基本は犯人ですよ(笑)印象深い事件ある?電波少年刑事的には。
大木 まず通り魔を探すっていうですね・・
伊集院 うわっ!すげーの行っているね
大木 凄いんですよ。本当にこう、傷害を受けた方がでてて、問題になってて、一応犯人の顔も分からないという状態で、一応まだ23区内に居るっていう情報でですね、40日間ロケをしてですね
伊集院 うん
大木 午後1時から朝6時までが捜査時間っていう時間で捜査するんです。ホント過酷なんですよ!
伊集院 何の手掛かりもないの?
大木 無いです。
伊集院 何が正解かも分からないじゃないですか。
大木 本当に聞き込みだけなんです。『新聞でこの辺で見たっていう事件があったんですけど、どういう感じでしょうか?』っていうのを住民一人ひとりに聞いていって、段々段々です。
伊集院 なんかね、今聞いてるとさ、それでもその頃は何とか人気番組に出たいっていう意識と笑いが取りたいからやるけどさ、
大木 はい
伊集院 今、僕ら、多少年月を経てベテランになっているのに、正解がわからないですよ、これ。
大木 わからないです!
伊集院 だって、本当に途中に通り魔が起きちゃった場合、面白いの撮っててもお蔵入りじゃない。
大木 そうなんです。
長岡 そうですねーぇ!
大木 ・・で、あのー、通り魔が女性ばっかりを狙っているっていう情報があったんです。力の弱い。
伊集院 はいはいはい。
大木 だから僕の方が女性の格好をさせられてですね。それで相方がちょっと離れた所でカメラを回すっていう捜査方法に
長岡 あっ、おとり捜査?
大木 おとり捜査ですね、要するにね。
伊集院 うんうんうん
大木 だから最悪、『最悪お前がいかれてこい』みたいな、土屋さんの、もうよく分からない状況なんすよ
伊集院 なるほど。フフフフ(笑)
大木 これは仕事なのか何なのかよく分かんなくてですね・・
伊集院 すごく聞きたいのはその時の精神状態なんですけど。あの(笑)それでいてオンエアはなかなかされないじゃない。
大木 なかなかされないです。
伊集院 オンエアされない。撮っているテープは何のために撮っているのか分からなくなってくるじゃない
大木 はい
伊集院 自分たちがやっている事は、笑いが起こることだとも思えない訳じゃない
大木 思えないです
伊集院 そういう時の精神状態ってどうなってくるの?(笑)だって、お笑いだっていう根本がブレ始めるじゃない、そーなってくると。
大木 そーすると、よく分からないんですけど、あの、捜査しながら、捜査の推理しながら独り言を言いながら歩くじゃないですか。
伊集院 うん
大木 その時にちょっと電柱にぶつかってみようとか、そういうよく分からない笑いの取り方になってきて(笑)。これなんだろうか?ってなってくるんですよ、本当に(笑)。で、やっているうちに、お互いに本当に分かんなくなってきて、ホントに捜査方法とかでケンカとか始めるんですよ。相方と。
伊集院 ほーぉー
大木 『だから俺は住宅街を歩こうって言ったんだ!』とか『いや、もっと環七の方を歩こう!』とかですね。捜査方法とか、捜査の詰め方でケンカになってきてですね。(電波少年スタッフが)『そこも回せ!』つーんですよ。
伊集院 それ凄いね。昔ね、ものの本によると忍者とかがさ、そういう時代ね、忍者とかが『あの城を農民のふりして見張れ』って言われてさ、より農民っぽくやるわけ。それで何の戦乱も起こんない時代ってあるわけ。何十年間って。そうすると段々農民のふりをしていることが、ふりなんだかどうだか分かんなくなってくるし、周りの本物の農民の仲間とも結束してくるから、『次の作物をどうしよう』って方に熱くなってきて(笑)そのまま死んでいった忍者がいたらしいんだけど(笑)その境地だね、もう
大木 それです。ホントそれです。
伊集院 ロケなんだかそーじゃないんだか分かんないあの企画はやっぱ凄かったんだなぁー。
大木 それでですね、えー、何となく捜査に進展がないと。そしたら捜査の進展がないことをいいことにですね、土屋さんがですね『最近、富士山の高山植物の泥棒がいるらしいんだ』と。
伊集院 あら二件目の(笑)
大木 『ちょっと掛け持ちで富士山に行ってくれないか?』って言われてですね
伊集院 本当の警官でも掛け持ちしてないからね、それね(笑)うん。
大木 都内から静岡県までですね、今度。で、『富士山の方は3日間でいいから』と。というか『3日間で犯人を捕まえてくれ』と。
伊集院 はあはあはあ。
大木 富士山の5合目以上って植物を採っちゃいけないらしいんですよ。
伊集院 はい、はい
大木 で、『それを採っている業者がいて、何か漢方とかにする人がいるんで、それを取り締まってくれ』って言うんで行ったんですよ。
伊集院 うん
大木 ただ居ないんですよ!
