2013年5月10日に放送されたTBSラジオ「荒川強啓 デイ・キャッチ!」にて、先日、米国議会図書館の議会調査局レポートで安倍晋三首相が「strong nationalist(国家主義者)」「ultra-nationalist(国粋主義者)」と名指しされた件についてニューヨーク在住ジャーナリスト北丸雄二さんと社会学者の宮台真司さんが語っていました。 | ![]() |
■会話をしている人物
北丸雄二 (ジャーナリスト / ニューヨーク在住)
宮台真司 (社会学者 / 首都大学東京教授)
荒川強啓 (フリーアナウンサー)
片桐千晶 (フリーアナウンサー)
補足:国家主義と国粋主義
国家主義とは、国民より何よりも国家を人間の社会結合の中で最高のものと考える立場を指す思想や行動のこと。
国粋主義とは、ある国家に固有の文化・伝統を礼賛することで国家意識の発揚をはかる思想や運動のこと。過激で好戦的な国家主義者のことを国粋主義者と呼んだりする。広義のファシズムと同一視されている。
荒川 アメリカ議会が安倍総理を批判ということですね。『強硬なナショナリストだぞ!』ということを言っているようですが。
北丸 あの、調査局がですね。『ナショナル主義者、国粋主義者だ!』っていう風に言っているんですけど。
荒川 ええ
北丸 実は男性主義って国粋主義、国家主義と結びつくんですね。
宮台 その通りですね。
荒川 そうかそうか。
北丸 国粋主義の根源にあるのは家父長制度なんですよ、パターナリズムなんですよ。
荒川 うん
北丸 父親的統制主義。『俺に任せろ!何にも言うな!』ですよね。
荒川 絶対的な強さは・・父親なんだよという教えがね、今までありましたからね。
北丸 それが、国権に、国に仮託されるわけですね。そういうものを超克(ちょうこく / 困難や苦しみに打つ勝つこと。それを乗りこえること。)してきた、先ほど言った政体化してきたのが現代の先進国の有り方なのにもかかわらず。
荒川 うん
北丸 日本は先進国って言われているんだけど政治家たちがそこら辺のことを自覚していないんですよねぇ。
荒川 あぁー。
北丸 それが結局、あのぉ、オバマ政権にとっては歯がゆいんじゃないかなぁ
宮台 あのぉ、そうですね、僕はこれ教養の問題だと思うんですね。
荒川 教養
宮台 はい。19世紀の末にね、ニーチェが、あの、力にすがる人間は、まぁ簡単に言えば弱者だということを明らかにしましたよね。
北丸 はい
宮台 その力っていうのは、ニーチェが推奨する内から湧き上がる力じゃなくって外に存在する超越的なモノの、まぁ例えば神様とかね、崇高な国家を崇拝する人間たちは、まぁ簡単に言えばヘタレだと断言をした。
荒川 うん
北丸 ハハ(笑)
宮台 で、実は敗戦後ですね、フランクフルト学派って言われるドイツのですね、まぁユダヤ系、アメリカに居る人たちが同じ図式を使ったんですね。
荒川 うん
宮台 えぇ例えばナチスドイツ。これを支えたのは無教養の人間というようりも、むしろ教養がある中産階級が没落をした結果、鬱屈した不安な状態になって、強い者にすがったっていうね、同じような図式をまぁ、アドルノ(テオドール・アドルノ / ドイツの哲学者、社会学者)、ホルクハイマー(マックス・ホルクハイマー / ドイツの哲学者、社会学者)も展開をしている。
北丸 はい
宮台 こういうね、もう100年以上存在する、まぁ要するに『強がっている人間、攻撃的な人間ってのは所詮ヘタレなんだ』っていうね、この認識。
北丸 ええ
宮台 つまり恥ずべき存在なんだ、つまりね、この、強硬なナショナリストってアメリカが言う場合にはこういうことを踏まえている。つまり、感情で釣ろうとする浅ましきポピュリストっていうイメージが一方にあるのと
北丸 はい
宮台 あともうひとつ、様々な問題を感情的な表出によって果たそうとするヘタレっていう、まぁ両方の意味をはらんでいるんですよね。
荒川 ということは、北丸さん。アメリカ議会は安倍総理をそういう風に見ているってことですか?
北丸 いや安倍、安倍さんに対して議会だけじゃなくってニューヨークタイムズ、ワシントンポスト、ウォールストリートジャーナルというこの三大高級誌が全部社説の中で『ナショナリスト』という形容詞を付けながら安倍のことを、安倍さんのことを言っているわけですよね。
荒川 はぁー!
北丸 必ずそれは、安倍政権が、あの、再登場してきた時から必ずそういう形容詞なんです。
荒川 うん
北丸 それに加えて、あの、議会調査局がコレ(議会調査局レポート)を出したということですね。
荒川 あぁー。
北丸 まぁオバマ政権として、政権としては表立ってそういうことは言いませんけど、その辺の何て言うのかな、政治家の意識と言うのがですね・・・まぁこれ日本だけじゃなくてアジアも同じで意識化されていないんですよね。それが何でダメなのか皆知らないのか知っているのかよく分かんないんですけど。
宮台 北丸さんね、そこが大変な問題で、アメリカで右翼と言うとね、国家を頼らない自立した存在で、だからガン、まぁ銃を持つということなんだけど。日本ではですねぇ、あの、その、いわゆるですねぇ、『国の為に何でもするぞぉ!』みたいな人が右という風に呼ばれるというですね、明らかな後進制を今でも引きずっている。
北丸 そうですね。
宮台 あの、ドイツはこういった後進制をとっくに克服したんだけども、今でも国粋主義という意味での悪しきナショナリズムがね、まぁ右だと思われている。これはね、先進国では恥ずべきことだと理解が必要ですね。
と話していた。
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