憲法学者・木村草太が語る【首相の靖国参拝と政教分離の論点】

21:54

2013年12月10日に放送されたTBSラジオ「荻上チキ・Session-22」のテーマは政教分離。新進気鋭の憲法学者、木村草太さんが憲法学の観点から靖国参拝と政教分離について解説されていました。木村草太
■会話をしている人物

木村草太 (憲法学者 / 首都大学東京准教授)
荻上チキ (批評家 / 「αシノドス」「シノドスジャーナル」編集長)
南部広美 (フリーアナウンサー)



チキ まず政治家の靖国参拝について、どういった論点があるか伺いたいんですが。まず木村さんいかがでしょうか。

木村 はい。靖国参拝の私的参拝、公式参拝って何かというと、公式参拝の定義は政治家というか国家機関の職務行為として行なった参拝ということですね。

チキ はい

木村 えー、例えば遺族援護行政っていうのは厚生労働大臣が所管事務なんですが、「遺族援護行政を行うために○○神社に参拝します」みたいなことがあると、これは職務行為としてやっているので政教分離違反と。なぜなら、そういう事をやると、あのー、遺族援護行政として特別にその神社をプッシュしているということになっちゃいますよね。

チキ ええ
南部 あぁあぁあぁ

木村 なので、他の宗教の人たちが大変な圧迫感を感じる。なので「いけませんよ」ということになります。一方その個々の人たちは、大臣にしても首相にしても個人の信教の自由というのがあります。

チキ ええ

木村 私的な信教の自由の行使として行くのは全く構わないと。

チキ はい

木村 これは、その自由は憲法上保障されています。

チキ ええ、逆にね。

木村 ただし、重要なのは公的発言力の横領にならないように、というのがポイントで、

チキ 公的発言力の横領・・

木村 つまり首相としてのアピール力とか大臣としてのアピール力っていうのは公共の利益のために使わなければいけないわけですから、個人の信仰を満足させるとか布教のためにそのアピール力を流用しちゃいけないんですね。

チキ うーん

木村 だからマスコミが集まってくるのを利用して、あの、布教したりすると、それは私的参拝であっても公的発言力を横領しているという。参拝それ自体じゃなくて、そのことが政教分離の観点から問題になるということですね。

チキ そしたら結構微妙ですよねぇ。また「発言」とか「布教」といった時に・・どうなんでしょう、すごい適当なケースですけどメッセージTシャツみたいなのを着て「これは私的なファッションです」と言ったらどうなるんでしょうねぇ

木村 まぁ正にだからそういう事がないように、閣僚とか首相が個人的に宗教活動をする時には、「自分は私的にやっています」ということをきちんとアピールしなきゃいけないと。

チキ ええ

木村 それを減債する工夫をしないで、えぇ、参拝したりしたら、それはあの、公的発言力の横領として責任を問われるということですね。


と話していた。
 


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