2013年6月24日に放送されたTBSラジオ「荻上チキ・Session-22」では先日成立した障害者差別解消法について議論がされていました。番組は「直電モード」で、当事者のリスナーから直接電話で意見を聞いていました。そこで電話出演したのが障害者施設で勤務されているというクドウさん。クドウさんが障害者への理解について語っていました。 | ![]() |
■会話をしている人物
クドウさん (仙台市在住で障害者施設の職員をされている番組リスナー)
荻上チキ (批評家 / 「αシノドス」「シノドスジャーナル」編集長)
南部広美 (フリーアナウンサー)
クドウ まぁ法律自体は作るの良いと思うんですけども、それを結局運営していく上でですね、一般の人たちがその障害自体についての理解が深まらない限りはいくら法律を作ってもあまり意味がないんじゃないかというとことの・・考え方ですね。
荻上 そうですね。その理解と言った時にですね、まぁあのー、実際に施設で働いている立場からし・・考えてですね、そのぉ、「必要な合理的配慮」といったのはどういうものだと思われますかねぇ。
クドウ まぁ合理的な配慮はその場面場面で変わるものですから一概には言えないんですが、
荻上 ええ
クドウ まぁそうですね、例えばこう・・・そのぉ、障害自体がどういうものかっていうことなんかを、どんどんこう・・何て言うかな。り、り、わかりやすいように、一般の人たちが勉強していく自体から始めるもんじゃないかなと思っていますね。
荻上 うーん。それだと先ほどのね、あの、電話でタカマツさんという方と繋いだんですけども、やはりコミュニケーションの手段がないと、いわゆる勉強っていっても本を開くという話とはまたちょっと違うわけじゃないですか。
クドウ そうですね。
荻上 となるとそういう機会が今後作られていくことに期待が、ひ、もたれるという事になるんですかね。
クドウ そうですね、とてもそれは必要なことだと思います。
荻上 うーん。クドウさんがその障害に対する、その、理解というのが広まるために必要だと感じることはどういったことでしょうねぇ。
クドウ そうですね。まず、障害を持っている人が何が困るのか、もしくは何が困らないのかっていうことなんかを、どんどんこう、もっと分かるというか、知るような機会が必要になってくるもんだと思っていますね。はい。
荻上 うーん。それはまぁ、催しごとであったりだとか、あるいは日常の場面でっていうことですよね。
クドウ そうですね。むしろ日常の場面の場合の方が大きいと思います。
荻上 あぁ。例えばどういった場面になりますでしょうねぇ。
クドウ ま、先ほどのその、目が不自由な方の場合なんかですと、結局、街を歩いていれば白杖をついている方とか、盲導犬を連れている方とか分かりますよね?
荻上 ええ
クドウ そういう風に見た感じで分かる人の場合は、その、見ている時にどういう行動をしているのかとかですね。あとはどんな時にちょっと困ったなっていう風な・・こう、態度がでているのかとかを見て行くことも必要だと思いますし、あとは、もう・・そういう風に分からない障害を持っている方ですね、問題なのは。
荻上 ええ
クドウ 精神の方。うちは、うちの施設の場合は精神(障害者)だとか知的(障害者)の方が多いので、そういう人の場合パッと見で普通の人に見えちゃうわけですよ。
荻上 はい
クドウ でそういう人たちは何か、その障害特有の行動をした時に変な人としか見られない訳ですね。
荻上 うーん、そうですよねぇ。
クドウ そうすると変な人だから関わらないとか、変な人だから、まぁ、つまはじきにしてみたりとか、そういう風な形で一般の人たちはなることが多いのでぇ。うん。ちょっと変だなって思った時にそれが・・例えばこう、犯罪を犯すような方・・ええ・・犯罪者・・・要するに悪いことをしているのか、障害でそういう風な行動をしてしまっているのか見分けられるように普段からよく見ておくのが大切なところだと思いますね。はい。
荻上 なるほど。まぁ普段からそうしたその議論の場自体が物凄く不足しているわけですよね。
クドウ はい。ないですね。
荻上 だからそのぉ、単に例えば障害者の側が健常者の側に対して、何かこう・・「勉強しろ!理解しろ!」って話って突き付けるいう風にイメージされると、非常になんかこう・・まぁコンフェイクト(?)、ええ、加速するわけですけども、そもそもそういった、(障害者と健常者が)揃う場所というか、無い状態を改善するところからっていうことになるんですかねぇ。
クドウ そうですね。はい。
荻上 うーん。やはり普段から、あの、施設で働いておられると、その、周りとの、あるいはメディアとか、そうした場面のギャップなどには普段から感じられるわけですよねぇ。
クドウ そうですね。例えば前回の震災の時なんかですね、あの、まぁ創価学会の方なんかがあの「避難所を作ったから来てくれ」ということで、あの、利用者さんなんかを行かせていただいたんですけど、
荻上 ええ
クドウ もう次の日なんかにはその、まぁ公明党の議員さんから「うちでは看れないから引き取ってくれ」ということで追い返されたりしてたので
荻上 えぇー!