伊集院 広いしね!(笑)富士山広いし。それで行って居るようだったら富士山の周りの警察官が何してんだよって話だからね。プロが。
大木 そうなんですよ。しかも富士山に行くってのを言われずに連れて行かれるんですよ。恒例の。
伊集院 うんうん。目隠し方式。
大木 『とりあえず乗ってくれ』って言われて。で、夏だったんでTシャツ短パンで乗っててですね、富士山について『さぁ、お前たちは富士山で高山植物の泥棒を捕まえてくれ。頼むぞ。』って言われて
伊集院 うん
大木 僕たちは夏だからまぁいいかと思ってたら富士山の夏すげーんですよ!登山客がダウンジャケット着てるんすよ!
伊集院 そうだよー。
大木 俺たちはTシャツに短パンで『これ夜中どうすんだよ!』つって、夜になったら気温が5度とか6度になってきて、『これどうしよう』とか言いながら6合目まで行っちゃったんです。
伊集院 うん
大木 上に行けば人が居るかなぁって思ってですね
長岡 フフフフ(笑)
大木 そしたら6合目にちょうど登山案内所ってのがあってですね、『申し訳ないですけど、こういう理由で捜査をしているんですけど、犯人が捕まらないもので、朝まで暖をとらせてくれないか』って。
伊集院 うんうん
大木 で、そこに置いていただいて、『置くからにはちょっと手伝ってくれ』って言われてですね、そこで。こうなんか外国人の登山客の方も一杯いてですね、何人か『呼吸が苦しい』と。
伊集院 うんうん、空気が薄くなるからね。
大木 はい。『苦しい』って運ばれてくる外国人なんかを僕たち一緒になって運んだりして(笑)
長岡 人助けでねぇ
大木 人助けしながら人が落ち着いた時に見計らってまた捜査に戻るんです。カメラを回して。
伊集院 うん
大木 これが3日間居て結局捕まえられなかったんですよ。当然ですよ!
伊集院 当然ですよ。はい。
大木 『捕まえられなかったということは放送なし』って言われてですね。これ今だに放送なしです。
伊集院 あのー、もう凄いと思うのは、さっき言ったのをもう一巡行ってるのは、まずお笑いじゃなくって高山植物を取り締まる警官がやることをやっている訳じゃない。
大木 はい
伊集院 だけど、それすら仮の姿で人命救助をやってるでしょ?意味が分かんないよ!グルグル回って。
大木 大変でしたよ!
伊集院 その、日々ね、放送されるかどうかも分からない。やり方も誰にも教われないVを回し続けるっていう・・
大木 そうです。結局通り魔だけで100何時間回しましたんで。捜査時間。
伊集院 でもオンエア全部入れても・・
大木 オンエアなんてホント5分6分ですよ。何回もやって。
伊集院 すげーなー。
大木 それで先ほど伊集院さんも言いましたけど、本当に放火がありましてですね
伊集院 おお!
大木 『今度は放火を取り締まってくれ』っていう風に言われて杉並に行きまして。ただその頃から電波少年刑事としては働きがないって言うんで、当時あのー、日曜日の午前中に『雷波少年』っていうのやってたんです。
伊集院 やってた、やってた。二本立てになってた。うん。
大木 『お前たちは雷波少年刑事に降格だ!』って言われたんです。
伊集院 はぁはぁ、ゴールデンタイムからって考えればそりゃ降格ですよね。
大木 はい。その辞令が出てですね。張ってあるんです、スタッフルームに。行ったら。で、『今日から雷波少年刑事だぞ!降格人事だぞ!』って言われて、『ちょっと放火を取り締まってくれ』って言われて行ったんです。
伊集院 うん
大木 一週間くらい行ってまだ成果を挙げられない時にですね、地元の怖い方に絡まれたんですよ。
伊集院 うんうん
大木 収録中に。『何やってるんだよお前』つって。『あぁ何をやっているということもないんですが、放火の件がありまして、あのー、犯人を捕まえようとして頑張っています。』つって。『お前らカメラを回していること俺に許可を取ったのか!?』つって
伊集院 おー、怖い怖い。居るねそういうのね。
大木 『ヤバいな』つって。『じゃあ一応・・よく分かんないんで警察に行きます』つって。そしたらその人も来たんです警察に。
伊集院 うんうん
大木 で、警察が来て『あぁー、あの人この辺で有名な厄介な人だから絡まれたお前たちも不運だったけど、そーいうロケ止めてくれるか?』って警察にも言われて
伊集院 アハハハハ(笑)
大木 それでちょっと、あのー、スタッフ同士で警察と話し合って、ロケが『じゃあ一旦打ち切りましょう』ってなったんですよ。
と語っていた。
その2につづきます。
⇒
ビビる大木が語る死にかけた話その2『雪山ロケで大怪我。コンビ揃って死にそうだった。』 [ Close ]
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