飯田泰之・大野更紗が語る『生活保護不正受給と福祉政策とメディア報道』

03:15

2013年3月27日に放送されたTBSラジオ『ニュース探究ラジオDig』のテーマは「アベノミクスと社会保障」。自民党政権における福祉政策の現状や安倍首相の福祉観の考察などが話される中で、昨今メディアで話題になっている生活保護不正受給問題について話が及んでいました。世間の注目度と不正受給の実情に余りにギャップがある、その原因と対策などが話されていました。飯田泰之と大野更紗


■会話をしている人物

大野更紗 (作家 / 自己免疫疾患系の難病を抱えている)
飯田泰之 (経済学者 / 明治大学政治経済学部准教授)
荻上チキ (批評家 / 「αシノドス」「シノドスジャーナル」編集長)
外山惠理 (TBSアナウンサー)


 
飯田 先ほど『公平な社会保障』という風な、まぁ、お言葉があったんですけど、

荻上 はい

飯田 まぁ、恐らく書いてらっしゃる方は、まぁ、要するに『経済的弱者を救う』という意味で言っているんですけれども、今一番注目されている公平さっていうのは、例えば生活保障を、『生活保護をズルして貰っている奴がいる!許せん!!』みたいな公平さなんですよ。

荻上 『不公平だ!』っていう

飯田 『不公平だ!』。実は額から言うとハッキリ言って屁みたいな・・っていうと良くないですが、ホントに僅かなのに、何か一部の特殊例を見付けて攻撃することが公平だと。

外山 うん

飯田 これはぁ、僕とぉ、まぁチキ君メイン司会でやったぁ、選挙特番でも、えぇ、衝撃の結果だったんですけれどもぉ。

荻上 あぁ、そう。アンケートを取ったらね、番組で。

飯田 そう、アンケートを取った、そう。アンケートを取ったらぁ、一番多いのは、『生活保護の不公平を是正してくれ』。

外山 うーん

飯田 要は、『不正受給を無くしてくれ!』っていうのには、物凄い支持率が高いのに、その他の福祉については無関心。実を言いますと、生活保護の不正受給がゼロ円になったところで浮くお金なんて・・・まぁ、もちろん悪いことではあるんですよ?

外山 うん、もちろんもちろん。

飯田 なんですけど、浮くお金なんて高が知れているんです。

外山 だから不正受給、不正受給みたいな話がスゴクこう、マスコミとかで取り上げちゃうから、逆にそれが多いいんじゃないかと思われがちなんだけどホントに一部だって話だもんね

荻上 そうなんです。この番組でもねぇ、何度も取り上げたけど、不正受給と言われているモノも、そのぉー、生活保護を受けている方には様々なね、そのぉ、障害を持っている人がいてね、知的に障害を持っている人がいた時に、書類の不備とかがあった場合にそれは不正受給にカウントされるんですよ

飯田 そうなんです、そうなんです
外山 うーん

荻上 となった時に、そこに例えばレクチャーが行き届いていなかったとか、そもそも本人が書かなくっちゃいけないのか?っていう色々な問題だったり、そういうものの不正受給もカウントされているものなので、まぁパチンコとかの問題って目立ったりするからぁ、特にテレビはそこを撮るんですよね。

飯田 まぁねぇ。


と話していた。


■ 更に、自身が難病患者でもある作家の大野更紗さんが生活保護問題の件について言及していた。


大野 税と再分配の話って、あの、日本社会がぁ、こう全体としてですね、その、例えば社会保障とか福祉に対してぇ、一定程度お金がかかるんだと

飯田 うん

大野 で、誰か特定の可哀想な人たちの話じゃなくって、例えば今、あの生活保護費って今『大変だね大変だね』ってこう、たくさん言われるわけですよね色んなところで。

荻上 うん

大野 で、そういう所で例えば、そのぉ、『大変だね』って言われた時に『じゃあ生活保護が社会保障給付の何パーセントだと思いますか?』って聞くと結構その反応が面白くって、みんな、『えっと社会保障費の40%とか50%くらいじゃないですかねぇ』とか言い出すわけですね。

飯田 うん

大野 で、実際は3・・約3%なんですよね

荻上 ええ

大野 社会保障給付で一番大きいなのは年金、あの、年金と医療なわけですよ

荻上 そうですね

大野 で最後に福祉その他があるんですけども・・

荻上 うん

大野 まぁ生活保護の話ってのが、こう、何をどうしてもバッシングしか返ってこなくてぇ

荻上 それくらいの割合で報道しているからってのがあるでしょうね。

飯田 そうだね
外山 うん、ホントに

荻上 うん、報道割合が予算の構造だと思ってしまうというのはやっぱあるのでぇ。

大野 そうなんですよね。で、やっぱりメディア・・・そのまぁ、現場で働いている人たちっていうのは、そのバッシングに対する圧迫とか、当事者の人たちはそのストレスとか、

荻上 うん

大野 あの、すごくこう、それに対して大きなロジックを割かなきゃいけない・・かったみたいな事が、この1・2年くらいずっとあったわけなんですけども。

荻上 うん

大野 まぁこれはちょっと再び、あの、繰り返している余裕はもうないわけですよね。

荻上 うん

大野 さっきも・・・まぁメディアも含めてですけど、その、社会保障っていうのを単なる、その、負担って考えるのか、それとも誰にも必要なもので、でこれからあの、『みんなで考えていかなきゃいけないことだ』っていう風に考えるのかで全然方向性が変わってくるとは思うんですけどね


と話していた。
 
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コメント

  1. 東京 | URL | TBb5cWT2

    だったら不正受給者にはお前らが金恵んでやれよ。俺達の税金から取るんじゃねーよ。

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