クドウ その理由なんかも「朝昼晩と薬を飲んでいる人はうちでは預かれないから。」という・・そんなムチャクチャな理由だったので
荻上 えぇえぇえぇ
クドウ まぁ、実際には精神障害の方だったので、ちょっと怖いっていうのもあったらしいので。はい、結局それで、その、追い返されたお陰でぇ、その、追い返された人の中には病状が悪化して入院するハメになった人も居たくらいなので
荻上 えぇ
クドウ そういう風に、まぁ薬を飲んでるだけとかっていうような理由で怖いっていうような、まぁ無知ですね。そういうことなんかをドンドン解消していかないと・・まぁ潜在的に精神障害なんかなる人は100人に1人居るので、
荻上 そうですね。
クドウ まぁ薬飲んで普通に生活できている人をつまはじきするんだと、うん、とってもじゃないけどやってられない世の中になってしまうんじゃないかなって、はい。
荻上 そうですね。そうしたものをちゃんと議論していくということが重要ですね。
南部 うん
と話していた。
■編集後記:障害者理解の難しさ。
僕(ブログ管理人)の父親は身体障害者で知的障害者です。7年ほど前に脳梗塞を患って障害者手帳をもらいました。今は平日は障害者向けの作業所に通っています。幸いにも軽度な障害でパッと見は健常者と区別が付きません。なので健常者と思われる苦労もとても共感するところではありました。
父親が障害者になったから僕自身が何か変わったか思い返してみたんですが、正直言って特に変わったこともないんですよね。積極的に障害者の方のサポートをするようになったかと聞かれれば、そんなことありません。ただ、(上から目線ぽくて嫌な表現ですが)寛容になった部分はあると思います。たまに電車の中で奇声を上げている人がいますけど、そういうの何とも思わなくなりました。昔の自分だったら嫌な顔をしていたと思うんですけどね。
父親が障害者でありながら障害者への理解が不十分な僕の言い訳じゃないですが、それは難しいです。入院する父親のお見舞いにいってショックだったのが看護婦さんが父親に対して赤ちゃん言葉を使っていたことです。「おちっこでちゅか?」「ご飯のじかんでちゅよ♪」。看護婦さんに悪気はないのはわかります。むしろ善意で赤ちゃん言葉なのかもしれません。悪気はないと思うので僕は何も言いませんでした。だけど、喋れなくなったからって50過ぎの大人に赤ちゃん言葉はないだろって心の中で憤っていました。
今回話題にあがった創価学会と公明党もそうです。僕は創価学会信者じゃありませんけど公明党が比較的障害者支援に力を入れているっていうことは知っています。それでもこのお粗末な行動なんです。その事実に向き合う必要があるかと思います。つまり、僕を含めて障害者に対して知識をもっているだろう立場の人でも全然まだまだなんですね。
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